生産わずか21台、ポルシェマニアでも知らないことがある「911 SC/RS」が競売に。あっという間に7000万円まで価格が上がり、このままだと「億」超えか

｜　ターボボディにハイチューンがなされた自然吸気エンジン、そして軽量化という魅力的なパッケージング　｜

911SC/RSの加速性能は当時の911ターボと同等であったという

さて、「生産わずか21台」にとどまるという希少なポルシェ911 SC/RSが米オークションサイト、ブリング・ア・トレーラーに登場してちょっとした話題に。

この911 SC/RSは1980年代初頭、ポルシェがラリーに出場するためにわずか20台を製造したホモロゲーションモデルであり、これにポルシェが自社の博物館に展示している1台をあわせて「21台」のみが生産されたという計算です。

なお、20台の内訳はロスマンズ チーム用に5台、その他の顧客用に15台だと紹介されています。

ポルシェ911 SC/RSはこんなクルマ

このポルシェ911SC/RSは911ターボのワイドボディと通常のSCに搭載される3.0 リッター・フラット6エンジンを組み合わせたもので、1973年のナナサンカレラ（カレラRS）から数えて11年ぶりに「RS」のRSのバッジが与えられた911となっています（ただしバッジを装着すると重量が増えるのでバッジは装着されていない。ポルシェはエンブレムの重量すら嫌い、一部モデルではエンブレム装着の代わりにステッカーを貼るだけにとどめている）。

なお、エンジンに（生産終了間近の）3リッターを選んだのは「そのほうが重量が軽いから」で、新しい3.2リッターエンジンをベースにすると「車体重量が重くなる」ため。

実際のところ、ポルシェ911SC/RSはこの3リッターエンジンを使用することで車体重量を960kgに抑えていますが、3.2リッターエンジンを使用するとクラスが一つ上になり、最低重量が1,100kgとなるため、ポルシェは「排気量を抑えてでも重量が軽いクラスを選んだ」ということになりますね。※3.2リッターエンジンを選んでも1,100kg以内に収まるのは間違いなさそうだが、逆にポルシェにとってこの重量は”重すぎた”のかもしれない

このほか軽量化対策としてはシンプルなグラスファイバー製バンパー、アルミニウム製のボディパネル、薄肉ガラスの採用、インテリアでは快適設備の除去などを行い、ロードカーである911SCに比較して約200kgも軽量化がなされているのだそう。

一方でパフォーマンス向上に関しては高圧縮鍛造ピストン、935用シリンダーヘッド、ハイカム、および機械式燃料噴射の採用により、ベースとなるSC用エンジンの204 馬力からストリートバージョンでは255馬力、レース仕様では280馬力までパワーが向上しており、0−100km/h加速は当時の911ターボ並の5秒未満で駆け抜けたと言われます。

最後にこの車両（シャシーナンバー021）について触れておくと、1984年3月にスイスのオーナーへと新車で納車され、その年のコルシカ島で開催されたツール・ド・コルスでは14位でフィニッシュしたという記録が残ります。

そしてこの911SC/RSはめったに売り物が出るクルマではなく、そのためかオークション終了まで9日ほどを残して45万ドル（現在の為替レートにて約7000万円）まで価格が上がっており、終了時には「億」を超える落札価格に達するのではと推測されているようですね。

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参照：Bring A Trailer