
| グッドウッドで語られた、猛牛ブランドの未来図 |
ランボルギーニは大幅に計画を変更、その将来に期待がかかる
2026年の「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」は世界中の自動車メーカーが最新の技術と最も重要な新型車を披露する、モータースポーツ界最大の祭典の一つです。
ランボルギーニはこの記念すべき舞台にて新型「ウルス SE ペルフォルマンテ」のダイナミックなローンチを行っていますが、そこへ参加したカーメディアが同社のステファン・ヴィンケルマンCEOへと直撃取材を試みたところ、話題はウルスのみに留まらず、現在開発が進められている「ブランド第4のモデル」となる新型グランドツアラー(GT)の核心、そして競合フェラーリの動向に対するスタンスへと及ぶこととなり、ここでスーパーカー界の絶対王者が描く、ブレない未来戦略について見てみましょう。
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ランボルギーニが「ウルス SE ペルフォルマンテ」を発表。新型エアサスに6Dセンサー、812馬力のモンスターPHEV。「アドレナリンに形を与えたらこうなった」
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この記事の要約(クイックチェック)
- 第4のモデルは「2+2の新型GT」:ウルス、テメラリオ、レヴエルトに続く新世代モデルは、車高を上げたクロスオーバー風の2ドア・4人乗りGTカーに。
- EVからPHEV(プラグインハイブリッド)へ:当初「完全EV」として発表されたコンセプトカー「ランザドール」の市販版となるが、市場の変化を受けPHEVパワートレインへの変更が濃厚。
- フェラーリの模擬MTトレンドは「完全無視」:フェラーリが新型車で試みる擬似的なマニュアルトランスミッション技術に対し、「我々は本質的な重要課題にのみ集中する」と一蹴。
- ハイブリッドは「性能をブーストするため」:ランボルギーニにとっての電動化は、エコのためだけではなく、世界中どこでも同じ最高のパフォーマンス(オリジナル)を提供するための最強の武器。

「一目でそれと分かる」圧倒的な独創性を宿す新型GT
現在、ランボルギーニのラインナップは「レヴエルト(V12ハイブリッド)」「テメラリオ(V8ツインターボハイブリッド)」「ウルス(スーパーSUV)」の3本柱で構成されています。ここに加わる第4のプロジェクトについて、ステファン・ヴィンケルマンCEOは力強く次のように語ることに。
「我々には第4のモデルに向けた明確なプロジェクトがある。将来的には4モデル体制となり、この最新作はいわゆるGTカー、つまり2ドアの2+2(4人乗り)という構成になる。ただし、従来のクーペとは異なる『まったく新しいボディスタイル』を採用する予定だ。現在、非常にクールなアイデアを形にしているところだ」
CEOが指摘する「異なるボディスタイル」とは、2023年に発表されたコンセプトカー「ランザドール(Lanzador)」の系譜を指しているものと思われ、一般的な地を這うようなGTカーではなく、ウルスのDNAを融合させたかのような「高めの車高(ハイライドハイト)」を持つ独創的なシルエットというわけですね。

Image:Lamborghini
世界中でハイパフォーマンスモデルのコモディティ化(同質化)が進む中、ヴィンケルマン氏はデザインの重要性を改めて強調し、以下のようにも述べています。
「我々がスーパーカー市場で突出している理由と同じだ。ランボルギーニを見た瞬間、誰もがそのデザインに目を奪われる。それは世代間での違いだけでなく、競合他車と比較した際にも圧倒的に際立っている。我が社のクルマを見たとき、『これはランボルギーニ以外の何物でもない』と誰もが確信できる、そういうデザインでなければならないのだ」
フェラーリの「模擬MT」トレンドへの冷ややかな視線
グッドウッドの開幕前、ネット上で大きな話題となっていたのがフェラーリに新型「12チリンドリ・マヌアーレ(12Cilindri Manuale)」に採用された「電気的にマニュアル車の感覚を再現する模擬MT(シミュレーテッドMT)」のトレンドです。
これについてランボルギーニも追随するアプローチがあるのかという質問に対し、ヴィンケルマンCEOの回答は極めてシンプルで・・・。
「いいえ、我々はそうした流行を追うつもりはありません。我々が集中すべきは『ビッグチケット(真に会社の未来を左右する重要課題)』です。現在3つのコアモデルがあり、そこから派生モデル(SVやステラートなど)を展開する戦略がある。その上で第4のモデルという未来への大投資を行っている最中だ。会社にとって本当に鍵となる部分へリソースを集中させることが何よりも重要なのです」

なお、現在ランボルギーニは親会社であるフォルクスワーゲングループが「売りに出すのでは」というウワサも流れているものの、(ポルシェが利益を失い続けるいま)ランボルギーニは同グループの基調な資金源であり、よってランボルギーニにかかるフォルクスワーゲンの期待は「非常に大きなもの」となっている可能性が高く、そしてこれまで成長を続けてきた同社の(グループ内での)発言力とポジションは非常に強いものとなっているのかもしれません。
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ランボルギーニの今後のモデル展開と戦略まとめ
- 第4の市販モデル(ランザドール市販版)
- スタイル:ハイライドハイト(高車高)の2ドア 2+2 GTコミューター
- パワートレインの転換:当初のBEV(完全電気自動車)計画から世界的なEV需要の減退とユーザーの声を反映し、PHEV(プラグインハイブリッドガソリンエンジン)へ仕様変更を予定
- 派生モデル戦略(デリバティバイゼーション):
- レヴエルトの高性能版「SV(スーパーヴェローチェ)」の開発
- 新型テメラリオのオフロード仕様「ステラート(Sterrato)」の検討
- 限られた顧客向けの超限定モデル「フェノーメノ(Fenomeno)」の生産への移行
- ハイブリッドに対する哲学:
- 単なるCO2削減のための妥協ではなく、V8やV12エンジンに電気の力を上乗せする「パフォーマンスのブースター(加速器)」として位置付け
- 地域ごとに仕様を分ける(環境規制が厳しい地域だけダウングレードする)ことはせず、「世界中どこの市場の顧客も、全く同じ本物のオリジナルを購入できる」グローバルワンプロダクト体制の維持

トレンドを「追う側」から「作る側」への絶対的自信
現在のプレミアム・ハイパースポーツ市場において、ランボルギーニの立ち位置は非常にユニークです。
ポルシェやマクラーレン、あるいは新興のEVハイパーカーブランドが「純粋な軽量化」や「ギミックとしてのEV技術」に奔走する中、ランボルギーニはあえて大排気量マルチシリンダーエンジンとモーターを組み合わせた、最もエモーショナルで重量感のあるPHEV路線へと舵を切って大成功を収めています。
競合であるフェラーリがEV時代や内燃機関の規制強化を見据えて「ソフトウェアによるエミュレーション(模擬MTなど)」で運転の楽しさを演出しようとしているのに対し、ランボルギーニは「どこから見ても一目でわかるアグレッシブな造形」と「実質的なパワーブーストとしてのハイブリッド技術」という、より直感的でわかりやすいラグジュアリーの価値を提供するというのが今回再確認された方針で、市場の気まぐれな流行や一時的なEVへの移行トレンドに流されず、自らのアイデンティティを頑なに守り抜く姿勢こそが現在の同社の驚異的な利益率と長いウェインティングリスト(納車待ち)を支える原動力となっているというわけですね。
妥協なき猛牛が切り拓く、次世代のグランドツアラー
今回のヴィンケルマンCEOのインタビューから浮き彫りになったのはランボルギーニというブランドが持つ、自らのアイデンティティに対する絶対的な自信です。
EVシフトのスピードを市場に合わせて冷静に見極め、ランザドールをより現実的かつエキサイティングなPHEV GTへと昇華させる柔軟性を持ちながらも、デザインの独創性や走りの本質においては決して他社の真似をしない。
「これはランボルギーニ以外の何物でもない」というCEOの言葉通り、数年後にぼくらが目にする第4の新型GTは、既存のあらゆるクロスオーバーやGTカーを退屈に見せるほどの衝撃を持ってストリートへ降臨することになりそうですね。

なぜ今、スーパーカーの「EV計画撤回」が相次いでいるのか?
今回のインタビューの背景にある最も重要な業界の地殻変動がランボルギーニによる「第4のモデルのEV計画見直し(PHEV化へのシフト)」。
2023年にランザドールが発表された際は「ブランド初の完全EV」として大々的にアピールされていたものの、2026年現在、その方針は大きく修正されています。
なぜか?
ここには「富裕層のリアルな購買行動」と「エモーショナル性の壁」があり、日常使いするセダンやSUV(ファミリーカー)であれば、静かでスムーズなEVは非常に魅力的です。
しかし、数千万円から億円単位の資金を投じてランボルギーニを購入するコアなコレクターたちが求めているのは効率性ではなく「五感に訴えかける刺激」であり、それはエンジンの振動、エキゾーストノート(排気音)、そしてギアが切り替わる瞬間のダイレクトな感触であって、それらの集合体がプレミアムな体験の対価となっているのだと思われます。
また、急速なBEVシフトによるリセールバリュー(残価)の下落リスクを富裕層が嫌気したことも大きな要因だと考えてよく、そこでランボルギーニは、「普段は静かに電気で走ることができ、いざとなれば猛牛の咆哮を轟かせる」というPHEVこそが、現在のテクノロジーにおけるラグジュアリースーパーカーの「唯一無二の最適解」であると見抜いたということに。
つまりランボルギーニの計画修正は「市場のトレンドに盲従せず、顧客の本音に耳を傾けた結果」だと考えられ、まさに「天上天下唯我独尊」というランボルギーニらしい判断だと思います。
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参照:CARBUZZ











