「ダウンフォースと美観の両立」？フェラーリが可変式リアウイングの特許を出願。空気抵抗の低減と高ダウンフォースとをバランスさせリアウイング装着を回避する考えか

｜　意外かもしれないが、フェラーリは「美しさを重視」するがために市販車へリアウイングを装着したがらない　｜

そのためにフェラーリはこれまでにも様々な解決策を模索してきた

さて、フェラーリは様々な特許を果敢に出願し続けていますが、今回は「空気抵抗を損なわずにダウンフォースを増強する方法」に関する特許を出願しています。

一般的には「ウイングを用いてダウンフォースを高めようとすると、それが空気抵抗となって加速や最高速が落ちる」こととなり、よって自動車メーカー各社とも「空気抵抗を発生させずにダウンフォースを稼ぐ方法」を日夜考えているわけですが、今回フェラーリもその方法のひとつを編み出した、ということになりますね。

今回フェラーリが出願した特許はこんな内容を持っている

そこでこの特許を見てゆきたいと思いますが、特許図面で示されているのはSF90スパイダー。

ただし、これは「便宜上」SF90スパイダーが図面に用いられているだけであって、実際に装着される可能性があるのは（SF90スパイダーの後継モデル含め）これからのニューモデルということになりそうですが、ルーフからリアに流れる風に注目して欲しいと思います。

まず、こちらは空気抵抗を「最小化」した状態で、リアデッキの上面は「ほぼ平坦」。※実際のSF90スパイダーとは異なり、リアデッキ中央が一段低くなっている

この状態だと風の抵抗はほぼなく、加速や最高速が空気抵抗によって妨げられることはないかと思います。

そしてこちらが今回届け出られた特許、アクティブリヤスポイラーが立ち上がった状態。

これによって風の流れがせき止められ、その力によって車体が地面に押し付けられることとなります。

そしてこの「フラップ」はリアデッキの上だけではなく「下」側も作動し、ローダウンフォース状態だとリアデッキの上下を風が通り抜けます（これはリアデッキの断面図）。

ちょっとわかりにくいのですが、SF90ストラダーレのリヤデッキは「フロート」構造を持っていて、このフロートしたパネルの上下を空気が流れるわけですね。

そしてこちらがフラップが上下に展開した図であり、リアデッキの下を通り抜ける風をシャットアウトし、そのぶん上側のフラップに当たる風量を増やそうという考えなのだと思われます。

ちなみにですが、フェラーリSF90ストラダーレ/SF90スパイダーには「アセットフィオラノ・パッケージ」なるサーキット志向のオプションがあり、これを装着するとリヤスポイラーの高さが上がり、角度も「急」に。※上の赤いフェラーリSF90ストラダーレは通常バージョン

もちろんこれはダウンフォースの獲得を目的としたもので、しかし上述の通り空気抵抗が「増大」してしまい、よって加速や最高速に影響を及ぼしてしまうわけですね。

よって、今回の特許はSF90ストラダーレ/SF90スパイダーでいえば「（エアロパッケージにおいて）通常バージョンと、アセットフィオラノ・パッケージ装着者両方の特性を兼ね備えることを目的とした」ものだと捉えることができるかもしれません。

参考までに、フェラーリはボディラインの美しさを保つため、市販車のリアにウイングを装着しないことでも知られていますが（SF90 XXは”XXプログラムの公道版”という位置づけであり、おそらくは唯一の例外である）、今回の特許も「リアウイングを取り付けないための」一つの回避策であるとも考えられます。

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参照：CARBUZZ