| 思えば、この3台が揃うのは非常に珍しい |
ドバイにて「ブガッティ3世代」を撮影した画像が公開に。
このブガッティ3世代とは「EB110」「ヴェイロン」「シロン」の3台ですが、いずれのボディカラーもブラック、そしてタイヤにはホワイトレターが入るなど「同じテイストでのカスタム」が施されています。
ただ、この中では「EB110」のみが現在のブガッティとは異なる体制下で発売されたクルマではあるものの、違和感なく溶け込んでいるのは興味深い点でもありますね。
ブガッティEB110はこんなクルマ
そのブガッティEB110ですが、こちらはイタリアに設立された「ブガッティ・アウトモビリ」によって開発・発売されたもの。
設立者は一時ロータスも傘下に収めていたロマーノ・アルティオリ氏で、同氏はランボルギーニ・カウンタックのデザイナーであるマルチェロ・ガンディーニ氏、ミウラの設計者でもあったパオロ・スタンツァーニ氏を招聘してEB110の開発に当たっています。
このEB110はもともとのブガッティ創業者であるエットーレ・ブガッティ生誕110周年を記念して1991年9月15日に発売されており、「3500cc/V12エンジンににクワッドターボ、ミドシップ、4WD」という現代のブガッティにも通じる基礎を確立。
なお、発売開始時のスペックは552馬力、0-100キロ加速は3.6秒。
軽量化にも余念がなく、ホイールはマグネシウム、ホイールボルトにはチタンを採用するというほどのこだわりを見せ、「スーパーカーのあり方」を身を以て示したクルマでもありますね。
後に出力を611馬力にまで向上させたEB110 GTスーパースポーツも登場しており(0-100キロ加速は3.2秒、最高速度は355km/h)、総生産台数は136台だと言われ、日本での新車価格は3980万円というプライシング。
残念ながら「ブガッティ・アウトモビリ」はこのEB110をリリースしたのみで解散していますが、ブガッティ創業110周年記念車「チェントディエチ」へとその魂が引き継がれています。
ブガッティ・ヴェイロンはこんなクルマ
そして1998年に設立されたのが現在の「ブガッティ・オトモビル」。
これはフォルクスワーゲンがブガッティ・アウトモビリから商標権を購入して設立に至ったもので、本社はイタリアではなくフランス。
ブガッティの復活を決めたのはフォルクスワーゲングループにて当時会長を努めていた故フェルディナント・ピエヒ氏ですが、同氏は「ハイパワー」なクルマが好きだったと見え、ランボルギーニも同時期に傘下へと収めていますね。
そして「量産車初の1000馬力超え」「世界最速」を標榜して2005年に登場したのがヴェイロン(そのネーミングはフランス人のレーシングドライバー、ピエール・ヴェイロンから)。
エンジンは8リッターW16クワッドターボ、出力は1001馬力、0-100km/h加速2.5秒、最高速度407km/hというスペックをひっさげての登場です。
その後はタルガトップのグランスポーツ(2009)、1200馬力を誇るヴェイロン16.4スーパースポーツ(2010)等のバリエーションが追加。
発売当初(2005年)の価格は約1億7000万円で、その後バリエーションを拡大し、2015年までに450台が生産されています。
ブガッティ・シロンはこんなクルマ
そしてヴェイロン後継モデルとして2016年に登場したのがシロン(これもやはりフランス人ドライバー、ルイ・シロンの名にちなむ)。
8リッターW12クエアッドターボ+ミドシップ+4WDというレイアウトはそのままに、出力を1500馬力にまで増強しています。
発売当初は「最高速420km/h」を標榜するもそれに耐えられるタイヤが存在せず、その性能が立証できないままでしたが、2019年には「シロン・スーパースポーツ300+」が時速490キロという前人未到の記録を樹立し、そのポテンシャルを世界に見せつけることに。
このほか、バリエーションとしては「シロンスポーツ」「ディーヴォ」「チェントディエチ」「シロン・ピュール・スポール」といったバリエーションを持つに至っていますが、現在のペースだと2021年には予定していた500台を売り切ってしまい、生産終了となるようですね。
なお、ブガッティはこれまでにもブランド価値を高めるために様々な活動を行っており、その甲斐あってヴェイロンの価格は30-35%(発売当初から)上昇したといい、EB100の相場も大きく上昇。
シロンの新車価格は3億5000万円ほどですが、こちらの中古相場も今後「上がることはあっても下がることはない」と思われます。