| 現在、ガンサーワークスの「新車」には長いキャンセル待ちの列ができている |
そしてレストモッド車両の芸術性が高く評価される時代にようやく突入
さて、ポルシェのレストモッド第一人者というとカリフォルニアのシンガー・ヴィークル・デザインですが、カリフォルニアにはもうひとつ熱狂的なファンを持つポルシェのレストモッドビルダーが存在し、それが「ガンサー・ワークス」。
このガンサー・ワークスは(シンガーとの競合を避けるためか)993世代の911をメインに扱っており、そしてその方向性も「レトロ」ではなく「ちょっと未来」。
そして今回、RMサザビーズが主催するオークションにて、ガンサーワークスの手によるポルシェ911レストモッドが登場し、予想落札価格が130万ドル(現在の為替レートで約1億8500万円)に達するというエスティメイトが出されて話題となっています。
コンセプトは「もしポルシェが993を現代まで改良し存続させたなら」
ガンサー・ワークスの掲げるコンセプトは「ポルシェが1998年に993の製造を中止していなければ、現在ポルシェが製造していたであろうクルマはこうなっていたであろう」というもの。
このコンセプトに従い最新の素材や技術を車体に盛り込んだのがガンサーワークスの作品ということになりますが、そのメインとなる素材は「カーボンファイバー」。
なお、ガンサー・ワークスの製品には「リマスター」という名が冠され、加えてそこに固有の名称が付与されるケースがありますが、この個体の場合は「カーボン・ノワール・コミッション」という名が与えられているようですね。
実際のところカーボンファイバーはボディ全域に渡って使用されており、カーボンファイバーとブラックが絶妙にミックスされた仕上がりとなっています。
自然光の下で見ると、カーボンファイバーはその色構成において独特の茶色を見せるといい、これに合わせる形にて、ゴールドのアクセントがホイール、そしてストライプ、さらに「PORSCHE」文字も。
ガンサー・ワークス・リマスター911「カーボン・ノワール・コミッション」にはこだわり満載
当然ながら前後フェンダーは大きく張り出し・・・。
ストライプの「湾曲」具合を見ればどれほどワイド化しているかがわかるかと思います。
このゴールドはメタリック・パールセント仕上げにゴールド・フレークを組み込んだ特注のブレンド・カラーだと紹介されており、カーボン・ファイバーの色調と質感に完璧にマッチするように調合されているのだそう。
なお、ホイールは18インチ、そしてブレーキキャリパーはブレンボ製。
フロントフード、ルーフ、ダックテール・エンジンリッドは織り目の見えるネイキッド・カーボンファイバー。
テールランプは993のものに近い形状を持っていますが、その構造やユニットそのものがガンサーワークス特注品となっており、内部にはLEDバーが仕込まれます。
ポルシェ製3.6リッターフラット6エンジンはガンサーワークスの依頼によってオレゴン州シャーウッドにあるロススポーツ・ロード・アンド・レースがチューンしたもので、一旦分解された後に「4.0リッターに」リビルトされることに。
このリマスタード・エンジンには、2ステージにて制御がなされるMoTec製エンジン・マネージメント・システム、独立スロットルボディ、996世代の911 GT3のインテーク・プレナムをベースにしたカスタム吸気システム等が与えられ、そのほか多くのレ0す用パーツが組み込まれることで400馬力を達成しています。
トランスミッションはもともと搭載されるゲトラグ製G50 6速ではあるものの、997.2世代のGT3 RSから拝借したパーツ、軽量フライホイール、クラッチによって大幅に強化されている、とのこと。
こういったバッジにもこだわりが感じられ、これら小さな「こだわりの積み重ね」が今回の予想落札価格、およびそれを担保する人気に繋がっているのでしょうね。
ガンサー・ワークス・リマスター911「カーボン・ノワール・コミッション」のインテリアはこうなっている
そしてこちらはガンサー・ワークス・リマスター911「カーボン・ノワール・コミッション」のインテリア。
このインテリアの80%は特注品で、残りの20%は新品のポルシェ純正パーツ(各世代のものが織り交ぜられているものと思われる)にて構成されている、と紹介されています。
ダッシュボード、シートはグロス仕上げのカーボンファイバー、そして表皮はガルフストリームジェットにも使用されているコニャック色のエアロノーティカルレザーにて美しくトリミングされています。
アルカンターラ巻きステアリング・ホイールには、ビレット加工がなされた12時位置のマーカーが装着され、ダッシュボードには5軸フライスによる加工が施されたスポーツ・ボタン・サラウンドが装着済み。
シフトレバーは独特の形状を持ち、これもまたビレット仕上げだと思われます。
メーターリングも高品質なフライス仕上げ。
リアシートは「レス」そしてカーボンファイバー。
「PORSCHE」文字が再現され、フロントシートのポルシェクレストのエンボスを見ても「ポルシェ愛」が強く感じられる仕上げです。
フロントトランク内にはサスペンション調整用デバイスが装着されており、レザー巻きのタワーバー、そしてキルティング仕上げのマットは(おそらく)シンガーに影響を受けた仕様だと思われます(エンジンルーム内のファイヤーウォールにも同様のマットが装着されている)。
シンガー・ヴィークル・デザインのレストモッド車両同様、ガンサー・ワークスによる911「リマスター」も非常に高い人気を誇っており、新車を手に入れようとするとキャンセル待ちの列に並ぶしかないそうですが、そういった事情もあって今回出品される「911リマスター・カーボン・ノワール・コミッション」は1億8500万円という予想落札価格を掲げているのだと思われますが、コンディションとしても新車同様(走行約50マイル)というコンディションも競売においては高く評価されることになりそうです。
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参照:RM Sotheby's