アルピーヌが200年近い歴史を誇る腕時計ブランド「H.モーザー」との提携を発表。H.モーザーは「ブランド名や文字を表示しない」奇妙なダイヤルを持つことで知られている

｜　H.モーザーの腕時計は「H.モーザー」だと記されていなくてもそれとわかるほど個性的である　｜

H.モーザーほど「サイレント主張」が強い腕時計ブランドは他にないだろう

さて、アルピーヌ・モータースポーツとH.モーザーとがパートナーシップ契約を締結したと発表。

これまでアルピーヌはベル＆ロスとのパートナー契約を（ルノーR.S.から引き継ぐ形で）結んでいたものの、公開されたA524F1マシンのオフィシャルフォトを見ると、昨年までノーズ付近に提示されていた「Bell & Ross」ロゴがなくなり、かわりに（ちょっと上の位置に）「H. Moser & Cie.」というロゴが提示されていることを確認でき、ベル＆ロスとの契約が終了したことを伺わせます。

なぜアルピーヌはH.モーザーを選んだのか？

なお、両者がパートナーシップ契約を締結するに至った理由の一つとしては、H.モーザーの経営者一族（メイラン家）がアルピーヌのクルマにてレースを行ってきたという事が関係しているといい、その段階でレースに勝つためには「不要なものを削ぎ落とす」必要があることを理解していたそうですが、それがH.モーザーの腕時計作りに影響したのだとも考えられます。

H.モーザーはその起源が1828年という古い腕時計メーカーで（当初はロシアで設立）、現時点ではいずれかの巨大資本に属さず、しかし自身でムーブメントを内政できるマニュアファクチュールとして活動中。

クオーツショックにて1979年に廃業するも、2002年に新生H.モーザーとして再興され、現在は上述のメイラン家（時計技師一族として知られる）によって経営がなされています。

デザインとしては非常にシンプル、そしてケースとブレスレットとのつながりを重視したものが多く、段差やエッジが最小限に抑えられているのも特筆すべき点（このあたりはレーシングカーとも通じるものがある）。

文字盤にはグラデーション（H.モーザーではフュメと呼んでいる）を採用することが多く、そしてブランド名含めて文字を表示しない、もしくは表示しても「ゴースト」仕様を選択するなど極めて特殊なデザインを行うことでも知られます。

現時点ではH.モーザーがアルピーヌ・モータースポーツのタイムキーピングパートナーとなること、双方の活動領域すべてにまたがるイノベーションを起こすための包括的な提携がなされることについて発表されているものの、（提携直後なので）具体的な試みやコラボ製品についてはまだ発表されておらず、しかし今後の展開については要注目といったところですね。

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参照：H.Moser