| 元祖アメリカンスーパーカー、ベクターが新型車生産のためにコンセプトカー売却 |
アメリカのスーパーカーメーカー、ヴェクター(ベクター)モータース・コーポレーションがかつてのプロトタイプ、「WX3」二台を販売中。
それぞれ1億1000万円の値付けとなっています。
今回の販売に至った理由としては、新型車生産のための資金獲得が必要だということで、「ベクター」というと聞いたことがあるような無いような、ぼくも長い間忘れていた名でもありますが、ここでその歴史を紐解いてみましょう。
ベクターは航空分野で成功した企業
まず、ベクターは1971年に空力デザインを行う設計会社としてゼラルド・ウィーゲル氏がスタート(ジェットスキー会社をバックボーンに持つという話も)。
その後1978年には時速370キロにて走行可能な「W2スーパーカーコンセプト」を発表しています。
これは実際に市販を予定しており、そのための準備が進められたものの、その資金を獲得できずに計画は頓挫することに。
その後の1988年には「W8」を発表し、これは実際に17台が製造され、ベクターはここで「自動車メーカー」としての地位を獲得。
同年にベクターは今回販売に出されている「WX3」を発表するものの、こちらもW2同様に販売されることなく表舞台から姿を消すことに。
ちなみに今回売りに出されているのは「WX3クーペ」「WX3ロードスター」というボディ形状違い。
なお、1992年には当時ランボルギーニを所有していたインドネシアの「メガテック」がベクターを買収しており、その際にランボルギーニ製エンジンを搭載した「M12」を発表しているものの、これは14台のみが製造されたと言われています。
その後、また当初の創業者であるゼラルド・ウィーゲル氏の手によって復活を遂げ(こうやって以前のコンセプトカーを売りに出したところを見ると、メガテックから買い戻したのかもしれない)、その後「WX8」を開発中だと報じられています。
今回、WX3が売却されて手にする資金は「WX8(2000馬力、最高速度442キロ)」の開発と生産に充てられると思われますが、「元祖」アメリカンスーパーカーでもあり、ベクターにはなんとか生産を実現してほしいものですね。
WX3のエンジンはV8ツインターボで1000馬力を発生し、トランスミッションは「シーケンシャル」とのこと。
これらWX3はもともとシルバーだったそうですが、のちに「アクアマリン」と「アメジスト」に再ペイントされています。
購入者に対しては12ヶ月もしくは24ヶ月の「返品保証」をつけ、ヴェクター社の発行する株式も一部譲渡する、とのこと。
VIA:Dupont Registry