
もしガソリンエンジンを搭載するとなれば「ピュアEVのみ」の次期ポルシェ718に対する優位性も
実際のところ、「エレクトリックスポーツカー」はまだ時期尚早だと思われる
ピュアスポーツカーの代名詞として世界中のエンスージアストから絶賛されているフランスのスポーツカーブランド、アルピーヌ(Alpine)。
同社は名車「A110」の次世代モデルを完全電動のEV(電気自動車)として開発を進めていますが、ガソリンエンジン(内燃機関)の可能性を完全に閉ざしたわけではないようだ、というのが今回のニュースです。
英国アルピーヌのマネージングディレクターを務めるニコラ・バーンサイド(Nicola Burnside)氏が英誌『Top Gear』に語った内容によると、新開発されたプラットフォームには内燃機関を搭載する余地が残されているとのことで、ポルシェが次期718(ボクスター/ケイマン)を完全EV専売とする方針を決定づける中、アルピーヌが示した柔軟なスタンス、新プラットフォーム「APP」の技術的特徴、そして走りの質感へのこだわりについて見てみましょう。

この記事の要約
- アルピーヌ(Alpine)英国法人のトップが、次世代「A110」向けに新開発されたEV用アルミプラットフォーム「APP」が内燃機関(ICE)の搭載にも対応可能であることを示唆
- 最優先事項はあくまで現行型を超えるピュアEVモデルの成功だが、北米などEV普及が急激でない世界市場への拡大を視野にガソリン車の可能性を排除していない
- ポルシェの718 EV(ミッドシップバッテリー配置)とは異なり、バッテリーを前後に分割配置することで低着座位置と車両重量1,500kg未満というEV屈指の軽量性を目指す
アルピーヌ 次世代A110およびガソリン車可能性の概要
アルピーヌは、親会社ルノー・グループのもとで次世代スポーツカー向け専用アーキテクチャ「APP(Alpine Performance Platform)」を開発していますが、現在開発の最優先事項はあくまでピュアEV版のA110であり、現行ガソリン車の卓越した俊敏性と軽さを上回るパフォーマンスを実現することに全力を注いでいるのは周知の通り。

バーンサイド氏もまた「旧型A110が極めて素晴らしい出来だったからこそ、EV版はそれを超える価値を提供しなければならない」と強調していて、しかし同時に、CEOのフィリップ・クリエフ氏をはじめとする経営陣は、わずかな改修でガソリンエンジン、トランスミッション、燃料タンクを搭載できる設計の柔軟性を「APP」に持たせているともコメントしており、これはEVスポーツカーの需要が限定的な地域や北米市場への進出を視野に入れた「成長のための保険」とも言える対応だとも考えられます。
特徴・スペック・デザイン
新開発の「APP(アルピーヌ・パフォーマンス・プラットフォーム)」は、アルミ材を多用した超軽量構造であり、EVでありながら車両重量1,500kg未満(3,307ポンド未満)という驚異的な数値を目標に掲げています。
技術的に最も興味深いのはバッテリーのパッケージングで、全バッテリーパックを床下に敷き詰める一般的なEV構造や、ポルシェ718 EVのようにエンジンルーム跡地へ集中配置する方式とは異なり、アルピーヌはバッテリーをフロントとリアの2つに分割配置する手法を採用することに。

これにより、ミッドシップスポーツカー特有の「前後重量配分」を再現しつつ、ヒップポイント(着座位置)を極限まで低く抑えたリアルスポーツとしてのドライビングポジションを実現するといい、前後ダブルウィッシュボーンサスペンションを備え、後輪駆動(RWD)を基本とし、フロントにモーターを追加した4WD(AWD)化にも対応する仕様となっています。
なお、現在明かされている次世代アルピーヌ A110(EV仕様ベース)の主要スペックおよび特徴は以下の通り。
| 項目 | 詳細・スペック(公表値および開発目標) |
| プラットフォーム | 新開発「APP(Alpine Performance Platform)」アルミ骨格 |
| パワートレイン | ピュアEV(基本) / 内燃機関(ICE)搭載も構造上対応可能 |
| 駆動方式 | RWD(後輪駆動)標準 / フロントモーター追加によるAWD化に対応 |
| サスペンション | 前後 ダブルウィッシュボーン式 |
| バッテリーレイアウト | フロント・リア 前後分割配置(低ヒップポイント実現) |
| 目標車両重量 | 1,500 kg 未満(EVスポーツカーとして異例の軽さ) |
| 内燃機関(ガソリン)併用の可能性 | 排除せず(まずはEV版から先行ローンチ予定) |

競合比較・市場での位置付け
ライトウェイト・電動スポーツカーカテゴリーにおいて、アルピーヌと競合他社は対照的なアプローチを採り始めていて・・・。
| ブランド / モデル | 動力源とプラットフォーム方針 | 設計思想と重量・パッケージングの特徴 |
| ポルシェ 718 ボクスター / ケイマン EV | 完全EV専売(ガソリン車の復活を否定) | 旧エンジン位置にバッテリーを集中搭載(e-Core構造) |
| ポルシェ / アウディ C-Sport | 完全EV(ポルシェ製718 EV基盤を共有) | タルガルーフや新世代インテリアを備えた上質な電動GT |
| アルピーヌ A110(次期型) | EV先行だがガソリン車の道を残す(APP基盤) | 前後バッテリー分割で低座面を確保。1,500kg未満の圧倒的な軽さを追求 |
ポルシェが次期718で内燃機関の併用を撤回し、完全電動化へ一点突破する戦略をとる一方、アルピーヌは「まずEVで走りの感動を与える」ことを証明しつつ、市場の需要次第でガソリンエンジンを追加投入できる柔軟な退路(選択肢)を確保している点が大きな違いといえるのかもしれません。

補足情報
今回の発表や技術詳細からは、アルピーヌが誇る「軽さへの情熱」とグローバル展開への野心が伺えるかのようで・・・。
- 「スペック数値」よりも「ドライバーの官能性」を優先:アルピーヌは0-100km/h加速の数値競争に深追いするのではなく、現行A110が評価されてきた「軽量さ」「ハンドリングのしなやかさ」「人車一体感」をEVでどのように表現できるかにフォーカスしている
- 北米市場進出とガソリンエンジンの役割:これまで欧州を中心に展開してきたアルピーヌではあるものの、今後は北米市場への本格参入を計画しており、充電インフラや走行距離の観点からEVスポーツカーが苦戦しがちな北米において、ガソリン車(ICE)の選択肢を残しておくことは極めて合理的なマーケティング判断でもある
- ガソリン車は登場するとしても「後から」: バーンサイド氏が「まずはEVからスタートする」と明言している通り、仮にガソリンエンジン車が追加されるとしても、それはEV版が世に出て評価を確立した後の話に

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結論
アルピーヌが「次期A110にガソリンエンジンを搭載する”扉を閉じない”」という姿勢を示したことは、純粋なエンジン音やマニュアル操作感を愛する世界中のクルマ好きにとって非常に心強いニュースです。
前後分割バッテリーと1,500kg未満という軽量ボディで挑む新世代EVの走りがどのような出来栄えになるのか、そして将来的にガソリンエンジンの咆哮が復活する日が来るのか、アルピーヌの果敢な挑戦には大きな期待がかかります。
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参照:TopGear











