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フェラーリが中国製スーパーカーを「見事な宝石」「素晴らしいクルマ」と称賛しつつも「脅威ではない」と断言。「なぜなら我々にはエモーションがある」

フェラーリ849テスラロッサ「アセットフィオラノパッケージ」装着車のエクステリア〜エンブレム
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| 激変する自動車市場:中国勢の台頭に対するフェラーリの視点 |

そして今後もフェラーリほどのブランド価値を持つ中国メーカーは生まれないであろう

かつて中国の自動車メーカーといえば、欧州車のデザインを模倣したノックダウン生産(他国で製造された部品を輸入して組み立てる方式)や、質の低い基本構造で業界の笑いものにされていたものですが、しかしそんな時代は完全に過去のものとなり、現在、中国勢は電動化の波に乗って西側諸国のプレミアムブランドのシェアをまたたく間に奪いつつあるというのが(疑いようのない)現状です。

そしてこの驚異的な躍進には超高級スーパーカーの頂点に君臨するフェラーリも一目を置いているというのが今回のニュースなのですが、しかし彼らは新興中国製ハイパフォーマンスブランドに対し、自らの牙城が崩されるような恐怖は抱いていないということも明らかになっています。

この記事の要点

  • 技術へのリスペクト:フェラーリのマーケティング責任者は、中国メーカーがテクノロジーや直線での性能面で「見事な宝石」のような素晴らしいクルマを作っていると高く評価
  • 決定的な違いは「エモーション」:直線で速いクルマは作れても、コーナリング時の精密な挙動、乗り手に自信と感動を与える「ドライビングエモーション」の領域では依然としてフェラーリに一日の長がある
  • 「ライフサイクルの短さ」を指摘:毎月のように新型車が登場する中国車を「ある種の消耗品」と表現。数十年単位で価値が続くフェラーリの「ヘリテージ(遺産)」とは本質的に異なると一蹴
  • 中国市場での苦戦:一方で販売データはシビア。フェラーリの中国での2025年販売台数は584台と、2023年の半分以下に急減している
フェラーリ296GTBのメーター
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性能は「見事な宝石」だが、走りの感動(エモーション)はまだ遠い

フェラーリにてグローバル・マーケティング・ディレクターを務めるエマニュエル・カランド氏は頻繁に中国へ足を運び、現地の最新車両を自らテストしているといい、実際のところ「中国車の実力を誰よりも熟知している」人物です。

彼はインタビューにて、過去数十年間における中国メーカーの驚異的な進歩を称賛しつつも、高級車として最も重要な「ある領域」において、まだ大きな開きがあると指摘することに。

「彼らはパフォーマンスの面で信じられないほどの進歩を遂げていると思います。しかし、『ドライビングエモーション(走りの感動)』の面では、まだ少し遅れをとっていると言わざるを得ません。 直線を速く走るクルマを開発するのは難しくありません。しかし、カーブに進入するときに信じられないほど正確で、車体がフラットに保たれ、ピッチング(前後の揺れ)やロール(左右の傾き)を起こさず、ドライバーに安心感と感動を与える……これこそが、私たちがやろうとしていることです。スピードを出しているときだけでなく、ステアリングを握った瞬間から、あなたは『フェラーリを運転している』と実感できるはずです」

フェラーリのステアリングホイール〜エンジンスターターボタン(ロッソレザー)
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フェラーリ アマルフィのリア~跳ね馬エンブレム
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フェラーリは、マラネロ(フェラーリ本社)が生み出すような、コーナーを駆け抜ける際のゾクゾそくするようなスリルを持つクルマ作りにおいて、中国はまだその域に達していないと確信しているということになり(そしてそれは事実だ思う)、ただし中国車をベンチマーク(比較評価)することで学ぶべき点があることも認めていて、中国勢にこれ以上差を詰められないよう、新型車の開発へのモチベーションを高めていることについても触れています。※実際のところ、過去にシャオミSU7 ウルトラをテストしていた可能性も報じられている

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中国スーパーカーの弱点:毎月進化する車は「消耗品」にすぎない

フェラーリは、中国メーカーが優れた快適性、豊富な機能、そして最先端のテクノロジーを備えた魅力的な製品を作っていることについては否定しておらず、しかし跳ね馬のバッジを掲げる彼らは、それらを「直接的なライバル」とはみなしていないのもまた事実。

その理由は、プロダクトの「寿命(ライフサイクル)」に対する考え方の根本的な違いにあり、カランド氏はこう付け加えます。

「中国メーカーが作るクルマの全体的な組み合わせは、フェラーリが生産するものとは大きく異なります。彼らが開発しているのは、ある種の『消耗品(コンシューマブル)』です。毎月のように新しいクルマが登場し、自分が乗っている一世代前のクルマはすぐに古くなってしまうのですから」

香港の駐車場に停車するシャオペンのEV
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フェラーリのモデルには、時代を超越した持続力(リセールバリューやコレクション価値)があり、何十年経っても色褪せないブランドの「ヘリテージ(歴史的遺産)」こそが、新興の中国企業には決定的に不足している最大の資産だと指摘しているわけですね。

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【市場での位置付け】数字が語るフェラーリの「中国での苦戦」と「世界での大躍進」

ブランドの優位性を主張するフェラーリですが、世界最大の自動車市場である中国における「販売データ」の推移を見ると、決して楽観視できる状況ではないことがわかります。

フェラーリの市場別・時期別 販売台数データ

  • 中国市場での年間販売台数
    • 2023年:1,221台
    • 2025年:584台(2023年比で50%以上減少
  • 中国市場での四半期(Q1)動向
    • 2025年 Q1:180台
    • 2026年 Q1:180台(前年同期と完全に横ばい、下げ止まりの兆し)
  • グローバル(世界全体)での年間販売台数
    • 2024年:13,752台(過去最高記録)
    • 2025年:13,640台(最高記録に迫る安定した水準、中国の減益を他地域でカバー)
  • グローバルでの四半期(Q1)動向
    • 2026年 Q1:3,436台(前年同期比で157台の微減)
上海のフェラーリ正規ディーラーへ。やはりもっとも人気があるのは「レッド」だそうだ
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2023年通年と2025年通年を比較すると販売台数が「半分」となっているのですが、これを「新興EVスーパーカーの台頭や経済状況の変化により、富裕層の買い控えやシェアの流出」と見るかどうかはちょっと難しいところ。

フェラーリは中国での販売現象について「戦略的調整」だともコメントしていて、つまり「意図的に中国市場への割り当てを減らしているものと考えられ、実際に2025年と2026年の第一四半期では「同じ台数」を販売していること、ワールドワイドでの販売を落としていないことを考慮するに、「中国に振り分ける分を減らしてほか市場に回している」と捉えることが可能です。

ウワサレベルでは、「中国人はフェラーリの扱いが乱暴であり事故をよく起こすので」ブランドイメージを貶める可能性があるとして中国での販売を絞っているとも言われていて(ランボルギーニでも同様のウワサが囁かれている)、これについてはいくら考えても事実はわからない、といったところでもありますね。※事実、共産党幹部の息子が「2人乗りのフェラーリに」3人乗って大事故を起こして問題になり、中国で「フェラーリ(法拉利)」が検索できなくなったことがある

新型EV「ルーチェ」が握る、今後のゲームチェンジャーとしての可能性

自動車業界の未来を予測する上で今最も注目されているのがフェラーリド初の100%電気自動車(EV)「Luce(ルーチェ)」の存在です。

これまで「爆音のV12/V8エンジン」というエモーションを武器にしてきたフェラーリが、静かで滑らかなEV市場において、中国のハイテクEVスーパーカー(例:仰望・U9など)とどう渡り合うのか。一部の批評家は「エンジン音のないフェラーリが中国で受け入れられるのか」と懐疑的ではあったものの、フェラーリCEO、ベネデット・ヴィーニャ氏によると「世界中の富裕層からすでに非常に強い関心」が寄せられており、具体的な銀行振込(手付金の入金)がすでに始まっている」。

実際のところ、ルーチェはある意味で「対中戦略商品」的性格を持っていんじゃないかとも考えていて、ルーチェだとさすがに「無謀運転をして事故を起こす」確率も低そうであり、「スポーツカーの割り当てを減らしたぶん」、ルーチェを中国市場へと多めに回すんじゃないかと思ったり。

中国でのフェラーリ ルーチェの発表イベント

Image:Ferrari

結論:テクノロジーの「中国」vs 感性と伝統の「フェラーリ」

今回のフェラーリの幹部の発言は新興勢力への負け惜しみではなく、ラグジュアリー(贅沢品)の本質を突いた冷徹な分析とも言えるもの。

スマートフォンや家電のように「スペックが毎年アップデートされ、古いものは価値を失う」というデジタル思考で作られる中国のハイテクEV。それに対し、「購入した瞬間からクラシックカーとしての歴史が始まり、価値が維持される」という芸術品思考で作られるフェラーリ。

中国メーカーがどれほど「見事な宝石」のような速いクルマを作ろうとも、一朝一夕には手に入らない「伝統」、そして数値化できない「精密な走りの快感」がある限り、跳ね馬の絶対的な優位性はしばし揺らぐことはなさそうですね。

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参照:GoAuto, Motor1

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