
| ステランティスが放つ“起死回生”の新型4モデルの正体とは |
ひとまずステランティスに「残る」こととなったアルファロメオとマセラティではあるが
美しいデザインと官能的な走りで世界中のカーガイを魅了してきたアルファロメオとマセラティ。
しかし近年だとマセラティの販売不振、アルファロメオではモデルラインナップの高齢化(ジュリア/ステルヴィオのモデル末期化)によって苦しい戦いを強いられてきたのもまた事実。
そんな中、親会社であるステランティス(Stellantis)が2026年5月に発表した新5カ年計画「FaSTLAne 2030」では、このイタリアの名門2ブランドが今までの「完全電動化(BEV専業化)」ロードマップを修正すること、そしてガソリンエンジン車(ICE)やハイブリッド(HEV)も選択できるマルチエナジー・プラットフォームを活用し、合計4つの完全なブランニューモデルを投入することが正式に示されています。
かつての過激なEV一辺倒から一転、現実的な「 freedom of choice(選択の自由)」へと舵を切ったステランティスの狙い、そしてベールを脱ぎつつある新型車について考えてみましょう。

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この記事の要約(20秒でわかるポイント)
- EV一戦略からの大転換: 親会社ステランティスが最新戦略「FaSTLAne 2030」を発表。アルファロメオとマセラティに課していた「完全EV化」の方針を事実上トーンダウン。
- アルファロメオのニューモデル2台: 新型CセグメントSUV(名車ジュリエッタの復活?)と、「33ストラダーレ」に続く超限定のフラッグシップ(シューティングブレーク風)を投入。
- マセラティのニューモデル2台: レヴァンテ後継となる次世代EセグメントSUVに加え、フェラーリ12チリンドリを彷彿とさせる「純V6/V8か」と噂される2シーターの超弩級グランドツアラーを計画。
アルファロメオとマセラティに与えられた最新製品計画
ステランティスが発表した「FaSTLAne 2030」戦略では、今後5年の間にてグループ全体で60以上の新型車と50のリフレッシュ(マイナーチェンジ等)が計画されており、投資の70%は主力4ブランド(ジープ、ラム、プジョー、フィアット)に集中するものの、独自性の強いアルファロメオとマセラティにも強力な新型車開発のゴーサインが出たのは特筆すべき点。
今回の計画でもっとも注目すべきは、以前アナウンスされていた「すべてを電気自動車(EV)にする」という硬直した計画からの決別で、市場におけるEV需要の減速を見極め、ガソリンエンジン、ハイブリッド、EVのすべてに対応できる柔軟なプラットフォームの設計を採用するとしています。

1. アルファロメオ:ジュリエッタ復活を予感させるSUVと、至高の限定車
アルファロメオには、すでに次期型が予告されている「ステルヴィオ(Stelvio)」と「ジュリア(Giulia)」の世代交代とは別に、2つの魅力的なモデルが用意されており・・・。
- 新型CセグメントSUV(ジュリエッタの再来?):プレゼンテーションで一瞬映し出されたレンダリングでは、アグレッシブなLEDヘッドライト、通常より大型化された伝統の「トライロポ(三つ葉型)」グリル、そして流麗なエアロダイナミック・ルーフラインが確認されており、サイズ的には、Bセグメントの「ジュニア(Junior)」とコンパクトSUV「トナーレ(Tonale)」の隙間を埋める存在という印象。そのスポーティな佇まいから、かつての名車「ジュリエッタ(Giulietta)」の名が冠されるのではと噂されています。
- 次世代の限定フラッグシップモデル:世界33台限定で即完売したミッドシップスーパーカー「33ストラダーレ」に続く、ビスポーク部門(Bottega Fuoriserie)が手がける超限定車。シルエットはハッチバック、あるいは「シューティングブレーク」のような形状をしており、アルファロメオの古典的なクラシックモデルへのオマージュになると見られています。※もしかすると「TZ」シリーズの現代版かもしれない
2. マセラティ:販売激減を救う「2つのEセグメント大型モデル」
高級車セグメントで苦戦が報じられていたマセラティ(Maserati)は、よりブランドのDNAに忠実な「大型・超高級」のEセグメント(ミドル〜フルサイズ級)へ主戦場をシフトするとされ・・・。
- 次世代フラッグシップSUV(レヴァンテ後継):生産終了となった「レヴァンテ(Levante)」の後継モデル。間もなくフェイスリフトを控えるミドルSUV「グレカーレ(Grecale)」の上位に位置する、ブランドの最量販を担うラグジュアリーSUVとなる予定。
- 弩級の2シーター・グランドツアラー(GT):ロングノーズ・ショートデッキの古典的かつ美しいプロポーションを持つモデル。その佇まいは、最新の「フェラーリ・12チリンドリ(12Cilindri)」を想起させるもので、シャープなノーズは2016年のコンセプトカー「アルフィエーリ」を思わせますが、サイズはさらに一回り大きいようにも。現行のグランツーリスモ(4人乗り)とは異なり、純粋な2シーターのスペシャリティカーになると予想されています。
新型4モデルの想定スペックと市場でのポジショニング
今回発表された新型モデルの現時点での予測スペック、および競合するライバル車との位置付けをまとめてみると以下の通り。
アルファロメオ&マセラティ 新型4モデルのスペック・特徴予測
| ブランド | モデル(セグメント) | パワートレイン(予想) | 競合ライバル車 | 主な特徴・デザイン |
| アルファロメオ | 新型C-SUV (ジュリエッタ復活?) | マイルドハイブリッド(MHEV) PHEV / 純EV (BEV) | クプラ・フォーメンター VW T-Roc トヨタ C-HR | ジュニアとトナーレの間を埋める。大型グリルと流麗なルーフライン。STLAスマートコクピット採用。 |
| アルファロメオ | 超限定フラッグシップ (ボッテガ・フオーリセリエ) | マルチエナジー (マセラティ製プラットフォーム?) | フェラーリ・デイトナSP3 各社コレクターズカー | シューティングブレーク/ハッチバックスタイル。伝統のヘリテージデザインを現代風に解釈。TZの復活を期待 |
| マセラティ | 次世代E-SUV (レヴァンテ後継) | 内燃機関(ICE / V6ネットゥーノ) および電動化 | ポルシェ・カイエン BMW X5 レンジローバースポーツ | グレカーレの上位。マセラティ独自のラグジュアリーとスポーツの融合。 |
| マセラティ | EセグメントGT (2シーター・フラッグシップ) | 純ガソリンエンジン(ICE)濃厚 (V6ツインターボ or V8) | フェラーリ 12チリンドリ アストンマーティン ヴァンテージ | ロングノーズ&ショートデッキ。 pushed-back(後方に引かれた)キャビンを持つ純2シーターGT。 |
なぜ「完全EV化」を止めたのか?
ポルシェが新型「マカン」をEVのみとしつつもガソリン版を「再投入」しようとしたり、アストンマーティンやベントレーがEV計画を交代させてガソリンエンジンの延命に巨額の投資を続けていることでもわかる通り、現在のプレミアム・ラグジュアリーカー市場では「EVシフトの減速」と「内燃機関(マルチエナジー)への回帰」が顕著です。
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特にマセラティやアルファロメオのような「音」や「官能性」を売りにするイタリアの老舗ブランドにとって、ガソリンエンジンを完全に捨てることはブランドとしての自殺行為になりかねず、今回のステランティスの経営判断は、販売崩壊という現実を直視し、市場のニーズに合わせた「極めて現実的かつ、ファンにとって嬉しい路線変更」とも言えるもの。

最高のイタリアン・エモーションが帰ってくる
今回のステランティスの発表は、一見すると「EV化の遅れ」や「計画の後退」に映るかもしれません。しかし自動車を単なる移動手段ではなく「情熱の対象」と捉えるファンにとっては、これ以上ない朗報でもあり、マセラティが再び地を這うようなロングノーズのV6/V8グランドツアラーを世に送り出し、アルファロメオが官能的なデザインのコンパクトSUVや夢のような限定車をリリースする――。これこそが、ぼくらが待ち望んでいた「イタリア車の本来の姿」であるとも考えられます。
効率や数値だけを追い求める均一化されたEVの世界へと、再び伝統の「毒」と「色気」を注入する4つの新型モデル。その正式なディテールは、マセラティが2026年12月にモデナで発表する詳細なロードマップを皮切りとして順次明らかになっていく予定だとされ、跳ね馬やポルシェとはまた違う、独自の美学を持つ2つの名門の逆襲劇に期待したいところでもありますね。
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参照:Stellantis











