Image:Artisans De Genève
| このアクアノートの文字盤のブルーとブラウンは「湖と渓谷」を表現 |
巻き上げローターにも「スケルトン加工」が施される
さて、主にロレックス(デイトナ、サブマリーナー、GMTマスターIIなど)を対象としカスタムウォッチを製作することで知られるアルチザン・ドゥ・ジュネーブ。
今回はパテックフィリップ アクアノート(5167A)をベースとした「Caumasee(カウマシー)」をリリースしており、これはスイスのカウマ湖の水面およびその周囲をイメージした仕上げがなされたことが特徴です。
このパテックフィリップ アクアノート「カウマシー」の依頼者は「空から見たカウマ湖」をイメージ
今回アルチザン・ドゥ・ジュネーブにパテックフィリップ アクアノート「カウマシー」を依頼したオーナーは、熱気球に乗って空から見たカウマ湖を腕時計の上の再現したかったといい、そのきっかけについては以下のように語っています。
「私は何年も熱気球に乗っています。文字通り空中に浮かんで踊るこの体験がもたらす感覚が大好きです。 私は重力を利用して空気と戯れるので、指先で風景を発見するのはとても楽しいです。 私はよく自分を風の職人だと言います。 私が空から見るのが大好きな場所は、カウマ湖です。 私は時計コレクターで、飛行機の中でパテック フィリップの時計を着用していました。 この特別なフライトを鮮明に覚えているのは、太陽の光が森や湖や空に反射して戯れているのを見たときの感動のせいです。そのとき、世界は私一人のものでした。 しかしアクアノートを見ていると、時間が経ち、風が変わり、戻らなければならないという現実に戻ったのです。
カウマ湖の湖面を再現するために選んだ手法は「ハンドハンマー」
ただしこの「空から見たカウマ湖」を再現することは容易ではなく、しかしアルチザン・ドゥ・ジュネーブが採用したのは「ハンドハンマー」。
ムーブメントのパーツに先端の尖った工具を当て、それをハンマーで打つことで「さざなみの立つ湖面」を再現し、これによって「風景に光を感じたときのクライアントの気持ち」を表しているわけですね。
ただし強くハンマーを打ち付けると各パーツに歪みが出るため、細心の注意を払いながら”一定の圧力と特別なタッチを維持しつつ”作業を進める必要があり、そしてこの工程の後にはアーモンドブルーの着色を行い、これが柔らかさとともにイエローゴールドの輝きを引き立てることに。
さらにはテンプブリッジを除く各ブリッジにはサーキュラグレイン加工が施され、これによってベベル角度とのコントラストが生み出され、キャリバー324の持つ美しさをさらに高めることに成功しています。
香箱とテンプブリッジにも研磨が施され、その後数時間かけてヤスリとバフを使って丸みを帯びた角度に仕上げられますが、これはアルチザン・ドゥ・ジュネーブでもわずか数人の職人だけが習得したノウハウなのだそう。
文字盤はケースの仕上げに合わせて手作業でサーキュラグレイン加工が施され、PVD ブラウン処理は、グラウビュンデン渓谷の色にできるだけ近づけるために開発された専用色だといい、そのほかローターにもスケルトン加工とサーキュラーグレイン加工、そして透かし彫りが施されることに。
かくして依頼者の求めた「空から見たカウマ湖の記憶」が完全に腕時計上にて再現されることとなったわけですが、もちろんストラップも専用に開発され、湖面をイメージしたブルー、渓谷をイメージしたブラウンの二本が付属します。
特定の瞬間の記憶は、本質的に、その瞬間を生きた人にとって個人的なものです。 私たちのクライアントを、彼の中に埋め込まれた記念品と結びつけるために、私たちは324キャリバーの素晴らしさを示す必要がありました。 完全にスケルトン化されており、各ブリッジは手作業で面取りされ、サーキュラーグレイン加工が施されています。当社の特徴であるテンプブリッジは、ステンレス鋼のブロックから作られています。 ブラッシュ仕上げは、輝きそして完璧な鏡面仕上げを実現するために細心の注意を払った技術、そして時間と忍耐を必要とします。 プレートに関しては、何時間もかけて丁寧に作られています。
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参照:Artisans De Genève