| なんだかんだ言いつつもテスラの販売力は他から抜きん出ている |
一方でフォルクスワーゲンはその存在感を失い続ける
さて、米国のEV市場はテスラやリビアンといった新興勢力、はたまたフォルクスワーゲンやGM、フォードのような既存自動車メーカー入り乱れての戦いとなっていますが、現時点ではまだまだテスラの優位性が揺るがない状況にある、との報道。
まずは2023年上半期の各社のEV販売状況(トップ5)は以下の通り。
- テスラ・・・336,892台(前年同期比+30%)
- ヒョンデ+キア・・・38,457台(前年同期比+11%)
- GM・・・36,322(前年同期比+365%)
- フォルクスワーゲン・・・26,538台(前年同期比+114%)
- フォード・・・25,709台(前年同期比+12%)
テスラの販売は文字通り「桁違い」
この結果を見ると、テスラは2番手の「ヒョンデ+キア」に比較すると文字通り「桁違い」の販売台数を記録しています。
伸び率だけ見ると「+30%」なのでさほど伸びていないように見えるものの、ベースとなる数が多いために、「伸びた台数」でいえば他のいずれのメーカーよりも多いということになりますね。
今回の統計において、前年同期比でランクをあげたのはヒョンデ+キア、ランクを下げたのはフォルクスワーゲン(前回の調査では2位)、そしてフォードは初のトップ5入り。
ただしフォードは「マッハE」を生産する工場の再整備を行っていたために生産ができない期間があったとされ、実際に再稼働がはじまった6月には前年比110%の伸びを記録しているというので、今後フォードはさらに販売を伸ばしてくることになるのかもしれません。
ただしテスラの販売増加はEV市場に成長速度には追いついていない
こうやって見るとテスラの成長は圧倒的に見え、それはテキサス州の新工場の稼働と増産が追い風となったとされているものの、米国のEV販売におけるテスラの市場シェアは前年から10ポイント近く低下し、米国内で販売される電気自動車の60%にまでシェアが低下しています。
テスラの市場シェア低下は、より多くの競合他社がこの分野に参入し、市場全体が成長する過程で生じており、実際に米国でのEV販売台数は、2022年上半期と比較して約50%増加しているのだそう。
ただ、ガソリン車市場とは異なり、どこかがシェアを取った分だけ「ほかが縮小する」わけではなく、EV市場自体が急速に拡大しているため、「シェアが下がっても成長する」のがEV市場のちょっと奇妙なところかもしれません。
ちなみにですが、2位に浮上したヒョンデとキアはGMやフォード、フォルクスワーゲンにとって「脅威」だといい(もちろんテスラにとっても)、というのもヒョンデとキアのEVは米国では税制優遇対象ではなく、よって価格優位性が失われているため。
よってほかの米国産EVに比較して「割高」に見える中で販売を伸ばしたことは特筆に値すると見られているわけですね。
ただ、この税制優遇について、「販売」だと対象とならないものの、リース販売になるとその対象に含まれるそうで、ヒョンデはこの”抜け穴”を活用してリース販売を(以前の2%から)現在30%にまで拡大しているのだそう。
これについて、ヒョンデ・モーター・アメリカのランディ・パーカー最高経営責任者は、「均等な競争条件ではないし、我々は確かに満足していない。しかし、それは配られたカードであり、我々はできる限りその手札でプレイしようとしている」とコメントしており、さらなる「奇策」にて攻めてくるのかもしれません。
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参照:CNBC