
Image:SAIC
| SAICはポルシェの親会社、フォルクスワーゲンの合弁パートナーである |
中国の自動車メーカーは優越的地位を利用して「やりたい放題」という印象
中国の自動車大手SAIC(上海汽車)が、ポルシェ・タイカンに酷似したシルエットを持つ新型EV「Z7」を発表しネット上がざわつくことに。
驚くべきはその価格で、タイカンの約4分の1となる21.98万人民元からスタートしており、スペックも「冗談抜き」でタイカンを脅かすレベルへと仕上がっています。
記事の要約
- 圧倒的価格破壊: タイカンの約2000万円に対し、約500万円からという驚異の低価格
- タイカン超えの加速: 最上位モデルは0-100km/h加速3.4秒。ベースモデルのタイカンを凌駕
- ワゴンモデルも設定: タイカンの「クロスツーリスモ」に対抗する「Z7T」をラインナップ
- 最新技術を網羅: ファーウェイ主導の「Harmony」システムとLiDARを搭載し、知能化でも先行

Image:SAIC
ポルシェのブランド料はいくら?SAIC「Z7」が突きつける現実
北京モーターショー2026で驚きのニューモデルが公開され、その名はSAIC「Z7」「Z7T」。
発売元は上海汽車(SAIC)、そして現在中国で爆発的な人気を誇るシャオミ(Xiaomi)SU7のライバルとして開発されたと言われていますが、そのスタイルやディティールがどう見てもポルシェ・タイカンだとして話題に。
参考までに、SAICはポルシェの親会社であるフォルクスワーゲンの合弁先であり、そのほかにもアウディ、シュコダ、ビュイック、キャデラック、シボレーとも提携する、そしてMGブランドを所有する大手です。
そしてポルシェとも縁が深いはずの、さらには大手であるSAICがここまで「ドンズバで」ポルシェに似たクルマを堂々と発売するというのがちょっとした驚きでもあるわけですね(ただ、こういった例は未だに後を絶たず、消して珍しいものではない)。
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ちなみにこちらがポルシェ・タイカン。
現在ポルシェは中国で「売れない」とは言われるものの、中古車市場では非常に高い人気があるといい、そしてこのZ7のようなクルマが登場するところを見るに、ブランド力としては非常に高いレベルにあるのかもしれません。

そして「売れない」理由はおそらく「価格」に集約されるのだとも考えられ、というのもポルシェ・タイカンのベースモデルは中国だと91.8万元(2000万円オーバー)、しかしこのZ7は21.98万元(450万円くらい)からスタートしており、そしてこの価格帯は現在の中国では「一般的」な設定です。
なお、インテリアはタイカンとはさほど似ておらず、いわゆる「中国で人気のある典型的な仕様」となっていて、ただしこういった内外装を見るに、意図的に「販売を有利にするため」、中国で最も人気にある外装(タイカン)と内装(インフォテイメントシステム重視、グラストップ)を組み合わせたのだとも考えられ、つまるところ”巧妙な手口”といっていいのかも。

Image:SAIC
性能比較:価格は4分の1、スペックは同等以上?
「安かろう悪かろう」という言葉は、このZ7には当てはらず、以下の通り、ポルシェのベースモデルを凌ぐスペックを誇っており・・・。
加速性能の衝撃
- Z7 Ultra(最上位): 0-100km/h加速 3.44秒※タイカンGTSの3.3秒に迫る
- タイカン(ベースモデル): 0-100km/h加速 4.8秒
バリエーションと航続距離
Z7はセダンだけでなく、タイカンのクロスツーリスモを意識したワゴンモデル「Z7T」も展開していて・・・。

Image:SAIC
| グレード | 駆動方式 | バッテリー | 航続距離(CLTC) | 価格 (元/ドル換算) |
| Z7 Max (ベース) | 後輪駆動 (359hp) | 81 kWh | 732 km | 21.98万元 |
| Z7 Max+ | 後輪駆動 | 100 kWh | 905 km | 24.98万元 |
| Z7 Ultra | 4WD (590hp) | 100 kWh | 791 km | 29.98万元 |
| Z7T Ultra (ワゴン) | 4WD | 100 kWh | 776 km | 30.98万元 |
やはり言い訳できないレベルで激似。

中身は「ファーウェイ」の知能を搭載
ただ、Z7 / Z7Tの強みは「パフォーマンス」のみではなく、ファーウェイ(Huawei)が主導する「HIMA(Harmony Intelligent Mobility Alliance)」を採用していることで、車体には高精度のLiDAR(レーザーレーダー)が搭載され、最新の自動運転支援システムが標準装備されます。
つまり、ポルシェの「走りのブランド」に対し、SAICは「最新ITガジェットとしてのスマホ的なクルマ」という中国独自の価値観で真っ向勝負を挑んでいるというわけですね。
要は「外観は似ていてもコンセプトは全く違う」ということになりますが、これは上述の通り「売るための最適化」であり、こういった考え方を取り入れ実行するのが「中国の恐ろしさ」。

Image:SAIC
結論:中国EVが変える「高級車」の定義
フォードのジム・ファーリーCEOが「中国車」に対して強い警告を発している理由は、まさにこのZ7のようなモデルにあり、かつては「高級車のデザインを真似た安物」と揶揄された中国車ではありますが、今や「ポルシェと同等の加速と、テスラ以上のIT機能を、トヨタの価格で提供する」存在へと進化しており、さらには「売るためには何を武器として選択すべきか」を的確に理解し、「売るための最短ルートを」猛烈なスピードで進んでくるのが中国です。
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このZ7の登場は「単純なコピー商品が発売された」ということではなく、中国の自動車メーカーがいかにスマートな考え方を身に着け、大胆に行動するようになったのかを表す端的な例であり、欧州の高級ブランドが「バッジ(ロゴ)」だけで高額な価格設定を維持できた時代の終焉をあらためて実感させられる例なのかもしれません。
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さらに現在のEV市場では、フォルクスワーゲンやアウディといった老舗であっても「中国の自動車メーカーにEVの開発を頼らざるをえない」ということも「直視すべき事実」であり、ある意味では欧州の自動車メーカーに「何が足りなかったのか」を残酷なまでに突きつける例であるとも考えられます。
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なぜここまで中国の自動車メーカーは安くクルマを作れるのか?
SAICがこれほど低価格で高性能EVを提供できる理由は中国国内の「垂直統合型」のサプライチェーンにあり、バッテリーからモーター、インバーターに至るまで、主要部品の多くをグループ内や近隣のサプライヤーで完結させ、さらにファーウェイのソフトウェアプラットフォームを共有することで開発費を劇的に抑えているという状況があるから。
これは、自社開発に巨額を投じる欧州メーカーには極めて真似しにくいビジネスモデルであり、欧州の自動車メーカーの「ビジネスモデルの崩壊」を示しているのかもしれません(ただ、欧州の自動車メーカーと中国の自動車メーカーとでは「誕生した時期」が異なり、それぞれがそれぞれの時代において最適な方法を採用しただけの話であり、今の時代には”今の時代に誕生した”中国勢の方が有利だというだけの話でもある)。
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参照:SAIC / 尚界











