| ホンダは過去の成功体験から抜け出せずにいたのかもしれない |
先日、ふと気になったのが「トヨタRAV4とホンダCR-Vとの販売動向」。
そのうちひとつは日米で売れ行きに差があること、そしてもう一つは「両者のモデルチェンジを境に販売が逆転している」こと。
ひとつ目については、北米では「それほど」両者の売れ行きに差はなく、しかし日本では「直近で10倍くらい」差がついてしまっているという現実、そしてふたつ目は「モデルチェンジ」を機に、それまではずっとCR-Vに勝てなかったRAV4が、ついにCR-Vを逆転したという事実を指しています。
北米だと両者は「ライバル」とも言える間柄だった
まず、こちらは北米市場における、トヨタRAV4(青)とホンダCR-V(赤)との販売状況。
2016年まではずっとRAV4はCR-Vに勝てず、しかし2016年からRAV4がCR-Vを逆転しています。※一番右が下がっているのは、2019年はまだ途中なので「半分」しか販売がカウントされていないため
ホンダCR-Vはモデルチェンジで「あまり変わらなかった」
そして2016年に何があったかというと、それは「CR-Vのモデルチェンジ」。
モデルチェンジは通常、そのモデルのデザインや機能を一新し、より販売を伸ばすために行うものですが、このグラフを見るに、モデルチェンジを行ってもCR-Vの販売が伸びず、モデルチェンジを行った意味が無かったとも言えますね。
ちなみにこちらはモデルチェンジ前のCR-V。
こちらはモデルチェンジ後。
クリーンで都会的な雰囲気がホンダCR-Vの持ち味ですが、販売の伸びを見るに、あまりその雰囲気が「受けなくなってきた」ということなのかもしれません。
つまり、以前は人気であった路線も今では人気を失ってしまい、しかしそれに気づかずに「変わらなかった」ことで失敗したと言えそうですね。
トヨタRAV4はモデルチェンジで大きくイメージを変えてきた
翌2017年にはトヨタRAV4がモデルチェンジを行い、しかしこちらはCR-Vとは対象的に、大きく雰囲気を変えています。
モデルチェンジ前のRAV4はこんな感じですが、前期型に比べると後期型(画像は後期型)は最新のトヨタ顔”キーンルック”を採用して精悍なイメージに。
加えて「アドベンチャー」なるワイルドなグレードも採用し、同一モデルライフ内でも「よりアグレッシブに」変化しているようですね。
そしてモデルチェンジ後のRAV4はこちら。
完全に「オフローダー」といったルックスですが、トヨタはRAV4の発表前に「FT-ACコンセプト(下の画像)」と発表しています。
これが後にRAV4として発売されることになり、RAV4はこれまでの路線と決別することになって、完全に若者対象のアクティブなオフローダーへと舵を切ったということですね。
時代はもはやクリーンなSUVを求めていない
そしてこちらは日本市場におけるトヨタRAV(青)とホンダCR-V(赤)との販売を示したグラフ。
CR-Vの登録は2018年8月から始まっていて、その際にはかろうじて「目標(緑の横線)」を超えるも、その後は目標を超えたり超えなかったり。
2019年3月は決算の関係で大きく伸びていますが、その後はジリ貧といった状態です。
逆に、トヨタRAV4(青)は発売当初から目標(黄色の横線)」を超え、CR-Vとは逆に、月を追って伸びていることがわかります(6月だとRAV4はCR-Vの10倍くらい売れている)。
この結果を見るに、確実にCR-Vは「外した」ということになりますが、考えられる理由としては「デザインがクリーンすぎる」。
反対にRAV4はタフなルックスで人気を伸ばしているとも言えますが、ジムニーの人気を見てもわかるとおり、「オフローダーっぽい」デザインはとくに日本では人気なのかもしれません。
なお、SUVが人気になりだした頃は「シティ派4WD」っぽいオシャレなデザインが(世界的に)人気でしたが、そこから時間が経過し、今では「ワイルドな4WDっぽいデザイン」がSUVに求められているのでしょうね。
そしてホンダは過去の成功体験から抜け出せずに「同じ路線」でCR-Vをモデルチェンジさせ、しかしトヨタは時代の要望にあわせて「これまでとは異なる路線」でRAV4をモデルチェンジさせ、これが明暗を分けたと考えても良さそうです。
イメージ的には、「ホンダは常に新しいことにチャレンジする」「トヨタは保守的」だと捉えていましたが、ことCR-VとRAV4については、「ホンダが保守的」「トヨタのほうがチャレンジング」だということになりますね。