| F1とカーボン、フェラーリとカーボンとは切っても切れない縁にある |
イタリアGP仕様の「ブラックを基調とした」ヘルメットそしてレーシングスーツがカッコいい
さて、ここ最近のフェラーリは「フェラーリにとって馴染み深いサーキットでのF1グランプリにあわせて特別なイベントを開催し、特別なカラーリングのF1マシンを公開する」例が多くなっていますが、今週(モンツァにて)開催されるイタリアGPでは”カーボンファイバー”を祝福するとし、イタリアGP専用の仕様を持つSF-24(それぞれのレーシングナンバーが白地ではなくカーボン地となっている)、そして今回のイタリアGP専用デザインを持つシャルル・ルクレールとカルロス・サインツのレーシングスーツとヘルメット、さらには特別なコンテンツも公開されています。
フェラーリとカーボンファイバーはこういった繋がりを持っている
カーボンファイバーは1958年に米国で初めて生産され、その後英国と日本にて発展してきた素材ですが、F1ではじめて取り入れられたのは1982年で、最初にこの素材に着目したのは当時マクラーレンに在籍していたカーデザイナー、ジョン・バーナード。
フェラーリも同年の126 C2にてこの素材をいち早く採用し、翌シーズンの中頃には、マラネロでカーボンファイバーモノコックを採用した最初の車である126 C3がデビューしています。
シルバーストーンでパトリック・タンベイがデビューして3位に入り、次のドイツGPではルネ・アルヌーのドライブによって優勝するなど、カーボンファイバーはごく初期の段階からそのポテンシャルを示していたわけですね。
-
フェラーリF1にカーボンファイバーが使用されたのは1982年、最新のSF-24ではその使用率が61%にも。みんな大好きカーボンパーツがどこにどう使用されてきたのかを見てみよう【動画】
| そしておそらく、今後もカーボンファイバーの使用率は拡大してゆくであろう | 現時点では「見える範囲のほとんど」がカーボンファイバー製である さて、現在はF1マシンのみならず他カテゴリのレーシングカ ...
続きを見る
その後、解析・計算ツールの性能が高まったことに加え、カーボンファイバーに対する理解が徐々に深まってゆき、これとともにF1でのこの素材の使用は飛躍的に増加することとなりますが、製造技術が洗練されるにつれてますます軽量化され、徐々に(それまで使用されていた)グラスファイバーに取って代わるようになり、ブレーキディスク、フロント、サイド、リアの衝突保護構造、エンジンの吸気口、一部のエンジン部品にも使用されるようになっています。
1994年まで金属製だったサスペンションアームも、徐々にカーボンファイバー製へと移行し、今日では、ステアリングコラムやコクピット、シートにも採用され、なんとカーボンファイバーの使用率は63%にまでも向上することに。
さらにその成形の自由度から、シート形状はもとよりブレーキとアクセルペダルまでもがドライバーの体型に合わせて製造され、それまではアルミニウムで作られていたギアボックスケースはチタンカーボンハイブリッドに切り替わり(現在ではオールカーボン製)、さらにこの素材は空力の可能性に革命をもたらすことにも成功します(直接のダウンフォースのみではなく、ボルテックス=渦を生成させるのにも役立っている)。
カーボンファイバーはF1からレーシングカーへ、そして市販車へ
このカーボンファイバーは高価なこともあって最初はF1に、そしてその後はレーシングカーへと採用が拡大されるものの、暫くの間はモータースポーツシーンのみでの活用にとどまり、しかしその強度と軽さによってロードカーにも使用されるように。
1995年のF50は、シャーシとボディワークがすべてカーボンファイバーで作られた最初のフェラーリで、その後この素材はすべてのフェラーリに(標準もしくはオプションなど、何らかの形で)採用されるようになり、それらは車体構造や内装パーツ、そしてエアロパーツなどのパフォーマンスに直結するパーツにも及びます。
さらにカーボンファイバーの可能性は車両以外にも拡大し、フェラーリのパートナーでもあるベルは「はじめてのフルカーボン製ヘルメット」を開発したことでも知られます。
信じられないことに、F1の初期の頃はヘルメットの着用は義務付けられておらず(ものの本によると、ヘルメットを被るのは臆病者のすることだと捉えられていた時代でもあった)、1950年代になってようやくベルがレース専用のヘルメットを発表することに(「フルフェイス」ヘルメットを最初に製造したのもベルであり、1968年にアメリカ人F1レーサーのダン・ガーニーが初めてこれを着用した)。
そしてもちろんHANSシステムもカーボンファイバーによって成形され、いまではカーボンファイバーは単に軽量化やパフォーマンス向上のためだけではなく、安全性の分野にも進出していることがわかりますね。
-
ベルのカーボン製ヘルメット「GP3」を購入。ボクにとって初のベル、そして初カーボン。なおベルは最初にカーボン製ヘルメットを発売したメーカー
| 現在のところ一向に使用する予定はなく、出番があるとすればホンダのレーシングスクール受講時に持ってゆくくらい | 現在「どういったグラフィックにカスタムペイントを行うか」思案中 さて、ベル(Bell ...
続きを見る
そして今回のイタリアGPでは、シャルル・ルクレール、カルロス・サインツともに特別バージョンのヘルメット、そしてレーシングスーツ(こちらはさすがにカーボン製ではなく、カーボン風の柄が再現されている)を着用します。
このヘルメットはカーボンの織り目を残すようにデザインされ、これに組み合わせられるのはフェラーリ誕生の地であるモデナ市のカラー、そしてフェラーリのエンブレムの背景に使用される「イエロー」。
A helmet fit for the Temple of Speed 🔥
— Scuderia Ferrari HP (@ScuderiaFerrari) August 29, 2024
Looking good @CarlosSainz55 👌#ItalianGP 🇮🇹 #F1 pic.twitter.com/i5KVUAHaDS
そのほかプーマからは「カーボンファイバー」をテーマにしたキャップやTシャツ、レイバンからはサングラスも登場し、イタリアGPを大きく盛り上げているようですね。
Back in black ⚫#ItalianGP 🇮🇹 #F1 pic.twitter.com/OBG8Geg8qZ
— Scuderia Ferrari HP (@ScuderiaFerrari) August 29, 2024
あわせて読みたい、フェラーリ関連投稿
-
フェラーリストアに「モンツァGP スペシャルエディション」登場。Tシャツ、キャップ、サングラスにスニーカーすべてが「カーボンファイバー」モチーフ
| この「ブラックとイエロー」の組み合わせは今までに例を見ないものである | 「ロッソ抜き」のフェラーリもなかなかにカッコいい さて、フェラーリがF1モンツァ・グランプリ開催を目前にして「F1マシンを ...
続きを見る
-
フェラーリが自ら「今でも究極の跳ね馬です」と語るラフェラーリ。初のハイブリッド採用、F1と同様の設計を持つカーボンモノコックなどその理由に迫る
| ラフェラーリはそのデザイン、パワートレーン、そして思想などすべてが「新しい時代へと」向っている | そしてその存在はフェラーリのDNAを過去と未来とに「橋渡し」する役割を担っている さて、フェラー ...
続きを見る
-
フェラーリやポルシェ、フォードなどが採用するカーボンファイバー製ホイールとは?その製造元が危険性やメリット、その可能性について語る
| カーボンファイバー製というと一昔前には「とうてい手が出ない」シロモノではあったが | 最近だと普及してきたせいもあり「まだ求めやすい価格」へと下がってきた さて、モータースポーツの世界にてカーボン ...
続きを見る