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【1センチごとに課税?】世界中で増殖する「巨大なSUV」に激怒する研究者グループ。ついに前代未聞の“サイズ課税論”までが登場する

ランドクルーザーFJ(ブルー)のフロント
Life in the FAST LANE.

| もはや「全幅1,900ミリ」も珍しくはない |

さらには重量2トンのクルマが日常的に走り回るように

近年、街を走るクルマが「ひと回り大きくなった」と感じることも多いのではないかと思います。

乗用車の主流がセダンやハッチバックからSUVやクロスオーバーへと移り変わる中、自動車メーカーは毎年、より長く、より広く、より高いクルマを市場に投入し続けていて、日本の場合だと「自動車メーカーがグローバルモデルを日本国内へと投入」するようになったため、欧米の大きなクルマがそのままの仕様をもって日本市場へと入ってくるようになり、結果として日本のクルマがどんどん大きくなり続けているわけですね。

そして少し前までは「5ナンバー、3ナンバー議論」成物が存在し、それまで5ナンバーだったクルマがモデルチェンジによって「3ナンバー」になったりするとヒステリックに叫ぶ人々がネット上を賑わせたものですが、今ではそういった傾向すら見られなくなるほどに「クルマが大型化してしまっている」という現状も。

ミニクーパーSのフロント(グリーン)
Life in the FAST LANE.

一見すると快適性や安心感が向上したように思えるこの「車の巨大化」現象。

しかしこれは世界中の専門の環境・交通研究機関からは「カースプレッディング(Carspreading=車の蔓延・肥大化)」と呼ばれ、都市のインフラや市民の命を脅かす重大なリスクとして猛烈な批判を浴びています。

「なぜ車は大きくなり続けるのか」「大きくなることで、ぼくらの生活にどんな実害が出るのか」こうした疑問に対し、欧州の環境NGO「Transport & Environment(T&E)」と「Clean Cities」が発表した最新レポートをもとに、クルマのサイズ肥大化がもたらす衝撃の未来、そしてそれを阻止するために浮上した「1センチ(あるいは寸法)単位の車両課税」という驚きの規制案について見てみましょう。

この記事の要約

  • 容赦のない巨大化(カースプレッディング): 新車は毎年平均して全長が1.2cm、全高が0.5cmずつ拡大しており、家族の人数が減っているにもかかわらず、過去4分の1世紀にわたりクルマの肥大化が止まっていない
  • 都市と安全への深刻な実害: このまま拡大が続くと、2040年までに都市の路上駐車スペースの8.5〜14%が消失。さらに、ボンネットが高くなることで歩行者やサイクリストの死亡リスクが跳ね上がり、最大2,570人の追加犠牲者が出ると試算されている
  • 莫大なエネルギーの浪費: 車体が重く大きくなることで、ガソリン車だけでなくEV(電気自動車)であっても消費エネルギーが増大。欧州全体で風力発電機1,500基分に相当する年間22.5TWhの電力が余分に必要になる
  • 専門家が提唱する過激な「サイズ税」: 事態を重く見た研究機関は、ボンネット高85cm、全幅192cmの制限に加え、車両寸法に応じた課税や、コンパクトな小型EV(全長4.2m未満)への限定インセンティブなどの導入を政府へ要求している
トヨタ・ハイラックスのエクステリア〜フロントバンパー
Life in the FAST LANE.

車格の拡大(カースプレッディング)がもたらす3つの致命的な弊害

ぼくらが購入するクルマのサイズは、過去25年間にわたり一度も立ち止まることなく拡大を続けてきたというのが現実で、T&Eの調査によると、欧州で販売される新車の平均サイズは、毎年全長が1.2cm、全高が0.5cmずつ成長しています。

さらに、全幅やボンネット(フード)の高さも毎年約0.5cmずつ高くなっていることが分かっているのですが、奇妙なことに、この四半世紀の間に一般的な家族の構成人数は減少傾向にあるにもかかわらず、ファミリーカーのサイズだけが大きくなり続けている、という統計も。

この現状に対して、レポートでは2つの未来のシナリオを比較していて・・・。

  1. トレンド継続シナリオ: メーカーが現在の市場トレンドに従い、さらに大型のSUVやクロスオーバーの販売比率を増やしていく未来。
  2. 適正サイズ(ライトサイジング)シナリオ: 政策的な介入によって車両寸法を段階的に制限し、2010〜2015年当時の平均的なサイズ感へと戻していく未来。

研究者たちは、もしこのまま「トレンド継続シナリオ」が進んだ場合、2040年までに社会のあらゆる側面で致命的な崩壊(多次元的な弊害)が起きると警鐘を鳴らしており、クルマの肥大化がもたらす影響は単に「運転がしにくくなる」というレベルに留まらず、レポートが指摘する具体的なデータは以下の通りとなっています。

トヨタ・ランドクルーザー
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1. 都市インフラの崩壊(駐車スペースの枯渇)

現代の都市の道路や白線は、一世代前の車のサイズを基準に設計されており、車幅や全長が限界を超えれば、当然これまでのスペースには収まることができなくなる、という問題も。※加えて、別のレポートでは立体駐車場の耐荷重についても言及がなされている

なお、日本だとこれまで「全長5メートル」を超えるクルマは稀であったものの、最近だとそれも珍しくはなくなってきていますね。

  • 駐車容量の減少: 2040年までに、路上駐車のキャパシティがグローバルで8.5%〜14%減少する試算。
  • 主要都市の損失: ロンドンやベルリンといった大都市だけで、それぞれ約10万台分の駐車スペースが事実上消滅する。
  • 実態の悪化: 区画に収まらない大型SUVが実質的に「2台分のスペース」を占拠したり、歩道へはみ出したりすることで、歩行者の安全な通行が妨げられるトラブルが激増する。

2. 歩行者・サイクリストの死亡リスク急増

クルマの「フロント面の高さと厚み」は、衝突時の生存率に直結し、特にボンネットの位置が高くなるほど、事故の際の凶暴性が増すことが過去の研究で証明されています。

そしてこの「フロント面の高さと厚み」はSUVのみに関係するものではなく、セダンでも同様で、実際にちょっと前の「マークX」などを見ると、現代のセダンに比較して「すごく低く」見えることもありますよね。

  • 追加の犠牲者数: ライトサイジング(適正化)シナリオと比較した場合、2040年までに約2,570人の歩行者やサイクリストが余計に命を落とすと推計。
  • 子供への危険性: ボンネットの高さが10cm高くなるだけで、視界の死角が増え、10歳未満の子供が衝突された際の死亡確率は大幅に跳ね上がる(米国等のデータでは最大81%増)。
トヨタ・クラウン(ホワイト、セダン)
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3. 電気自動車(EV)時代でも相殺できないエネルギー浪費

「EVになれば環境に優しいから、大きくても問題ない」という反論は成り立たず、車体が重く、空気抵抗が大きくなれば、動かすために必要な電気エネルギーの量も爆発的に増えるから。

  • 電力需要の逼迫: トレンドが続けば、2040年時点で欧州のEVフリートは年間22.5TWh(テラワット時)もの追加電力を必要とする。これは陸上風力発電機およそ1,500基分の年間総発電量に匹敵する。
  • 化石燃料の依存: 内燃機関車(ガソリン・ディーゼル車)が残る期間だけでも、サイズ肥大化によって1億バレル以上の原油輸入が余分に発生する。

専門家が政府に求める「超過激な規制・課税案」の一覧

これらの危機を回避するため、研究者たちは自動車メーカーやユーザーに対し、以下のような非常に厳格なペナルティやルールの策定を提案しています。

規制・対策項目具体的な提案内容
ボンネット高の制限歩行者衝突時の安全性を確保するため、フロントフードの最高位を85cm以下に制限。
車両全幅の制限一般的な駐車枠や狭い道路からはみ出さないよう、最大幅を192cm以下に制限。
寸法連動型の新車税全長や全幅など、車体の物理的な寸法(1センチ単位など)に応じて税額が跳ね上がる仕組みの導入。
サイズ別駐車料金車体が大きく、重量があるクルマほど、都市部での駐車料金を割高にする(パリやパリ、チューリッヒ等で一部導入済みの施策の拡大)。
小型EV限定の優遇策税制優遇や補助金の対象を、全長4.2m未満のコンパクトな電気自動車のみに限定する。
トヨタ ランドクルーザー250(ホワイト)
Life in the FAST LANE.

結論

自動車メーカーがこれほどまでにSUVを大型化させ、熱心にアピールする背景には「実はシンプルな理由」が存在し、それは「大型車やSUVの方が、コンパクトカーよりも圧倒的に利益率(儲け)が大きいから(同じ価格であれば、より大きいクルマのほうが割安に見え、消費者に選ばれやすい)」。

さらに多くの国で大型車やトラック枠の車両に対しては、燃費基準や安全基準において”乗用車よりも緩い抜け道(免除措置)”が用意されてきたという歴史もメーカーの背中を押してきたとされ、つまり、消費者が好んで大きなクルマを選んでいる側面がある一方、メーカー側が「儲かるから大きなクルマを買うように仕向けてきた」というビジネス構造が根底にある、とレポートは締めくくっています。

すでにヨーロッパの一部都市(フランスのパリなど)では、重量のある大型SUVの観光客駐車料金を3倍に値上げするなどの対抗策が始まっていますが、今回の「1センチ単位のサイズ課税」のような根本的な法規制が実現するかどうかは激しい政治的対立を招くことが予想され、特にアメリカや大型車を好む市場では個人の選択の自由や自動車ロビーの反発から、導入へのハードルは極めて高いのかもしれません。

BYDの高級ブランド、デンツァ(DENZA))のミニバン
Life in the FAST LANE.

しかし、ぼくらが乗るクルマのサイズが間接的に「都市のスペースを奪い、他人の命の危険を高め、インフラの電力を無駄遣いしている」という指摘は、データとして無視できない段階に達しているのもまた事実であり、これからの時代、ぼくらが選ぶべきは「ただ強そうで見栄えが良い大きなクルマ」なのか、それとも「都市と調和するスマートで知的な適正サイズのクルマ」なのかという、クルマを選ぶ消費者の“価値観”そのものがいま試されている、と考えることも可能です。

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参照:CARSCOOPS

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