| ミニにはやっぱりレッドがよく似合う |
改造範囲は最小限、これでどこまで戦えるのかには要注目
さて、ミニがニュルブルクリンク24時間レースの開催50周年を記念して10年ぶりに参戦を行う、と発表。
ニュルブルクリンク24時間レースは「人とマシンの究極の耐久勝負の場」と言われており、ベースとなるミニ ジョン・クーパー・ワークスGP、そして過酷な耐久レースへの参戦に向けて細部が変更されることに。
参戦パートナーは(ステッカーが貼られている)ブルドッグ・レーシング、参戦するのはSP3Tクラスだとされ、規定に従いロールケージや100リッタータンク、耐久レース用の油圧リフター等が装備されているようですね。
ニュルブルクリンク24時間レース用のミニにはこんな改造が施される
なお、レギュレーションの関係なのか4気筒ターボエンジン(225kW/306hp、最大トルク450Nm)はノーマルのまま、そしてこれも市販車と同じ大容量8速ステップトロニック・トランスミッションを持ちますが、これには最大70%のロック率を持つ機械式ディファレンシャルが組みあわせられ、駆動トルクをロスなく路面に伝達できる、とされています。
見たところホイールは「ノーマル」のままに見え、改造範囲がかなり狭い(安全性と空力、軽量化くらい)カテゴリなのかもしれません。
そのほかだと樹脂(マクロロン)製のウインドウ、フラットボトム、リアディフューザー、フロントスプリッター、リアウイングといった軽量パーツ、空力パーツも装着済み。
機能面だと伸縮ダンピングが調整可能な専用レーシング・サスペンションが装着され、シャシーとサスペンションの可動部品はすべて強化されたユニボール製ベアリングへ、そしてスポーツエグゾーストシステムにはレーシングキャタリティックコンバーター(触媒)が取り付けられている、とのこと(テールパイプは1本出し)。
ブレーキシステムはノーマルのように見えるものの、BMW M Performance製だと紹介されています。
フロントグリル内には夜間の走行を考慮してか強力そうなLEDランプが装着されることに。
このミニは「ミニ・ジョン・クーパー・ワークス・メイド・イン・ニュルブルクリンク」と名付けられており、ボディカラーは1960年代のミニ製レーシングカーを代表するレッドとホワイトへ。
なお、1960年代はミニのモータースポーツ活動にとってひとつの「ピーク」だった時代でもあり、1962年にはパット・モスによってチューリップ・ラリーでミニ初の国際ラリー優勝を果たのち、1964年にはパディ・ホプカーク、1965年にはティモ・マキネン、1967年にはラウノ・アールトネンがモンテカルロラリーにて総合優勝を飾っています。
これらに加え、2012年にはレオニード・ノビツキー、2013年にはステファン・ペテランセル、2014年にはナニ・ロマ、2015年にナセル・アル・アティヤ、2020年にカルロス・サインツ・シニア、2021年にステファン・ペテランセルといった面々がダカールラリーにて総合優勝を6度も達成することに。
ミニ・ジョン・クーパー・ワークス・メイド・イン・ニュルブルクリンクのインテリアはこうなっている
そしてこちらはミニ・ジョン・クーパー・ワークス・メイド・イン・ニュルブルクリンクの内装ですが、メーター類がノーマルのなのが印象的。
ロールケージはガッチリ組まれてボディ剛性と安全性を担保。
シートの後ろには安全タンク。
なお、このミニ・ジョン・クーパー・ワークス・メイド・イン・ニュルブルクリンクはその企画誕生から実車のロールアウトまでわずか7ヶ月という短い期間にて製造されたといい、今後はニュルブルクリンクと南フランスのミラマにあるBMWグループのテスト・センターでさらなる調整を行う、とのこと。
BMWは1986年以来、このミラマにて新型車のテストを行っているそうですが、ミニはそのノウハウを活用してこのレーシングカーの開発を効率的に行ったということになりそうです。
ちなみに欧州のモータースポーツはこういった耐久レースが多く、かつ(格式として)重んじられているようですが、それは耐久レースに求められる極度のストレス下でのマシンの信頼性、そしてチームの戦略やメカニックの作業の正確性、ドライバーの冷静さといったチームワーク、そして何より「最後まで走り抜くこと」の重要性を求めているからなのかもしれませんね。
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参照:BMW Group