| このベクターM-12は14台のうちの「4番目」、数々のカーメディアに登場したことも |
希少さも手伝って入札価格はぐんぐん上昇
さて、「アメリカ初のスーパーカーメーカー」と評されるベクター。
いかにもぼくが大好きなウエッジシェイプを持つスーパーカーばかりを発売している会社ですが、1971年に空力デザインを行う設計会社としてゼラルド・ウィーゲル氏によって設立され、1978年には「W2スーパーカーコンセプト」を発表し、翌1988年には「W8」を発表しています。
このW8はその外観のアグレッシブさに加え、戦闘機のようなインテリアが話題となっており(今回オークションに出品されているM-12のインテリアは普通の部類)、しかしあまりに高価であったことから生産はわずか17台にとどまったと言われていますね。
ただしベクターは以降も精力的に活動を続ける
その後ベクターは「WX3」なるコンセプトカーを発表するもこれは市販に至らず、1992年には(当時ランボルギーニを所有していた)インドネシアのメガテックによって買収されることに。
そしてこの時代に発売されたのが今回売りに出されているM12というわけですが、メガテック時代に開発されたためにランボルギーニと車体の一部、そしてエンジン(ディアブロに積まれていた5.7リッターV12)を共有するという構造的特徴を持っています。
このベクターM-12のパフォーマンスはディアブロの「ちょっと下」に設定されていて、そのぶん価格も低めに設定されていたそうで(0-100km/h加速は4.5秒)、しかし知名度が足りなかったのかこちらも14台しか販売されなかたっという記録が残ります(そのうちの1台もしくは数台はブルネイ王室が購入している)。
なお、経営者が変わったといえど、極端なウエッジシェイプに5角型のドアというベクターのDNAは失われておらず、さらには全面フロントガラスはW8との密接なつながりを感じさせ、加えてユニークな(ADVAN ONIのような)3本スポークホイールといった特徴も。
この個体はそんなM-12の中でも際立って興味深い生涯を送っており、カーメディア「ホイール」誌の表紙を飾り、1990年代半ばはトップ ギアの撮影にて他ならぬジェレミー・クラークソンが運転したこともあるそうです。
見たところ非常にコンディションも良く、走行距離は4,400マイル(約7,080km)、機関も良好とのこと。

世界に14台という希少性、そしてベクターの持つドラマ製、さらにはこの個体特有のバックボーンも手伝って現在の入札価格は225,000ドル(現在の為替レートにて約3450万円)にまで上昇しており、かつ終了までには12日を残しているため、まだまだ価格が上がるのは間違いないかと思われます。
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