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さよならポルシェ「タイカン クロスツーリスモ / スポーツツーリスモ」。2027年の北米ラインアップから消滅し「生産終了」のカウントダウンへと突入か

ポルシェ タイカン スポーツツーリスモのリアエンド
Life in the FAST LANE.

| ポルシェが最高にクールなEVワゴンを生産終了 |

たしかに「北米ではワゴンが売れない」と言われるが

自動車ファン、そしてステーションワゴン愛好家にとって非常にショッキングなニュース。

ポルシェは北米市場において、高い走行性能と実用性を兼ね備えていた人気EVワゴン「タイカン クロスツーリスモ」および「タイカン スポーツツーリスモ」の2モデルを2027年モデルのアップデートを機にラインナップから除外することを正式に発表することに。

多くの自動車メディアやファンから「最もスタイリッシュで走りが楽しいEV」と絶賛されていたロングーフモデルがなぜわずか数年でその幕を閉じることになったのか、ここではその真相と背景にある市場のリアルな動向について考えてみましょう。

この記事の要約

  • 2モデルが生産終了: 2027年型マイナーチェンジに伴い、北米市場での「クロスツーリスモ」「スポーツツーリスモ」の販売が終了
  • 撤退の理由は低迷する需要: 北米のポルシェ顧客の大半がSUVを選択しており、ワゴンボディの販売比率は極めて低かった
  • 欧州・カナダ等では継続: 米国ではセダンのみの展開となるが、欧州やカナダなどワゴン需要が根強い一部市場では販売が継続される
  • EV市場の変化と競合の影: 大排気量V8を積む競合ハイパフォーマンスワゴン(Audi RS 6やBMW M5 Touring)の好調に対し、EVワゴンの需要開拓は険しい道となった
ポルシェ・タイカン スポーツツーリスモ(シルバー)
Life in the FAST LANE.

突然のブランド公式発表と撤退の舞台裏

今回のディスコン(販売終了)につき、ポルシェが発表した2027年モデルの新型タイカンに関するアナウンスの中で「ワゴンモデルへの言及が完全に消えていたことから発覚した」もので、その後に大手自動車メディアがポルシェの広報担当者に確認を取り、正式な事実として認められた形です。

ポルシェの米国法人代表は、以下のように公式コメントを残しており・・・

「ポルシェは常にお客様のご要望に焦点を当てて製品ポートフォリオを構築しています。米国市場において、タイカンの『スポーツツーリスモ』および『クロスツーリスモ』のボディスタイルが果たした役割はごく限定的なものでした。こうした理由から、私たちはこれらのモデルバリエーションの販売を終了することを決定いたしました」

つまり、メディアや一部の熱狂的なマニアからは絶賛されていたものの、「実際にお金を出して買うリアルな顧客」が圧倒的に不足していたという、自動車業界では避けて通れない冷徹な事実が引き金となっています。

ポルシェ・タイカン・スポーツツーリスモのヘッドライト
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実際にタイカン自体の販売台数も直近では下降線をたどっており、ポルシェ全体のラインナップの中でも苦戦を強いられているのも事実であり、2025年の米国におけるタイカン全体の販売台数は4,142台と、SUVモデル(マカンEV)の数分の一にとどまっています。

その中でさらにニッチなワゴンボディとなれば、ビジネスとして維持するのが困難だったことは想像に難くありません(日本でもほぼ路上を走る姿を見かけない)。

タイカン・ワゴンシリーズの歴史と特徴

ポルシェが送り出したEVワゴンには、キャラクターの異なる2つのモデルが存在していて・・・。

  • タイカン クロスツーリスモ(Cross Turismo): 2021年モデルとして登場。わずかに高められた車高と、ホイールアーチを覆う黒いプラスチッククラッディング(プロテクター)が特徴で、悪路走破性を高める「グラベルモード」を備えたアウトドア志向のハイプレステージ・ワゴン
  • タイカン スポーツツーリスモ(Sport Turismo): 2022年モデルとして登場。クロスツーリスモのようなオフロード要素を排除し、オンロードでの美しさと純粋な走りのダイナミクスを追求した超高性能ワゴン(米国では主にGTSグレードに設定)
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Image:Life in the FAST LANE.

北米市場におけるポルシェ・ワゴンの変遷とスペック

今回生産終了となる2モデルの立ち位置を整理したデータが以下となります。

項目タイカン クロスツーリスモタイカン スポーツツーリスモ
北米導入時期2021年モデル〜2022年モデル〜(2026年型で終了)
車両の特徴車高アップ、クロスオーバー風ルック、グラベルモード搭載ロー&ワイドな純オンロード仕様、主に「GTS」グレードに設定
最高出力レンジ約409hp 〜 最大764hp(Turbo Sオーバーブースト時)約590hp 〜 最大690hp(GTS仕様)
終了の背景パナメーラ スポーツツーリスモ(2023年終了)に続くワゴン撤退タイカン全体の販売低迷およびワゴン比率の少なさ
他市場での扱いカナダ(4Sのみ)や欧州、中国市場等では継続販売予定欧州など主要ワゴン市場では継続販売予定

競合比較:なぜ「V8ワゴン」は売れて「EVワゴン」は苦戦したのか?

ここで非常に興味深いのは、アメリカにおけるハイパフォーマンス・ワゴン市場全体の動向で、実は現在、アウディの「RS 6アバント」や、BMWが新たに北米に投入した「M5ツーリング」といった超高性能ワゴンは、自動車メーカー側の予想を上回る大ヒットを記録しています。

ではなぜ、ポルシェのタイカン・ワゴンは生き残れなかったのでか?そこには独自の市場構造が見え隠れしており・・・。

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Image:Life in the FAST LANE.

  1. パワートレインの嗜好の差:現在、北米で高額なハイパフォーマンス・ワゴンを買い求めるコアな車愛好家層は、依然として「内燃機関(ICE)」、特にV8ツインターボが放つ独自のサウンドやエモーション、ガソリン車ならではのダイナミズムを求めている(BMW M5はプラグインハイブリッドではあるが、強力なV8を維持している)
  2. EVシフトの踊り場(キャズム):世界的なEV需要の減速(マイルド化)に伴い、高価格帯のプレミアムEVというジャンル自体が過渡期を迎えていて、ポルシェは次世代の「718ボクスター/ケイマン」のEV化計画の再考や、内燃機関モデルの延命を模索せざるを得ない状況にあり、今回のタイカン・ワゴンの整理もその合理化の一環と言える

これに加え、もともと北米市場では「大は小を兼ねる」ということからワゴンではなくSUVを選ぶユーザーが多く、そのためワゴン市場が小さいといい、よってメルセデス・ベンツ、BMW、アウディが北米へと投入しているワゴンは「最小限(日本に比較しても選択肢が少ない)」という事実も。

なお、今回の2027年マイナーチェンジで、生き残ったタイカン(セダン)には、ヒョンデの「アイオニック5 N」を彷彿とさせるシミュレート・トランスミッション(疑似ギアシフト機能)や、105kWhに大容量化された新型バッテリーパックが搭載されるなど、走りの楽しさを呼び戻す大幅なアップデートが施されており、それだけに、この最新の恩恵をワゴンボディで味わえないのは非常に残念でなりません。

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Image:Life in the FAST LANE.

ポルシェが誇る美しいEVロングーフ、タイカン クロスツーリスモとスポーツツーリスモの北米撤退は時代の潮流と市場の現実を浮き彫りにした決定で、アメリカの自動車文化において、「ワゴンの壁」はそれほどまでに高かったと言えるのかも(SUVが登場するまではワゴンは人気車種のひとつだった)。※パナメーラのワゴン版、スポーツツーリスモも2023年に廃止されている

ポルシェが正式にパナメーラのワゴンボディを廃止するとコメント。「パナメーラ・スポーツツーリスモを購入した人はごくわずかだった」
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しかし、幸いにも日本市場を含む欧州やアジア圏など、ワゴン需要が一定数存在するマーケットにおいては、今すぐ完全にこれらのモデルが消滅するわけではなく、とはいえ、グローバルでのモデル集約が進めば、将来的にプレミアムな電動ワゴンの選択肢がさらに狭まる可能性も否定できないというのもまた事実。

「電気自動車の滑らかで圧倒的な加速」と「ステーションワゴンの実用性と妖艶なスタイリング」を同時に手に入れられる唯一無二の存在。もしこの美しいロングーフに魅了されているのであれば、新車としてオーダーできる現行モデル、あるいは良質な認定中古車を今こそ真剣にチェックすべきタイミングなのかもしれません。

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参照:The Drive

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