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【幻のスケッチ】アルファロメオが「4C以前」に計画していたポルシェ・ボクスター対抗「ミッドシップ・ロードスター」のデザインを公開

アルファロメオのデザイナーが公開した「実現しなかった、ポルシェ・ボクスターへの対抗馬」デザインスケッチ

Image:manudiaz74(Instagram)

| 元アルファロメオのデザイナーが「ボツ」デザインを公開 |

少し前にもコンパクトロードスターのデザインを公開したところではあるが

アルファロメオが「4C」を発売する5年前の2008年、同社にはポルシェ・ボクスターの「美しさと精密さ」に対抗するための極秘プロジェクトが存在していたことが明らかに。

今回、元アルファロメオのデザイナー、フアン・マヌエル・ディアス氏がインスタグラム上へとその「幻の」スケッチを公開しており、マツダMX-5(ロードスター)ベースの「デュエット」案とは全く異なる、独自シャシーを用いた本格ミッドシップ・ロードスターの姿が描かれています。

見たところ、この「イタリアン・ボクスター」は非常に魅力的なデザインを持つように見えるものの、なぜ日の目を見なかったのか。その背景には、当時の親会社フィアットの複雑なブランド戦略があったのだそう。

カレラGT誕生の裏側:ポルシェを救った「カイゼン」とトヨタ生産方式の衝撃、トヨタの助けがなければボクスターもカレラGTは誕生し得なかった?

Image:Porsche

アルファロメオのデザイナーが公開した、マツダ・ロードスターベースの「デュエット」のデザインスケッチ
マツダ・ロードスターをベースにアルファロメオが「デュエット」としてオープンスポーツを発売しようとした計画がいま明かされる。前任デザイナーがボツ案をSNSへと投稿

Image:manudiaz74 | もしもあの時、アルファロメオ版ロードスターが誕生していたら? | アルファロメオはこれまでにも相当数の「ボツ企画」を公開している かつてアルファロメオがマツダ・ロ ...

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この記事の要約(30秒チェック)

  • 2008年の極秘案: ポルシェ・ボクスターやアウディTTを標的としたミッドシップ車
  • 脱・他社流用: MX-5ベースの案(後のフィアット124)とは違い、アルファ独自の野心的な設計
  • 「4C」への布石: この構想が後の2013年に登場するカーボンシャシーの「4C」へと繋がる
  • 悲運のブランド: 現在、この「手頃なミッドシップ」の枠はフランスのアルピーヌ(A110)に奪われている現状
アルファロメオのエンブレム

なぜ「イタリアン・ボクスター」は消えたのか?

2000年代後半、アルファロメオはブランドの再定義を迫られており・・・。

  • フィアット・グループの戦略:当時、フィアットはマセラティをフェラーリから買い戻し、ブランド間の役割を明確化しようとしていたという時期。マセラティは「超高級」、フィアットは「大衆車」、そしてアルファロメオはその「中間」を担うはずだったとされている
  • 「4C」への進化と制約:ディアス氏が2009年にブランドを去った後、ミッドシップの夢は「4C」として結実。しかし4Cは高価なカーボンファイバー・シャシーを採用したため、年間生産数は3,500台に限定され、ボクスターのような「量産スポーツカー」として対抗することはできなかった
  • 失われたチャンス:もし2008年の段階で、より量産に適したアルミまたはスチールシャシーのミッドシップ車を投入できていれば、アルファロメオの運命は大きく変わっていた可能性も
アルファロメオ4Cのヘッドライト


アルファロメオ:ミッドシップの系譜

モデル / 構想年代特徴結末
ボクスター・ライバル案2008年ディアス氏によるミッドシップ構想却下(後に124/4Cへ分化)
4C / 4Cスパイダー2013年237馬力、カーボンシャシー少量生産のコレクターズカーに
新型 33 ストラダーレ2023年V6またはEVの限定ハイパーカー伝説の復活(極少数生産)
(参考)アルピーヌ A110(現行)アルファが本来やるべきだった軽量スポーツ米国進出も視野に成功
33ストラダーレの33人の幸運なオーナーのほとんどが「ガソリンエンジン」を選んでいた。そのもそなぜアルファロメオは「ガソリン」「EV」を選べるようにしたのか

アルピーヌが「アルファロメオの役割」を演じている皮肉

現在、「軽量・ミッドシップ・手頃な価格」という「かつてのアルファロメオが目指した場所」には、ルノー傘下のアルピーヌ A110が君臨中。

アルピーヌは今や米国進出も目前にしており、アルファロメオが2008年に夢見た「ポルシェに対抗できるイタリアンスポーツ」の不在を痛感させられるのがいまの状況ではありますが、もしアルファロメオがこのデザインスケッチを現実のものとできていたならば、アルファロメオには新しいチャンスが開かれ、そしてアルファロメオの現在もまた異なるものとなっていたのかもしれません。

さよならアルピーヌA110。「いつかは買わねば」と思いつつも買う機会がないままに生産最終年を迎え「A110 R 70」「A110 GTS」が登場

Image:Alpine

そう考えるならば、アルファロメオが経済的理由を重視して「挑戦を避け」安全な道を選択したにもかかわらず、それがむしろ自らを「他社との不毛な競争へと」追いやることになった事実は皮肉としかいいようがなく、そして(ポルシェがそうしたように)果敢にチャレンジしたものにこそ勝利の女神は微笑むのかもしれません(それでも必ずしも微笑むものではないと思われるが)。

ただしアルファロメオとて「まだ終わったわけではなく」、ステランティス傘下となった現在のアルファロメオがSUV(トナーレ等)での成功を背景に、再びこうした「魂のスポーツカー」にリソースを割く日が来ることを願わんばかりです。


【知っておきたい豆知識】フアン・マヌエル・ディアス氏の功績

今回デザインスケッチを公開したデザイナー、フアン・マヌエル・ディアス氏はアルファロメオのコンパクトカー『MiTo(ミト)』のデザインを手掛けたことでも有名で、当時のフィアット・プントのプラットフォームを使いつつ、8Cコンペティツィオーネのエッセンスを注入した手腕が高く評価されています。

そして今回公開されたスポーツカー案にも、その「小さな高級車」を作るセンスが凝縮されているかのようであり、実現されなかったのが悔やまれるといったところでもありますね。

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参照:manudiaz74

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