
| 意外やトヨタbZ4X、ソルテラとの違いが大きいようだ |
そのスタイリング、乗り味はまさに「次世代のスバル」
さて、2026年4月に登場して以来、大きな注目を集めているスバルの新型バッテリーEV(BEV)第2弾、「トレイルシーカー(Trailseeker)」へと試乗。
「ソルテラがあるのに、なぜもう一台ミッドサイズEVを?」と考えてしまいますが、実車に触れて走らせると、このクルマこそ「これぞスバルが作りたかった、次世代のステーションワゴンなんじゃないか」と確信させられる仕上がりを持つという印象です。
今回は、気になる航続距離や走行性能、そしてスバル伝統のAWDシステムがBEV化でどう進化したのか、公道試乗でのレポートをお届けしたいと思います。
スバル トレイルシーカー:試乗時に感じたことの要約
- 重量と低重心を活かした「高級な乗り味」を演出した”おおらかなグランドツアラー”
- パンチの効いた加速とシャープなハンドリング
- EVならではのメリットを活かした設計を持ち、「ガソリン車の代替」ではなく、積極的に選びたくなるEVである
トレイルシーカーはソルテラ、トヨタbZ4Xとは明確にキャラクターが異なる
トレイルシーカーを一言で表すなら、「現代に蘇った100%電気で走るグランドツーリング・ワゴン」。
ソルテラと同様にトヨタとの共同開発プラットフォーム(e-SUBARU GLOBAL PLATFORM)を採用していますが、実際に乗ってみるとそのキャラクターは明確に異なります。
ちなみにぼくが(以前に)乗ったソルテラ、そしてトヨタbZ4Xはマイナーチェンジ前のモデルなので、このトレイルシーカーをより正確に判断するとなると、マイナーチェンジ後のソルテラとトヨタbZ4Xにも乗ってみる必要がありそうです(それくらいマイチェン前のソルテラとトヨタbZ4Xとトレイルシーカーとは異なる乗り味を持っている)。

1. トレイルシーカーってどんな車?ソルテラやアウトバックとのサイズ比較
まずはサイズ感を、兄弟車のソルテラ、そしてスバルのフラッグシップSUVとして位置づけられていたレガシィ アウトバックと比較してみましょう。
| 車種 | 全長 | 全幅 | 全高 | ホイールベース | 最低地上高 | 荷室容量 |
| トレイルシーカー | 4,845mm | 1,860mm | 1,675mm | 2,850mm | 210mm | 633L |
| ソルテラ | 4,690mm | 1,860mm | 1,650mm | 2,850mm | 210mm | 452L |
| アウトバック | 4,870mm | 1,875mm | 1,675mm | 2,745mm | 213mm | 561L |
注目は「伸びた全長」と「圧倒的な荷室」
ソルテラとホイールベース(2,850mm)は同じですが、全長は155mmも延長されており、この延長分はすべてリヤのオーバーハング、つまり「荷室」に充てられています。
その結果、荷室容量は633Lを確保することとなり、ソルテラ比で+181L、さらにはあのアウトバックさえも72L上回るという驚異的な積載力を手に入れることとなり、これはバッテリーをフロアに敷き詰めているEVということを考慮すると”驚異的”とも言える数値かも。
そしてこの数字が「どれくらい」かというと、9.5インチのゴルフバッグが横に4つスッポリ収まる広さということになり、ゴルファーはもちろん、キャンプギアを大量に積み込むアウトドア派や車中泊ユーザーには最高のパッケージングということになりますね。

なお、全体的なデザインは「未来っぽい」雰囲気を持ちつつも、ロッカーパネル風のデザイン、丸みを帯びたディティールを与えることで「先進的すぎず(尖りすぎてない)」、自然によくマッチする雰囲気を持たせているように思います。
2. 【試乗インプレ】スポーツカー並みの加速と、緻密すぎるAWD制御
今回試乗したのは、前後モーターを搭載する4WD(AWD)モデル。
走り出してまず驚くのが、その圧倒的なパワー性能で・・・。
0-100km/h加速「約4.5秒」の衝撃
リヤモーターが強化されたことでシステム最高出力は280kW(380馬力)に向上(ソルテラ4WDは252kW)し、アクセルを深く踏み込んだ瞬間、巨体が無音で弾け飛ぶという印象で、それもそのはず、0-100km/h加速はなんと約4.5秒をマークしており、これはWRXをも凌駕してスバル史上最速の加速性能という数字。
今回は一般道の試乗にとどまったものの、高速道路の合流や追い越しでストレスを感じる場面は皆無かと思われます。

Life in the FAST LANE.
足回り、ハンドリングも「意のままに」
その次に驚かされるのが「足回り」。
これがまた非常によくストロークする柔軟極まりない足回りという印象なのですが、けしてふわふわせずキャビンが安定しているのはEVならではの重心の低さ、そして剛性の高いボディのなせるワザなのだと思われます。
その印象はまさに「グランドツアラー」、そして安心感の高いもので、これによって今までのスバルにはなかった高級感が感じられるようにも。
なお、試乗したAWDモデルの車体重量は2,295kgにも達しますが、この「足回りがよく動くのに車体が揺すられない」というのはレンジローバーのような大きな、そして重量級のSUVによく見られる傾向であり、「その重さを活かした」適切な車体制御であるとも考えられます(ある程度重量がないと出せない乗り味というものもある)。※最近のEVはその重量、低重心をうまく活用したシャシー設定を行うのが上手である
そしてそこへ「低重心」を組み合わせることでこの乗り味を実現したのだとも考えられますが、これは「EVとして専用に設計されたクルマならでは」のフィーリングだとも捉えており、ガソリン車には実現できない乗り味なのかもしれません(自動車メーカー各社とも、EVを「作り慣れてきて」その特性を活かした設計ができるようになっているようだ)。

そう考えるならば、EVはいま新しいアドバンテージを手にしたということになり、ここから先、「乗り心地がいいから」「ガソリン車よりも安定していて高級感があるから」という理由で積極的にEVを選ぶという風潮が生まれる可能性もあり、実際のところこのトレイルシーカーは「試乗した後に購入を即決する」人が多いという話にも納得でもありますね。
このシャシーセッティングのおかげもあってシャープなハンドリングを持ち(しかし過敏ではなく適度なユルさを保っている)、コーナー入り口での頭の入りが良く、狙ったラインを正確にトレースできる感覚は2トン超えのEVとは思えないほど軽快です。
なお、この回頭性の良さは「足回り」のみではなく、ドライバーのステアリング操作や路面状況から「次にクルマがどう動くか」を車両側が先読みし、前後の駆動力や回生ブレーキをミリ秒単位で緻密にコントロールするという新世代のAWDシステムが大きく寄与しているのは疑う余地がないところ。
通常の範囲のドライバビリティに関していうならば、正直「もうガソリン車を選ぶ理由はないんじゃないか」という印象で、静粛性、乗り心地、安定性、回頭性などすべての面においてガソリン車を凌駕している、と言っていいかもしれません。

3. インテリアと先進ガジェット
そしてインテリアに目を移すと、内装は水平基調ですっきりとした先進的なデザインを持ち、ソルテラ譲りの異形ステアリングホイールやトップマウントメーターが目を引くところ。
- 14インチの超大型センターディスプレイ: トヨタ系のメニューシステムをベースにしており、レスポンスは非常にサクサク。Apple CarPlay / Android Autoともにワイヤレス接続に対応している
- スマホ2台同時ワイヤレス充電: センターコンソールにはワイヤレス充電パッドが2基用意されており、助手席のパートナーとのドライブでも喧嘩にならない
- V2L(1500Wアクセサリーコンセント): ラゲッジ等に配置されたコンセントから家電が使用でき、キャンプで電気毛布やコーヒーメーカーを使うなど、アウトドアの幅が広がる。もちろん災害時などには住宅にも給電可能

ちなみにですが、「走行可能距離」が非常されるのはEVの常ではあるものの、「今現在」のエアコン使用状況(風量)などを変更するとメーター内の走行可能距離が変化するのが面白く、たとえばエアコンを「MAXに」すると走行可能距離が400kmになり、OFFにすると走行可能距離がその場で490kmになったりします(以前に乗っていたBMW i3ではこういった変化の仕方ではなく、走行可能距離は走行するにつれて、エアコンの使用状況にあわせて”急激”あるいは”ゆるやか”に減っていった)。
つまり、トレイルシーカーでは「このままエアコンをMAXにしているとヤバい」といった判断をドライバーへと促すことが可能となっており、よりインテリジェントというわけですね。

そのほか、内装の素材やフィニッシュ、そしてシートの座り心地は「かなりのクオリティ」。
基本的にはトヨタ「そのまま」に近い仕様を持ち、ドライバーアシストもカメラメインの「アイサイト」ではなく、トヨタの運転支援システムを引き継いだ「スバル セーフティ センス」となっています。

4. リアルに感じたメリット・デメリット
「実際に買うこと前提」という目線にて、試乗中に気づいた「良かった点」と「ここは購入前に知っておくべき点」をまとめてみると・・・。
◎ メリット(ここがスゴイ)
- 静粛性とフラットな乗り味: エンジン音がないのはもちろん、ロードノイズの遮音対策が徹底されており、車内は超高級サルーンのように静か。バッテリーが床下に敷き詰められているため低重心で、不快なピッチング(前後の揺れ)が抑えられている
- 疲れ知らずの乗り心地: 足回りが柔らかく、室内の囲まれ感が強いため「守られてる感」が非常に強く、さらにはハンドリングやブレーキングに関して不自然かつ神経質な挙動もなく、ラフな操作を許容するという性格は長距離ドライブに大きなメリットを発揮しそう
- トップクラスの航続距離: カタログ値(WLTCモード)でFWDモデルは734km、4WDでも627〜690km。実質的な高速巡航でも十分な足の長さを確保している(試乗車から推測すると、AWDモデルの街なかでの現実的な航続可能距離は580〜600kmくらいだと思われる)

✕ デリット(ここは注意)
- リヤシートの「上げ底」感: 床下に大容量バッテリーを搭載している影響で、後席の床面がやや高め。そのため、座ったときに少し膝が持ち上がる(体育座りに近くなる)感覚があり、足元空間自体は広いものの大柄な人が長時間リヤに乗る場合は事前に座ってみることを強くオススメ。なお、同様の理由で運転席のフロアも高く、けっこう足を上げる必要があるため、体が硬い人には辛いかも
- 視界を遮るドアミラー: 左右ドアミラーは右左折時に視界を遮ることがあり、これは「広い面積」を確保するための配慮とのトレードオフか。三角窓も設けられているが、それで試乗時にはちょっと気になった
- 大柄なボディサイズ: 全長4,845mm、全幅1,860mmという大柄なボディでは日本の標準的な機械式立体駐車場には入らないことも多いため、保管場所や日常的に出入りする場所での「駐車可否」確認は必須である

5. まとめ:トレイルシーカーはどんな人におすすめ?
スバル・トレイルシーカーの価格は539万円〜638万円で、国や自治体のEV補助金を活用すれば、実質400万円台後半からの購入が可能であり、正直「非常に魅力があるクルマ(ただしリセールは”EVだけに”ほかのスバル車ほどは期待できないかもしれない)」。
- キャンプやウィンタースポーツなど、荷物を満載して遠出したい人(ただし高速道路使用時は航続可能距離が大きく減るものと思われる)
- これまでのガソリン車から乗り換えても違和感のない、自然で安心できるAWDの走りを求めている人
- 「ソルテラでは荷室が狭い」「アウトバックの次世代版を待ち望んでいた」というスバリスト
まさに「道具としての機能美」と「走りの愉しさ」をBEVという最新の器で表現した、極めてスバルらしい1台に仕上がっているのがこのトレイルシーカー。
アウトドアっぽい、しかし未来も感じさせるデザインを持ち(しかし「行き過ぎてない」程よさを持っている)、さらに乗り心地やハンドリングは完全にガソリン車を凌駕した「新世代のEV」だと思います。

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