| たしかに言われてみると問題があるような気がしてきた |
さて、発売が待たれる新型トヨタ・ハリアー。
先日ではその北米版、ヴェンザ(VENZA)が発表されていますが、本職のカーデザイナーであるスケッチモンキー氏が「ハリアー/ヴェンザのデザインのここに問題がある」という動画を公開。
そして、それを解決するために小規模ながらデザインの変更を実際に行ってみせています。
新型ハリアーはタイヤが小さい
まず、スケッチモンキー氏が目をつけたのはタイヤの小ささ。
これはハリアーに限らずですが、一般に日本のクルマはタイヤが小さい傾向にあります。
これにはいくつか理由があり、タイヤ外形を大きくするとホイールハウスもそれを収めるために大きくなり、そうなると前席では足元スペース、後席や荷室だとその幅が狭くなることに。
加えて、タイヤが大きくなると(回転部品の)質量が増え、それによって燃費が悪化することも。
そのため、居住性の確保、燃費向上といった理由から(これだけではありませんが)日本のクルマは一般にタイヤがかなり小さくなっています。
ただ、欧州や米国のクルマは事情が違っていて、欧州の場合は「見栄え」を重視するので、一般にけっこう大きなタイヤサイズが与えられています。
その筆頭はレンジローバー・イヴォークやジャガーF-PACE/E-PACEですが、ジャガーの場合は、デザイナーのイアン・カラム氏が「居住性や走行性能が犠牲になるのを十分に理解した上で」大きなタイヤを与えたと報道されており、ここは日本と全く違うところですね。
アメリカの場合は悪路走破性を高めるためにタイヤが大きくなり、それによって室内スペースが食われるのであれば「車体を大きくすればいいじゃない」ということで巨大化が無限ループしていて(誰か止めて・・・)、これもまたサイズ的制約のある日本とは異なる部分。
新型ハリアーのリアセクションにはデザイン的問題がある
そしてスケッチモンキー氏が指摘するのは、新型ハリアーのサイドからリアにかけて。
本来であれば赤線のようにラインが継続し、リアを「尻上がりに見せるべきだ」と主張しています。
たしかにハリアー/ヴェンザではサイドからリアバンパーサイドのエッジにかけての連続性がなく、言われてみると破綻があるようにも。
たとえばメルセデス・ベンツAクラスだと、サイドのプレスラインが尻上がりとなり、そのラインがリアフェンダーとリアバンパーとの境界線に繋がり、ヒップアップ効果を演出しているようです。
BMW X2も同様のラインを持っていることがわかりますね。
一方でヴェンザはそういった連続性がない模様。
そこでスケッチモンキー氏はいつもの腕前を見せ、「手直し」を行うことになりますが、こちらが手直し後。
どこが変わったのかと言うと、タイヤサイズが大きくなり、サイドのプレスラインが明確に尻上がりとなり、リアバンパーサイドのエッジがそれと連続するラインへと変更されています。
ちなみにこちらが変更前。
見比べると、やはり「変更後」のほうがいいようにも思われます。
ただ、ハリアー/ヴェンザでは、あえて尻上がりなデザインを採用しなかったと見え、というのもプレスラインやエッジが「同じ幅で平行に移動している」ため。
もし尻上がりに見せたいのであれば、下辺はもう少し持ち上げられ、これが「平行でなくなるはず」だとスケッチモンキーは述べています(そして、そうあるべきだとも)。
いずれにせよ、ハリアー/ヴェンザはラインが複雑かつ多く、それらが互いにリンクしていないために雑多なイメージがある(絡み合った紐に例えている)と述べており、ここは最近のメルセデス・ベンツが提唱する「線や継ぎ目を最小限まで減らす」というデザイン言語、”Sensual Purity=官能的純粋”とは大きく異るところでもありますね。
VIA:TheSketchMonkey