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| アストンマーティン・ヴァルキリーは様々な事情に翻弄されたハイパーカーである |
現在の体制化ではヴァルキリーの後継モデルが作られることはないであろう
さて、フェルナンド・アロンソ、ゴードン・ラムゼイ、デビッド・クルサードなど多くの著名人に納車されたことで知られるアストンマーティンのハイパーカー、「ヴァルキリー」。
生産計画としてはクーペ150台、スパイダー85台、AMR Pro(サーキット専用車)40台の合計275台ですが、アストンマーティンが「2024年にすべての生産を終える」と発表し、3年の生産に終止符が打たれることとなります。
ヴァルキリーはアストンマーティンのひとつの時代を象徴するクルマでもある
ヴァルキリーは2016年にヴァルキリーの市販を公言していますが、遡ること2014年にこの計画が持ち上がっていたといい、その発端はレッドブルの天才的カーデザイナー、エイドリアン・ニューウェイの移籍問題。
当時フェラーリがエイドリアン・ニューウェイへとオファーを行い、「移籍寸前」まで行ったものの、かねてより「ロードカーを作りたい」という要望を持っていた同氏に対し”ロードカーを作らせる”ことでレッドブルへととどまらせたといいます。
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レッドブル代表「ヴァルキリーは、当時フェラーリへと移籍しようとしていた我々のデザイナーを引き止めるため、彼の要望を聞き入れて企画した。ただそれだけのためにね」
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ただし当時、レッドブルは単体でロードカーを作るだけのリソースを持ち合わせておらず、そこで声をかけたのがタイトルスポンサーであったアストンマーティンで、様々な検討がなされたうえで2016年にプロジェクトが発表されることとなったわけですね。
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ただし発売までは苦難の道のりであった
そして発表時には「2019年」つまり3年後には生産を開始する計画ではあったものの、実際に生産が開始されたのは2021年。
この遅れは単純に「開発の遅れ」によるもので、メルセデスAMG Oneの「ほぼ5年」ほどではないものの、いかにハイパーカーの新規開発が難しいかを物語っています。
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実際のところ、このヴァルキリー・プロジェクトがアストンマーティンの収支を悪化させる要因の一部となっていて、これによって株主が入れ替わりCEOも交代する事態を招いており、現アストンマーティン会長、ローレンス・ストロールは「もう二度とヴァルキリーのような巨額プロジェクトは実現できない」とコメントしており、つまり(アストンマーティンの利益があふれかえるなど)よほどのことがなければヴァルキリーの後継モデルは誕生しないと考えていいのかもしれません。
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ヴァルキリーはもはや自動車業界では「ユニコーン」となりつつある自然吸気V12エンジンを搭載し、10,500回転で1,014馬力を発生しますが(許容回転数は10,000回転)、これにエレクトリックモーターを加えることでシステム合計出力が1,176馬力にまで向上。
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これによってわずか2.5秒で0-100lm/hまで加速する性能を誇りますが、つい先週には英国のシルバーストンサーキットで新たな市販車ラップ記録を樹立し、ここではダレン・ターナーがドライバーを務め、1分56.42秒というラップタイムを記録していますが、来年にはそのレーシングバージョン、ヴァルキリーLMHがIMSA(インタープロトタイプ・スポーツカー選手権)とWEC(世界耐久選手権)に参戦することとなり、生産が終了するヴァルキリーの価値を一層高めてくれることとなりそうですね。
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