| 現段階では、新しい「3本の柱」については具体的に示されていないが |
多くの自動車メーカーが、そのエンブレムと未来に役割について再考している
さて、メルセデス・ベンツがその有名なエンブレム「スリーポインテッドスター」の解釈を時代とともに変更する、という報道。
現在のメルセデス・ベンツのエンブレムは「ゴットリープ・ダイムラーによって、陸・海・空におけるモビリティ」というビジョンを示したものですが、メルセデス・ベンツいわく、今後これは自然保護主義や環境といった観点からの解釈へと変化すると述べ、2月以降に開始されるキャンペーンにて様々な告知がなされるとのこと。
なお、このキャンペーンは同社のサプライチェーン全体含めてカーボンニュートラルを実現するという、メルセデス・ベンツの掲げるプロジェクト「Ambition 2039」の一環として行われるものだと報じられています。
メルセデス・ベンツは「環境に対して真剣に取り組んでいる」ことをアピール
メルセデス・ベンツは持続可能な未来に真剣に取り組んでおり、これまでにも廃オムツやエアバッグ素材のリサイクルに取り組んでいることも公表していますが、車両を構成するリサイクル素材比率を向上させること、そもそも車両のリサイクル率を向上させることについても言及済み。
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こういったリサイクルは非常にコストが掛かり、よってメルセデス・ベンツとしても「本音としては」注力したくないのかもしれませんが、環境に対して真剣であるという姿勢を見せないと環境活動団体から非難されたり訴訟を起こされてしまうため、”やむを得ない”のかもしれません。
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そしてこの「真剣さ」をアピールする方法について、やはり目に見えるものを変えてゆくことがわかりやすいのだと思われ、よって今回のエンブレムの解釈の変更(エンブレムそのものが変わるわけではない)を行い、そしてこれは世界中の主要な市場で展開され、テレビ、映画、ソーシャルメディア、印刷広告などじつに多岐にわたるもよう。
もちろんメルセデス・ベンツとしては、このキャンペーンにて、エンブレムの定義の変更にあわせ「2030年までに二酸化炭素排出量を削減し、販売する新車をすべて電気自動車にする」など、環境に対して真剣に取り組んでいる姿勢を周知させてゆこうという試みるわけですが、それによってブランドイメージを大きく変革してゆこうということになるのだと思われます。
メルセデス・ベンツはこう語る
メルセデス・ベンツにてコミュニケーション&マーケティング担当副社長を務めるベッチナ・フェッツァー氏によると、「メルセデスの”スリーポインテッドスター”は、今も昔も、私たちのユニークな歴史、ブランドを特徴づけるパイオニア精神、そしてモビリティの新しい時代の幕開けを可能にする絶え間ない革新的な強さを表しています。そして電動化という新しい時代に幕開けに際し、"It's a sign of new times "というスローガンとともに、私たちにとってラグジュアリーとサステナビリティが共にあることを改めて視覚化し、エモーショナルなカリスマ性をもって市場に驚きを与えてゆきたいと考えているのです」。
つまりメルセデス・ベンツは、これまでとは根本的に異なることを目指し、そうすることで、現代のライフスタイルに適合し、気候変動に配慮したブランドを求める新しい顧客を惹きつけようとしているのだとも考えられますが、あまりに環境環境と声高らかに宣言したとしても、実際にモータースポーツに参戦したりハイパフォーマンスカーや大きなSUVを販売しているという事実は隠しようもなく、となるとトヨタのように「二枚舌」と言われてしまう可能性も。
加えて、あまりに環境寄りの姿勢を見せてしまうと既存の顧客からも反発を招く可能性もあり、このあたりのさじ加減は非常に難しいのかもしれません。
なお、旧来の顧客、そして新規顧客ともに満足できる「電動化」「環境対策」を行なっているのはロールス・ロイス、そしてベントレーだという印象ですが、車種が少なく、特定セグメントに特化したブランドほど姿勢を明確に示しやすく、しかし幅広いラインアップを持つブランドほど、統一した方向性を打ち出すことが難しいのかもしれませんね。
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