「逆馬力詐称」がここにも！新型ポルシェ911カレラSはどうやら991世代のGTSどころか911GT3、GT3RS並のパワーを実測で出しているようだ

｜　ターボエンジンのポテンシャルは計り知れない　｜

ポルシェは（GT3系以外）991世代後期からエンジンをターボ化していますが、今回992世代の911Sののターボエンジンが「カタログ値よりもかなり高い出力を発生している」と話題に。

これが判明したのはMotortrendが992カレラSをシャシーダイナモに乗せてパワーチェックを行ったことからで、この際に（4速で）424馬力を記録。※平均だと414馬力
992世代の911カレラSの公称値は450馬力なので、これよりも「低い」ということにはなるものの、メーカー公称値は「エンジン単体での計測値」だというのは考慮に入れる必要があります。

「カタログ値と実測値」とは概念が異なる

どういうことかというと、クルマのカタログに表示される「出力」については、シャシーダイナモで計測したパワーではないということで、ここでの「エンジン単体」とは、そこから先のトランスミッションやプロペラシャフト、もちろんタイヤやホイールという「回転慣性重量や摩擦でパワーを食う」パーツが装着されていない状態、ということを意味します。

なお、「エンジン単体」については、日本のJIS規格だと「エンジンに補機類を装着した状態」だと定義していて、これはエンジンにラジエターと冷却水の循環に関する装置、排気管（エキゾーストシステム）、エアクリーナーのみを装着した状態。

つまり、エンジン「単体」で計測したパワーは、トランスミッションを経由し、ドライブシャフト（FRや4WDの場合）やプロぺラシャフトを伝わり、ユニバーサルジョイントでパワーを食われ、ようやくシャシーダイナモのローラーに「実測値（軸出力）」として現れることになります。

一般に、「トランスミッション以下」のコンポーネントやパーツによってロスされるのは、FR（フロントエンジン、リアドライブ）、MR（ミドエンジン＋リアドライブ）、FF（フロントエンジン、フロントドライブ）で10％～15％、4WDだと20％～25％のロスがあると言われ、911の場合は「MRに近い」と判断できるので、450馬力の新型911カレラSだと、10～15％ロス、つまり382馬力～405馬力くらいの実測値が出るのが妥当。

そして（424馬力から）逆算すると470～500馬力くらいをエンジン単体で発生しているという推測も成立しますが、モータートレンドによれば、過去に911GT3（公称値520馬力）のパワーチェックを行った際には実測値430馬力だったといい、このロス率は約17％ということに。
そしてこの17％を今回の424馬力に当てはめると、新型911はエンジン単体で「510馬力くらい」を発生しているということにもなりそうです。

なお、この「逆パワー詐称」は新型トヨタ・スープラにて大きく報じられましたが、主にターボエンジンを搭載するクルマではこういった現象が発生しやすい傾向にあるようですね。

新型ポルシェ911の出力は「GT3」「ターボ」にも迫る

そしてその「500～510馬力」というのは911のラインアップではかなり上位に位置し、911GTS（991/450馬力）を超えて911GT3（991/500馬力）に並び、911GT3RS（991/520馬力）や911ターボ（911/540馬力）に迫る勢い。

今後、992世代でも「GTS」「ターボ」「GT3」といったモデルが発売されることになりますが、それらについては「末恐ろしい」出力を発揮することになるのかもしれません。

なお、これまでにネット上にて公開されている、主な「パワーチェック結果」は下記の通り。

VIA:MotorTrend