| さすがはポルシェ、見えない部分にまで徹底的にこだわる |
ポルシェのハイパフォーマンスモデルは「馬力アップ」だけではない
さて、ポルシェは718ケイマンにハードコアモデル「GT4」を設定していますが、これは単に「パワーアップとダウンフォースを追求した」だけのモデルではなく、思った以上に様々な仕掛けがある模様。
今回はユーチューバー、エンジニアリング・エクスプレインドが718ケイマンGT4の細部をチェックし、ポルシェのほかモデル(主にケイマンGTS4.0や911)と比較していますが、中でもアンダーボディには大きな相違があるようです。
その裏面にはゴルフボール同様の「ディンプル」があった
そこで718ケイマンGT4のボディ裏面を見るとこう。
フロントアンダーにはゴルフボール状のディンプル(くぼみ)があることがわかりますね。
そしてボディ裏面全体にもディンプル。
ちなみにぼくはクルマをチェックする祭、まずボディよりも(しゃがみこんで)サスペンションや車体裏面から見るタイプで、そのぶん様々なスポーツカーの「裏面」を見てきているものの、この「ディンプル」は初めて見たように思います。
「ディンプル」とは?
なお、身近なところでこのディンプルが見られるのは「ゴルフボール」。
ゴルフボールの表面には無数のディンプルがあり、このディンプルが渦管を発生させて飛距離を伸ばすと言われています。
なぜゴルフボールにディンプルが用いられるようになったのかは諸説あるようですが、ゴルフボールが開発された当初、ゴルフボールの表面は「ツルツル」で、しか使用するうちに傷がついたゴルフボールのほうが「飛距離が出るようだ」ということから表面に加工が施されるようになり、これが現在のディンプルに至るというのが通説です(その理論だと、卓球のボールにディンプルを設ければ、卓球も新次元に突入するのかもしれない)。
このディンプルには流体力学上きちんとした説明がつくようですが(ディンプルの発生させる小さな渦が空気の剥離を防ぐ?)残念ながらぼくはそこに明るくはなく、とにかくエアロダイナミクスの向上にはディンプルの発生させる渦が大きく影響しており、その意図と効果としてはボルテックスジェネレーターと同様なのかもしれません。
そのほかにはこういった相違も
そしてこういった「目に見えない部分」に多大なる労力を注ぎ込んだことでもわかるとおり、ポルシェは718ケイマンGT4のエアロダイナミクスに対して多数の改良を加えていて、取り入れたエアを排出することを重要視している模様。
これには様々な効果と理由が存在しますが、結果として前面投影面積を最小化できるという利点もあるようですね。
リアアンダーはこう。
ホイール内部へと導風し、ブレーキの冷却を行なうためのフィンも見られます。※ポルシェが993〜996あたりで採用していた「ターボホイール」は、回転によりホイール内のエアを吸い出すスポーク構造を持っていた。現在それが無くなったのはちょっと残念
サイレンサー部分は「露出」。
本来はここを覆ったほうが空力的には良いのだと思われるものの、放熱を考えての「露出」なのかもしれません。
ちなみに、BMW M4では、サイレンサー(タイコ)部分が露出することを前提に、その表面がアンダーパネルと一体化するように設計されており、エキゾーストシステムがエアロパーツの一部として機能するように考えられています(おそらく、Z1あたりからの「Mモデル」の伝統だと認識している)。
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ポルシェ718ケイマンGT4の車体重量は意外と軽くなかった
なお、ポルシェの「GT」モデルというと軽量化が一つの特徴ではありますが、718ケイマンの車体重量は意外と軽くはなく、「1486kg」。
搭載されるエンジンは718ケイマンGT4、718ケイマンGTS 4.0ともに4リッター自然吸気フラットシックス。
ただしこれは911GT3のエンジンとは関連性がなく、911カレラに積まれる3リッターツインターボからターボを取り外し、排気量を4リッターに拡大したものです(つまり、911カレラのエンジンは、最低でも4リッターまで排気量アップが可能)。
一方、718ケイマンGTS 4.0の重量は1467kgと「ケイマンGT4よりも軽量」。
大きな軽量化については、今後登場するであろう「718ケイマンGT4 RS」を待つ必要があるのかもしれませんね。