生産わずか17台、ポルシェ911カレラRS 2.7のレーシングスペック（RSH）が中古市場に！ナナサンカレラの相場はこの18年で15倍にまで跳ね上がっている

｜　ナナサンカレラは、ベースのポルシェ911のポテンシャルがいかに高いか、そしていかに軽量スパルタンな911を求める人が多いかを証明した　｜

おそらく、ここからもその相場は上がり続けるだろう

さて、「もっともコレクターズアイテムとしての価値があるポルシェ911」、カレラRS 2.7の売り物が登場。

これはRMサザビーズを通じてカリフォルニア州カルバーシティから売りに出されている個体で、1973年5月に製造されたもの。

ポルシェは合計で1525台のポルシェ911カレラRSを生産していますが、そのうち200台がライトウェイト（RS/M471）スペック、1308台がツーリング（RSL/M472）スペック、そしてわずかに17台のみが今回売りに出されているホモロゲーションモデル（純粋なレーシング仕様/RSH）だったと言われます。※さらには「RSR」が55台生産されている

ちなみにこの個体の販売価格は13万5000ドル、つまり日本円にして1億5500万円。

ポルシェ911カレラRSの価格はこれだけ上がった

ポルシェ911カレラRSは上述の通り「コレクターズアイテムとしての価値が”非常に”高い」モデルですが、その値上がり幅が非常に大きいこともそれを証明しています。

たとえば2004年の平均的な911カレラRSの相場は約10万ドル（現在のレートで1150万円くらい）、しかし2014年には78万ドル（9000万円くらい）にまで値上がりし、ここ最近だと1億円を軽く突破する取引が相次ぐことに。

この911カレラRS 2.7について、当時ポルシェがグループ4カテゴリ（GT/スペシャルスポーツカーカテゴリー）参戦のためのホモロゲーションモデルとして生産した特別仕様車であり、ベースとなるのは911S/2.4、エンジンは2.7リッターで210馬力、トランスミッションは5速マニュアルのみ。

軽量化、パワーアップ、足回り強化という、現代のRSモデルにも通じる「スポーツカーの基本」を強化したモデルです。

外観上だと、増大したパワーを受け止めるべくリヤタイヤの容量が拡大し、それを収めるためにリアフェンダーも同時に広げられているほか、下方まで伸びたフロントスポイラー、最大の特徴となったダックテールリヤスポイラーの装着が911カレラRSの識別点。

機能面では、薄肉フロントガラス、リアシート除去、樹脂製バンパー/リヤフードといった軽量化、ビルシュタイン製ガス充填ショックアブソーバー、前後スタビライザーの大径化、リヤサスペンションの剛性アップといった対応がなされています。

しかしながら、レースに参加するにあたって「それだけしか変更が加えられていない」のもポルシェのひとつの特徴であり、それだけベースの911のポテンシャルが高いということも理解ができますね（これは現代のポルシェ911も同様）。

なお、ホモロゲーションを取得するには500台の生産規模があれば十分だったそうですが、結果的に（予定の3倍以上の）1525台が製造されることになったということからも、当時から「軽量スパルタン」なポルシェ911を求める人々が多かったという事実を見て取ることができ、これが今日の「GT」「RS」シリーズへとつながっている、と考えても良さそうですね。

今回販売されているポルシェ911カレラRSは1980年代にフルレストア

今回販売されているポルシェ911カレラRS（RSH）について、1973年にライトアイボリーのボディカラーによって仕上げられた状態にてポルシェの工場から出荷されており、その後は数多くのコレクターや愛好家の手を経て1980年代にはオレゴン州のポルシェコレクター、マーク・ハイニンジー氏の手に。

ただし同氏が入手した段階では、ワイドフェンダーが装着されたりと「本来の姿から改変されていたため」オリジナルの姿へと戻すべくフルレストアがなされており、その後もチェーンテンショナー、エキゾーストシステム、その他多くのパーツがメンテナンスされ、その都度オリジナルへと戻されていったと紹介されています。

昨今のポルシェ911カレラRSの取引額、そしてこの個体が希少な「RSH」ということを考慮するに、今回の販売額（1億5500万円）は安すぎるんじゃないかとも考えてしまいますが、その背景には「非オリジナルの改造が施されていた」ことがあるのかもしれませんね。

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参照：RM Sotheby’s