
supercar_ron(Instagram)
| 3億円のフェラーリF40 LMがトラックに衝突される事故が発生 |
トラックは「当て逃げ」、現場から逃走
ユタ州ソルトレイクシティ郊外にて、非常に貴重なフェラーリ「F40 LM」が大型トラックに追突されるという衝撃的な事故が発生。
このF40 LMは、アメリカの著名コレクター「@supercar_ron」氏の所有車で、事故発生当時は彼自身が運転していた、と説明されています。
相手の特定ができることを願わんばかりではあるが
事故が起きたのは2025年6月28日(土)午後9時58分頃で、ユタ州を南北に走る高速道路「I-15」の南行き車線。
@supercar_ron氏によると、「タンクローリーを牽引したセミトラックがF40 LMの側面に接触し、PITマヌーバー(警察が車両を停止させるための技術)に近い動きをした」とのこと。
ハンドルを必死に切ってF40の制御を取り戻したときには、すでにトラックは視界の彼方に消えていたといいますが、もしかすると「いやがらせ」だったのかもしれません(あるいは単にトラックの不注意であってF40を認識できず、接触した後にことの大きさを恐れて逃げたのかもしれない)。
被害は甚大、カーボンやケブラー製ボディが剥がれる
オーナーがSNSに投稿した動画では、F40 LMの車体左側が大きく損傷している様子が確認でき、カーボンファイバーとケブラー複合材でできた外装は”剥がれ落ちるように”破損し、以下の部位に大きなダメージが見られます。
- 運転席側のドアパネル
- リアクォーターパネル
- サイドロッカーパネル
- リアバンパー
- 運転席側リアホイール(完全に破損)
これほど貴重で希少な車両の修復費用は想像を絶するもので、関係者によると「保険会社の対応がカギ」と言われています。
フェラーリF40 LMとは?その価値と希少性
このフェラーリF40 LMは、フェラーリが1980年代末に開発したF40のレース仕様モデルで、市場価値は最低でも数億円、コンディションによっては4億円超ともいわれるスーパーカー。
極めて軽量な車体に加え、過激なターボエンジンを搭載しており、フェラーリ史上でも「最も過激な公道車の一つ」と称され、「希少かつ貴重な」クルマとしても知られているわけですね。
フェラーリF40 LMの歴史と開発背景
- F40の誕生とレース構想: フェラーリF40そのものは、エンツォ・フェラーリが自ら手掛けた最後のモデルとして1987年に発表され、その際のコンセプトは「レースにそのまま出場できるロードカー」。そのため当初からレースでの活躍も視野に入れられており、特に1988年に新設が予定されていたル・マン24時間レースのGTCクラス参戦を念頭に開発が進められたという経緯があります。
- GTCクラスの頓挫とIMSA GT選手権への参戦: しかし、GTCクラスの親切が頓挫したため、F40LMはアメリカのIMSA GT選手権へと参戦することに。
- ミケロットによるチューニング: F40LMは、フェラーリ公認の専門チューナーであるミケロットによって、徹底的なチューニングが施されており、最初にわずか2台が製造されIMSA GT選手権に参戦したものの、その活躍を見て他のカスタマーからの依頼が増え、最終的に10台前後が製造されたと言われています。これらの追加生産されたF40LMは、「F40コンペティツィオーネ」とも呼ばれることがあります。
- その後のレースでの活躍: 1995年にはBPR GTシリーズで1勝を挙げ、同年のル・マンでは総合12位を記録するなど、輝かしい戦績を残したことでも知られています。
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フェラーリF40 LMの主要な特徴と性能
F40LMは「モータースポーツ参戦」を目的とした車両だけにオリジナルのF40から大幅に性能が向上しており、おおまかには以下のようなスペックを持っています。
- エンジン:
- オリジナルのF40に搭載された「Tipo F120A型」をベースに、ミケロットが大幅にチューンした「F120B」ユニットを搭載
- 排気量は2,936ccのV型8気筒DOHCツインターボ、しかしタービンおよびインタークーラーの大型化、ブースト圧の引き上げ(1.1barから2.5bar)、マネジメントシステムや給排気系の見直しにより、大幅なパワーアップを実現
- 公称最高出力は780PS/8,100rpmに達し、エアリストリクター未装着時には800PSを越えるパワーを発揮するとも言われる
- トランスミッション:
- オリジナルのF40の5速HパターンMTから、エクストラック社製のシーケンシャル6速ミッションに変更
- 最高速度:
- 理論上の最高速度は約367km/hと言われ、実際に364km/hをマークした記録も
- 外観:
- 薄型のステーと車体幅まで拡大されたリアウイングを採用するなど、空力性能を向上させるための変更が施される
- レースに勝つためだけに作られたモデルのため、本物のLMのフロントフードは取り外し可能など、細部にわたって軽量化と機能性が追求されている
F40LMは、単なるF40の高性能版というだけでなく、レースに勝つために徹底的に作り込まれた、まさに「公道を走れるレーシングカー」と呼べる存在であり、その希少性と圧倒的なパフォーマンスから現在でも世界中のコレクターによる高い評価を受けていることでも知られます。
オーナーはアストンマーティン・ヴァルキリー・スパイダーの第一号納車者
事故の被害者である@supercar_ron氏は、アストンマーティン「ヴァルキリー・スパイダー」のアメリカ第1号オーナーでもあり、数々の限定スーパーカーを所有するコレクターとしても非常に有名。
今回の件に関して、SNS上では多くのクルマ好きを中心に「逃走したトラック運転手への怒り」と「F40 LMへの同情」が寄せられていますが、ひとまずは無事に修復がなされることを期待したいと思います。
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参照:supercar_ron(Instagram)