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MGまでもが「ポルシェ タイカン風EV」を発表。やはりポルシェは「腐っても(腐ってはいないが)鯛」、今でも中国メーカーのベンチマークである

中国MGが発表した新型EV、MG 07のフロント(パープル)

Image:MG

| ポルシェ・タイカン的ルックスを持ちm価格はカローラ並 |

新型MG 07が「EV界の破壊神」になる予感

MG(英国の名門ブランド)が、次世代フラッグシップモデル「MG 07」のエクステリアを正式公開。

「高級クーペのスタイルを、大衆車の価格で」という挑戦的なコンセプトを掲げており、このMG 07は「格安EV」の枠を超え、ラグジュアリー市場を震撼させる可能性を秘めているとして大きな話題を呼んでいます。


この記事の要約(まとめ)

  • 驚異の価格設定: ポルシェ・タイカンを彷彿とさせるスタイルながら、価格は約420万円以下(20万元)から
  • デザインの妙: 1,500万円クラスの高級クーペに匹敵する「トップティア」のスタイリングを追求
  • 次世代プラットフォーム: SAIC(上海汽車)の最新NEVプラットフォームを採用し、BEVとPHEVの両方を用意
  • 最新の自動運転: 高性能LiDARと「Momenta R7」システムを搭載し、都市部での完全自動運転に対応

MG 07は「タイカンのルックス、カローラの価格」

「憧れのスポーツクーペを手の届く価格で手に入れたい」——そんな全ドライバーの夢を具現化したのが新型MG 07。

このMG 07は中国市場において約1,350万円(91.8万元)からスタートするポルシェ・タイカンを明確に意識しており、それに対しMG 07のターゲット価格は約420万円(20万元)未満という現地のトヨタ・カローラ並の価格設定となっています。

つまるところ、タイカンの3分の1以下の価格で同等の存在感を放つフラッグシップを手に入れられるという事実がここに存在し、まさに「価格破壊」と呼ぶにふさわしい状況となっているわけですね。

中国MGが発表した新型EV、MG 07のリア(パープル)

Image:MG


ポルシェへのリスペクトか、それとも挑戦か?

公開されたデザインを細部まで見てゆくと、その意図が鮮明に浮かび上がり・・・。

1. エクステリア:流麗さと力強さの融合

全体的なシルエットは、まさに「マッスルなタイカン」。

フロントにはC字型の特徴的なライトユニット(これはトヨタのハンマーヘッドっぽい)と筋肉質な盛り上がりを見せるボンネットが採用されています。

フロントウィンドウ上部にはLiDARセンサーが鎮座し、フロントフェンダーサイドのベントやドアハンドルの形状、そしてホイールのデザインも、タイカン(下の画像)を強く意識した造形となっているようですね。※一方、MG 07ではリアフェンダーが強調され、後部座席の居住性を改善するためかルーフ後端がそれほどスロープしていない

ポルシェがタイカンGTSを「自社カスタム」。カーボンファイバー製のホイールカバーがカッコいい

Image:Porsche

2. パワートレイン:BEVとPHEVの二段構え

新型MG 07はSAIC(上海汽車)の次世代NEVプラットフォームを採用しており、完全電気自動車(BEV)だけでなく、航続距離の不安を払拭するプラグインハイブリッド(PHEV)もラインナップされる予定なのだそう。

これによって都市部のユーザーから長距離ドライブを楽しむ層まで、幅広いニーズに応えようというわけですね。

3. 知能:人間を超える「経験豊かなドライバー」AI

さらに上位モデル(約680万円〜)には最先端の自動運転システム「Momenta R7」を搭載し・・・。

  • Urban NOA(Navigate on Autopilot): 都市部の複雑な道路状況を自律走行
  • シームレス・パーキング: 駐車スペースから目的地まで「ドア・ツー・ドア」の走行体験を提供
  • 予測推論: 単なる模倣ではなく、ベテランドライバーのように物理的な状況を理解し、能動的な防御策をとることで安全性を向上させる
中国MGが発表した新型EV、MG 07のサイド(パープル)

Image:MG


MG 07の主なスペック(予測含む

項目詳細
プラットフォームSAIC 次世代NEVプラットフォーム
パワートレイン純電気自動車 (BEV) / プラグインハイブリッド (PHEV)
予定価格約 420万円〜 (20万元未満から)
自動運転技術Momenta R7 システム (LiDAR搭載)
0-100km/h加速未発表 (フラッグシップに相応しい性能を予告)
特徴的な装備アクティブシャッターグリル、ターコイズカラーの自動運転表示灯

市場での位置付けと競合比較:ラグジュアリーの「民主化」

現在、中国メーカーの多くは「ポルシェに似たデザイン」を高品質かつ低価格で提供する戦略にて欧州ブランドを激しく追い上げています。

  • ポルシェ・タイカンとの比較: 価格差は圧倒的ではあるものの、MG 07は「所有する喜び」だけでなく「最新のテクノロジー」でも引けを取らず、特に自動運転ソフトウェアに関しては、独自の進化を遂げている
  • カローラとの比較: 「価格はカローラ級」とはいえ、提供されるバリューは数段上。ファミリーカーの予算で、スーパーカーのような視線を浴びるフラッグシップに乗れるという選択肢は多くのユーザーにとって魅力的な選択肢に

そしてちょっと興味深いのは、このMGを擁するSAICは中国におけるフォルクスワーゲンの長年のパートナーであり、そしてポルシェは現在VWはグループ傘下にあって、つまり「ポルシェとSAICとは無関係ではない」ということ。

しかし過去から現在に至るまで、パートナーあるいはその関係ブランドのデザインを「容赦なくパクる」傾向が絶え間なく見られ、要するに中国側は「コピーすることに対しなんら抵抗感を持っていない」のかもしれません。

中国、上海汽車(SAIC)「Z7(ピンク)」「Z7T(グリーン)」フロントサイド、静止
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香港で見かけたポルシェ タイカン

やはりポルシェは腐っても鯛である

そしてもうひとつ注目すべきは、中国において「ポルシェを真似するメーカーが後を絶たない」こと。

その対象は主にマカンやカイエン、タイカンといったところですが、これは中国にてポルシェの販売が下がっているのとは「相反する」事実であり、そして「中古市場でもっとも値下がりしないのはポルシェ」という統計ともあわせて考える必要があるかと思います。

つまるところ、ポルシェの販売は下がっているものの「人々がポルシェを強く求めている」のもまた事実であり、そのため多くのメーカーがポルシェを模倣し、そして中古市場でも(人気が高いため)価格が下がらないのかもしれません。

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にもかかわらずその販売が振るわないのは「中国の経済がやや下向きになり、高いお金を出してポルシェを買おうと考える人」が減ったためだと思われ、しかしポルシェはいまだ「憧れ」としての地位を保ち続けているということになるのかも。

そう考えるならば、現在のポルシェが採用する「台数を追求せず、利益単価を重視する」という戦略にて、中国においては現地ブランドとは競争しようとせず、むしろ高付加価値化にて富裕層のみを狙い、販売台数は少なくとも「1台あたりの利益が大きく、手が届かない憧れのブランドであり続ける」ことを狙うという路線はまさに「正解」なのだとも思われます(絶対的な売上は減少するが、効率性は向上する)。


結論:MG 07は単なる「似せた車」で終わらない

MG 07はポルシェのような高級感あるデザインを、より多くの人が享受できるようにする「ラグジュアリーの民主化」の象徴ともいうべき一台。

「見た目だけのコピー」であれば、ここまでの注目は集まらなかったのだと考えられ、しかしSAICの最新プラットフォームと、人間のように推論する自動運転技術を搭載することでMGは「本物の実力」を兼ね備えたフラッグシップを創り上げたのだとも捉えることが可能です。

そしてここでもうひとつ考えねばならないのは、MGはポルシェをコピーすることが目的ではなかったのだと考えられること。

最終的な目的は「売れるクルマ」を作ることで、売れるクルマを作るために「もっとも効果的な手段」がタイカンの外観を真似ることであり、実際にインテリアやスペックにおいては「タイカンとは別モノ」。

香港で見かけたポルシェ タイカン

インテリアだと「中国標準」ともされる”タッチパネルでほぼすべての操作を行う”巨大な独立した画面を持つインフォテイメントシステム(この標準はテスラ付が作り上げたといっていい)を備えているとされ(詳細は未公開)、これはポルシェの方向性とは異なるもの。

そのほか、「自動運転」といった機能もまた中国市場にて消費者から求められるものであり、「中国で売れるクルマ」を作ろうとすると「ポルシェの外観、テスラ風の内装」というキメラになってしまうのだと思われます(重ね重ねになるが、タイカンのライバルを作ろうとしたわけでも、ポルシェの顧客を奪おうとしたわけでもなく、中国のライバルと戦うための武器としてもっとも有効なのが”タイカン風のルックス”であり、それを取り入れただけのことであって、タイカン風の外観は”手段”にしか過ぎない)。

このMG 07の詳細につき、数週間以内にさらなる詳細が明らかになる予定ではありますが、この「EV界の破壊神」が中国の道路を走り始める時、現地におけるスポーツクーペの基準が大きく塗り替えられることになるのかもしれません。

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参照:Weibo

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