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トヨタが2004年にイタルデザインと共同で開発した「アレッサンドロ・ボルタ」。発売されていたら世界が変わっていたであろう、「V6をミドシップにマウントしたハイブリッド4WDスーパースポーツ」

2019/08/04

| トヨタがこれほどまでに美しいクルマを作っていたのは今でも信じられない |

トヨタが2004年にジュネーブ・モーターショーにて発表したコンセプトカー、アレッサンドロ・ボルタ(Alessandro Volta)。
これはイタルデザインとの共同開発によって誕生したコンセプトカーで、その「アレッサンドロ・ボルタ」という名称は「電池を発明した」アレッサンドロ・ジュゼッペ・アントニオ・アナスタージオ・ヴォルタ伯爵から。※電圧の基本単位「ボルト」はもちろん同伯爵に由来

エンジンは3.3リッターV6、そしてこれに2つのモーターを組み合わせるというハイブリッド構造を採用(システム合計402馬力)。
エンジンそのものはミドシップマウントされ、駆動方式は4WDという、当時としては画期的なパッケージングを持っています。
なお、このエンジンとハイブリッドシステムは、レクサスRX400hに積まれていたものと同一のもので、ただし出力はもともとの268馬力から一気に高められている、ということになりますね。

車高はランボルギーニ・ウラカンよりも低い

アレッサンドロ・ボルタのボディサイズは全長4358ミリ、全幅1925ミリ、全高い1140ミリと「短くワイドで低い」プロポーションを持ち、カーボン製車体構造のおかげで重量は1,250キロにとどまります。

なお、0-100キロ加速は4秒、最高速度は時速250キロ。

2004-toyota-alessandro-volta-concept

この時代に「ハイブリッドスポーツ」というのは非常に珍しく、というか当時はハイブリッドすら珍しかった時代。

トヨタは1997年に「プリウス」を発売し、これは業界に大きな衝撃を与えたわけですが、トヨタ以外の自動車メーカー、とくにジャーマンスリー(メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ)は「ひとつのクルマの中に複数の動力源があるのは効率が悪い」「ハイブリッドはEVへ移行するまでの過渡的技術に過ぎない」としてハイブリッドに対しては懐疑的で、BMWは「水素」に走っていた時代でもあります(つまりハイブリッドカーを発売するつもりはなかった)。

2004-toyota-alessandro-volta-concept (2)

しかしながらその後、EV化が思ったよりも進まず、そしてトヨタのハイブリッドが大きく販売を伸ばすに当たって各メーカーとも「やっぱりハイブリッドだよね」と急に姿勢を変えてハイブリッドを連発しはじめることになりますが、それだけピュアエレクトリックへの移行は難しく、「過渡期」とされていたハイブリッドの時代がその後15年も続き、あと10年くらいは続くというのは当時誰も想像し得なかったのかもしれません(予定では今頃、ラインナップのほとんどがEVになっていたのかも)。

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なお、このトヨタ・アレッサンドロ・ボルタのスタイリングは「イタルデザイン(ジウジアーロ)」が手掛けており、そのためにトヨタらしからぬ流麗さを持っています。

デザイン上の特徴としては「二本のライン」だと見え、フロントバンパー左右の突起、ドアパネル、サイドステップ、リアバンパーのダクトなどに「二本の」ラインが用いられていることがわかりますね。

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そしてドアはガルウイング(正確にはシザースドア)。
車高がランボルギーニ・アヴェンタドール並みに低く、そのため乗降性を考慮してか「ルーフの一部も」ドアと一緒に開く構造を採用。

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ドアはかなり大きく、そして長く、ドアを開くと独特の雰囲気がありますね。

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アレッサンドロ・ボルタは「前列3人乗り」

ちなみに、このアレッサンドロ・ボルタの特徴のひとつは「フロント3シーター」。
ボディの幅が「1925ミリ」というワイドさがなせるワザですが、なかなかに面白い構造です(ミドシップなので後席はない)。

ただ、「男3人でだけは絶対に乗りたくない」とも思います。

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さらに面白いのは、ステアリングホイールとペダルがごっそり左右にスライドし、前席3つのうち、どのシートでも運転できること。
最近だと、アウディPB18 e-tronが同じ構造を採用していますね。

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こちらはスケルトン構造図。
サスペンションにはプッシュロッドを採用しており、フロアはフルフラット。
今見ても先進的と言える構造を持っているものの、トヨタ・アレッサンドロ・ボルトは市販されることなく「人々の忘却の彼方へ」と追いやられることに。

相当に魅力的なコンセプトカーだと言え、レクサスLFAがこのパッケージングを採用して発売していたら面白かったのにな、と思うのはぼくだけではないかもしれません。

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