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ポルシェの最新決算では「売れるのも地獄」が明らかに。販売記録を更新するも利益98%減、売れども売れども関税によって利益が帳消しに

ポルシェのエンブレム(クレスト)~ターボナイト

| ポルシェは先般、「利益99%減」という衝撃の第3四半期の決算を発表したところではあるが |

記事の要約:この記事でわかる3つのポイント

  • ポルシェの悲劇: 米国で過去最高の売上を記録しながらも、利益は前年の50億ユーロから9,000万ユーロへと激減(利益率0.3%)
  • VWグループ全体の苦境: グループ全体の利益が53%減少。最大の要因は対米輸出にかかる「関税」の直撃
  • 今後の戦略: EV一辺倒から方針転換。2040年までの移行期間延長を模索しつつ、ガソリン車の競争力維持に投資
ポルシェの営業利益がなんと「1/100」、営業利益率は「1/70」に。2025年はもしかすると「赤字」、しかし2026年からは力強い成長を見込む
ポルシェの営業利益がなんと「1 / 100」、営業利益率は「1 / 70」に。2025年はもしかすると「赤字」、しかし2026年からは力強い成長を見込む

Image:Porsche | 厳しい状況の中でもポルシェは「望みを捨てない」 | ポルシェが「2025年第3四半期決算において、厳しい経済環境の中でも堅実な財務体質を維持した」と発表。 すでに何度も ...

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記録的ヒットが「赤字寸前」を招く?ポルシェを襲った皮肉な現実

「ポルシェが売れに売れている」——本来ならシャンパンで乾杯するはずではあるものの、ポルシェの本社があるシュトゥットガルトに笑顔はないというニュース。

フォルクスワーゲン(VW)グループが発表した2025年度通期決算が自動車業界に大きな衝撃を与えており、グループ全体の売上高は3,220億ユーロと堅調を維持する一方、利益は前年の191億ユーロから89億ユーロへと53%も激減。

その「元凶」となってしまったのが、皮肉にもグループの稼ぎ頭であるはずのポルシェであったことが明らかになっています。

米国市場ではファンに支えられ、過去最高の販売台数を記録したポルシェ。しかし、その手元に残った利益は、かつての水準からは想像もつかないほど目減りしています。

ポルシェ・パナメーラ(シルバー)のフロント、ヘッドライトのアップ


なぜ儲からない?ポルシェとVWグループを苦しめる「3つの要因」

今回の決算で浮き彫りになったのは販売不振ではなく、むしろ販売好調なのに儲からないというグローバル経済の構造変化による「外的な圧力」です。

ポルシェ
2026年のポルシェは「利益99%消滅の2025年」から「聖域なきリストラ」と「超富豪戦略」へ。10年の黄金期を築いた前CEOが去り、マクラーレン出身の新CEOが手腕をふるう

| マクラーレン出身といえど、新CEOはポルシェに在籍していたことも | 【この記事の要約:30秒でわかるポルシェの現在地】 利益激減の衝撃: 2025年第3四半期は赤字。年初9ヶ月の営業利益は前年比 ...

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1. 「100%輸出」が裏目に出た関税問題

ポルシェの利益を最も削り取ったのは「米国による関税」。

VWグループのオリバー・ブルーメCEOは、「米国はポルシェのファンも多く潜在能力は高いが、現在すべての車両をドイツ等から輸出しているため、利益がほとんど出ていない」とコメント。

欧州からの輸出車にかかる15%の上乗せ関税が利益をそのまま飲み込んでいる形となっていて、中国市場が失速しているいま、アメリカ市場はポルシェにとって「死守せねばならない」市場でもあり、よって「アメリカで値上げして売れなくなってしまうと困る」ことから関税上乗せ分を販売価格に転嫁することが難しいのかもしれません。

ポルシェの1/43モデルカー~911GT3、ボクスター

2. メキシコ工場の優位性が消滅

VWグループはこれまでメキシコを北米への供給拠点として活用してきましたが、メキシコからの輸入に対しても27.5%という高関税が課される事態となり、ポルシェを含めてこれまでのビジネスモデルが完全崩壊。

アウディでは米国生産への切り替えを検討せざるを得ない状況に追い込まれています。

アウディ
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3. EVシフトの誤算と軌道修正

加えてEV(電気自動車)の販売比率は高まっているものの「市場全体の伸びは鈍化」。

さらに今後は鈍化した市場の中で競争が激化するという泥沼な状態が予想され、現実的な路線への修正を余儀なくされているのは既報の通り。

ポルシェ
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【数値で見る】VWグループ・ポルシェの2025年決算スペック

項目2024年実績2025年実績騰落率・推移
グループ世界販売台数約902万台900万台-0.2%
グループ売上高3,250億ユーロ3,220億ユーロ-0.9%
グループ営業利益191億ユーロ89億ユーロ-53%
ポルシェ営業利益50億ユーロ9,000万ユーロ-98.2%
ポルシェ利益率18.6%0.3%-18.3pt
シュコダ(Skoda)利益率8.7%9.5%+0.8pt(好調)
ポルシェのホイールとエンブレム

参考:実は「シュコダ」が優等生?

プレミアムブランドが苦戦する一方、比較的安価、そして実用性に優れた「シュコダ」がグループ内で最も利益率を伸ばしています。

ブランドのネームバリューよりも、「コストパフォーマンスと実益」が重視される現在の世界情勢を反映しているとも考えられますが、これは「高価格帯モデルのほうが儲かる」という今までの常識を覆す興味深い指標でもあり、VWグループならではのシナジー効果によって「安価なクルマでも高い利益率を確保できる」のだという側面もありそうですが、「安いクルマは売っても売っても儲からない」という流れが今後変わる可能性を感じさせる一面です。


競合比較と市場での位置付け:高級車ブランドの「地産地消」が加速するか

今回のニュースはポルシェだけの問題にとどまらず、フェラーリやランボルギーニといった、生産拠点を本国(欧州)に固めている高級車ブランドにとって「米国の関税政策は共通の脅威」ということを示しています。

これについては各社各様の対応を取っているのが現状ではありますが、トランプ政権の終了とともに関税が消滅すると見る向きも少なくはなく、「あと3年」耐えるのもひとつの手段なのかもしれません。

  • メルセデス・ベンツやBMWの場合: すでに米国(アラバマ州やサウスカロライナ州)に大規模な工場を持っており、SUVなどの主力モデルを現地生産することで関税リスクを分散している
  • ポルシェのジレンマ: 「メイド・イン・ジャーマニー」がブランド価値の核心であるポルシェにとって、米国生産に踏み切ることはアイデンティティを揺るがす大きな決断となる
ポルシェ911GT3 RSのヘッドライト
メルセデス・ベンツ
トランプ大統領誕生によってVW、アウディ、ポルシェ、メルセデス、BMWの利益が「10%以上失われる」可能性。ドイツ勢は中国に続き米国でも厳しい状況に

| 中国・アメリカはドイツの自動車メーカーにとって「第一、第二の」巨大市場である | ここで利益を失うことだけは絶対に避けたい さて、ドナルド・ドランプ氏が大統領へと就任する時期が刻々と近づいています ...

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結論:私たちがポルシェを安く買える日は来るのか?

今回の決算結果を見る限りだとポルシェの価格が下がることは期待できそうになく、むしろ関税コストを吸収するために「顧客が納得できるギリギリの範囲での北米市場における値上げ」「北米で吸収できなかった関税分を他の市場にて負担させる(つまり値上げ)」「付加価値の高い限定モデルへのシフト」という傾向が加速する可能性が高いように思います(ガソリン車回帰という方針転換を示してはいるが、その成果としての商品が登場するのは数年後であり、トランプ政権がその頃には存在しないかもしれない)。

「憧れのポルシェ」が政治的な駆け引きによって「売れても利益が出ない」というジレンマに陥っている現在。

はたして「米国産ポルシェ」が誕生するのか、それとも値上げによって販売台数が減少したとしても利益率を追求するのか、2026年の動きからも目が離せないといった状況でもありますね。

ポルシェ・タイカン(ホワイト)のサイドビュー

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