| 土田康剛氏はミニマルでタイムレス、エレガンスを愛するデザイナーであるようだ |
さて、マツダの北米法人、Mazda North American Operations=MNAOが、土田康剛(つちだやすたけ)氏をデザイン部門のシニアディレクターに任命したと発表。
同氏はマツダ本社にて22年間勤務した後にMNAOへと異動となっていますが、近年ではマツダ3のチーフデザイナーを務め、過去には魁(Kai)コンセプト、風籟(FURAI)、CX-7、流雅(RYUGA)のデザインを担当しています。
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今後はデザインオペレーションを統括することに
今後、土田康剛氏は次世代車両の企画、ブランドの戦略立案にかかわるデザインオペレーションを統括することになり、つまりは次世代のマツダデザインを担う中核となる人物だと言えそう。
土田康剛氏は「時代を超越した美しさ」を重視しているといい、愛車はRX-7だというマツダマニア。
ちなみにマツダのグローバル・ヘッド・オブ・デザインは引き続き前田育男氏が努めますが、この前田氏は「父親もマツダのデザイナーだった(RX-7をデザインしている)」という生粋のマツダ人であり、マツダのデザイナーはとにかく「マツダ愛」の強い人物でかためられているようですね。
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マツダ3は高い評価を得ている
なお、土田康剛氏のデザインしたマツダ3は、世界中にて非常に高い評価を獲得しており、「2020年世界カーデザインオブザイヤー」、「2020年女性カーオブザイヤー」、さらには、中国のカーオブザイヤー(2020年)も受賞。
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土田康剛氏は時代によって左右されない不変の美しさ、シンプルさ、そしてエレガントさを重要視しているように思われますが、過去にはこう語ったことも。
"グローバルで2%のシェアしかない我々にとって、メインプレイヤーと同じことをしていてはいけないと思うのです。"どうすれば目立つことができるかを考えなければなりません。そのために、日本の美意識を取り入れ、本当に引き算の美に磨きをかけたのです。"
そしてMAZDA3においては「ボディパネルに映り込む景色のリニアな変化や光の移ろいによって、これまで以上に強い生命感やドラマチックな表現を生み出した」と述べており、これはサイド部分のパネルを指しているものと思われます。
明確なエッジラインを廃止しつつもパネルに「盛り上がり」を与え、しかもその盛り上がりの前後の高さ・角度を変えることで「フロント側では空を映し出し、リア側では地面を映し出す」という複雑さを”シンプルな造形の中で”実現。
たとえばこれは向かいからMAZDA3がやってきて、目の前で右折なり左折なりする際に「ボディに映り込む景色が移ろいゆく」ことでその効果を確認できますが、これを最大化するにはマツダ一押しのボディカラー(ソウルレッド・プレミアムメタリックなど)を選ぶと良いのかもしれません。
マツダは「ボディカラーもデザインの一部」だと常々公言しているものの、マツダのデザイナーが折に触れて語る内容、そして実車を見るとすべての断片が結びつき、「なるほどな」と像を結ぶように思います。
参照:MAZDA