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30年間ずっと同じ家族によって所有され、今までメンテナンスを受けながら走り続けてきたポルシェ959が競売に登場。しかも未レストアという好物件、予想落札価格は1.5億

2021/11/06

30年間ずっと同じ家族によって所有され、今までメンテナンスを受けながら走り続けてきたポルシェ959が競売に登場。しかも未レストアという好物件、予想落札価格は1.5億

| ポルシェ959を30年間も維持するのにはきっと相当なコストがかかったことだろう |

ポルシェは959を1台販売するごとに数千万円の損失を出していたという

さて、今月開催のオークションにてポルシェ959コンフォートが登場予定。

このポルシェ959は1987年12月に新車としてドイツへと納入された後、1992年にイギリスへと渡り、そこでロンドンのポルシェ正規ディーラー、HRオーウェンによって現地の顧客へ納車されることになりますが、以来30年以上ずっと同じ家族によって所有されてきたと紹介されています。

しかも30年の間ずっとメンテナンスを受けながらも適度に運転されており(ちゃんと動作することが保証されている)、そのうえ「未レストア」という他に例を見ない理想的な個体です。

このポルシェ959の履歴は「極めて明白」

このポルシェ959については製造時の記録も残っていて、その記録そしてポルシェ専門家であるユルゲン・バルト氏の調査によると、この959は1987年11月に製造され、ダークブルーのレザーを用いたインテリアにグランプリホワイトのペイント、シートヒーターと電動調整式シート、アラームシステム装備という仕様を持っていたこともわかっており、これは現在の仕様と一致することも証明済みです。

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なお、付属のサービスブックに記載されている情報だと、このポルシェ959は1989年6月に初登録され(納車から1年半の間、登録されていない)、その2ヵ月後にはオリジナルのキロメーターベースのスピードメーターから(ポルシェ・リーディングによって)マイル表示に変更されたとのこと(当時、オリジナルのオドメーターは2,811km/1,747マイルを示していた)。

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1992年10月には現在のオーナーの家族に販売されることになり、レディングのポルシェセンターで定期点検が行われ、サービスブックの記載によれば、その後継続して走行距離を積み重ねてきたことが記されており(入庫の都度、距離が伸びている)、最近では2021年2月にポルシェ・レディングでサービスを受けていると紹介されています。

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このポルシェ959は、長きにわたってロンドン中心部で使用され、ウエストエンドのスーパーカーハンターたちの間ではよく知られた存在だそうですが、959がドイツで使用された当初の1,747マイルという記録、現在のオドメーターが指している14,913マイルとを考慮すると、この車の走行距離は合計で16,660マイル以下であると考えられ、34年前のスーパーカーとしては非常に少ない数字です。

それでも「定期的にメンテナンスを受けながら乗られている」ために安心感もあり、高い信頼性を備えていると考えられ、よって予想差落札価格は1億5000万円くらいまで上がるのでは、と見られているようですね。

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ポルシェ959はこんなクルマ

「革新的な技術と驚異的なパワーを誇る」ポルシェ959は、伝説的なレースシリーズであるグループBのプロジェクトとして誕生しており、911カレラと同じ89.4インチのホイールベースのシャシーを使用しているものの、エンジンは「まったくの別モノ」。

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タイプM95950エンジンは空冷式シリンダーを採用していますが、4バルブヘッドは水冷式でブロックにはチタン製コンロッド、合金製ピストン、ニッカシルライニングのボアが使用されており、これは935モビーディックやポルシェのインディカー・プロジェクト、さらに956と962のレースカーに搭載されたものと同一だと言われます。

2基のKKK製インタークーラー付きシーケンシャル・ターボチャージャーとボッシュ製フューエルマネジメントの組み合わせによって最高出力444ps/6,500rpmを発揮し、そのパフォーマンスは(6気筒ながらも)フェラーリやランボルギーニのV12モデルと同等かそれ以上であった、とも。

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チーフエンジニアを務めたヘルムート・ボット氏によると、959設計時には全輪駆動システムをはじめとする高度な電子技術にこだわったといい、PSK(Porsche-Steur-Kupplung)と呼ばれるトルク・ディファレンシャルは、ドライバーが手動で前輪と後輪のパワーの割合をコントロールすることができ、加速時には後輪に80%ものパワーを振り分けることが可能です。

前後サスペンションにはダブルウィッシュボーンが採用され、各ホイールにはデュアルショックアブソーバーが装着され、現在のアクティブダンパーの先駆けとなったこのシステムは、当時としては非常に先進的なものだったと言われていますね。

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エクステリアデザインは、ポルシェの伝統的でもある”911スタイル”を踏襲するものの、冷却のための多数のベンチレーションダクトを備えており、チーフデザイナーであるディック・ソダーバーグ氏とエアロダイナミクスの専門家であったハーマン・ヴルスト氏は、959のスタイル上のアイコンでもある一体型リアウィングを開発し、0.31という驚異的な低抗力係数を実現することに成功。

フロアとキャビン中央部はスチール製ではあるものの、フロントデッキリッドとドアはアルミニウム製、ノーズはポリウレタン製、その他のボディシェルはガラス繊維強化ケブラー製を採用することで軽量化が図られていることも959ならではの特徴です。

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1986年にグループBレースが廃止された後も、959はカスタマーロードカーとして継続販売され、しかし製造コストが高く、ポルシェは1台につき50%の損失を計上したといい、1988年の生産終了時にはわずか292台が生産されたのみという記録が残りますが、そのほとんどがレザーシートとエアコンを装備した”コンフォート”であったようですね。

当時ポルシェ959は、フェラーリF40やランボルギーニ・カウンタックと並び「当時の若者の寝室の壁に貼られたポスター」の象徴であったとされ、当然ながら現在でもコレクターの憧れの的となっています。

ちなみに959のメンテナンスコストは非常に高価だと聞いたことがあり、「維持するのが大変なクルマ」の一台としても知られます。

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参照:RM Sotherby's

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