| たしかにセンチュリー誕生時に比較すると「若くして成功する人々」が増えている |
そして若い人々が求めるのはおそらくセダンではない
さて、トヨタ自動車会長、豊田章男氏が「新型センチュリーSUVは若い顧客をも惹きつけるだろう」とコメント。
これは米国版トヨタイムズ、「Toyota Times」にて同氏のコメントとして公開されたもので、豊田章男氏は「新型センチュリーSUVは、トヨタ社内だけでなく、日本国内でもトップクラスのプショーファードリブンカーです。このモデルは若い人たちや、これまでセンチュリー(セダン)は自分には合わないと感じていた人たちにも合うと思います」と語っています。
かつてのトヨタ自動車の役員専用駐車場はセンチュリーによって占められていた
豊田章男会長によれば「かつてトヨタの役員専用駐車場は "センチュリーばかり "だった」そうですが、今は若手幹部がアルファードやヴェルファイアといった他のクルマに乗ってやってくるようになり、こういった傾向を見るにつけ「お金を持っている若い層にアピールできるクルマがあれば売れる」と考えたのだそう。
たしかにこれは説得力があり、現実的に世の中のお金持ちの多くはアルファードやヴェルファイアに乗っていて(スーパーカーオーナーにもアルファード/ヴェルファイアのユーザーが驚くほど多い)、しかしその次に買い替えるべきクルマがなく、よってここは主に欧州のプレミアムカーメーカーに市場を奪われていたところなのかもしれません。
そしておそらく、レクサスLMの国内投入を決めた理由もそこにあるのだと考えられ、トヨタはこれまで「輸入車に奪われていた顧客を自社で囲い込むべく」超高級SUVやミニバンを発売するのだろう、とも考えています。
トヨタセンチュリーは「トヨタグループ創業者の生誕100周年を記念した」クルマであった
なお、「センチュリー」という言葉には「100年紀」という意味がありますが、この名を与えたのには理由があり、初代センチュリーが登場した1967年はトヨタグループの創業者である豊田佐吉の生誕100周年であったため。
センチュリーはこの生誕100周年として登場したという意味合いがあったわけですが、当時はいわゆる高度経済成長期であり、成功した人々が多く誕生していたものの、そういった人たちが乗る日本車が存在しなかったわけですね。
そこでトヨタはそれら成功者にふさわしいクルマを作るという計画を立ち上げますが、そこで考えたのが「最先端のテクノロジーだけでは十分ではなく、まったく新しくユニークなものを生み出すには、日本の伝統と文化的価値観を受け入れる必要がある」ということ。
つまり欧州車や米国車の模倣ではそれらに勝つことが難しく、トヨタならではの要素、そして日本人にあわせたエクスペリエンスが必要であると理解し、それを達成するために誕生したのが初代センチュリー。
しかし当時はセダンがもっともフォーマルかつラグジュアリーであると解されていたものの、現代では(当時にはなかった)ミニバンやSUVといったボディ形状が登場し、(セダンがフォーマルであることに変わりはないものの)その主役が交代しセダンが時代遅れになりつつあるのもまた事実。
こういった背景があって今回「センチュリーSUV」が登場することとなったわけですが、「人々が欲しているのに、それに応えることができる製品が存在せず、その需要を満たすべく作った」という背景そして思想はまさに初代センチュリーと同じなのかもしれません。
ただ、当時と異なるのは「若くして成功した人」が多いということで(当時と今ではお金の稼ぎ方が変わっている)、センチュリー、そしてトヨタも時代に合わせてその考え方を変化させている、ということなのでしょうね(そしてビスポークに対するこだわりが強いのも現代ならではで、それについてもトヨタは対応する意向を示している)。
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参照:Toyota Times