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| 【日産の新型EV「N7」】中国で発売1か月で17,215台受注。若年層ファミリーに大人気の理由とは? |
日産の現地専用新型EV「N7」が中国で大ヒット
日産が「2025年4月27日に中国で発売された日産の新型EVセダン「N7」が、わずか約1か月で17,215台の受注を記録した」と発表。
このN7の販売を手掛けるのは、日産自動車と中国の合弁会社「東風日産乗用車公司(DFN)」です。
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「中国企画・中国生産」はひとつの望みとなりうるか
なお、この日産N7は販売のみではなく企画と製造についても東風日産乗用車公司が手掛けるもので、つまりは「企画から生産、販売までが中国で行われたクルマ」。
よってこれまでの日産車とは全く異なる外観や機能を持ち、外観でいえばフラッシュマウントドアハンドル、細長いLEDライト、ツルっとしたボディラインにクーペ風スタイルといったところ。
さらに内装では「広いスペース」「グラストップ」「快適なシート」「クアルコム製スナップドラゴン 8295プロセッサーを採用したインフォテイメントシステム」「先進的な自動運転機能”ナビゲート・オン・オートパイロット”搭載」などを持っています。※さらには名称までが中国で好まれる「アルファベット+数字」である
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これらは合弁会社である東風日産乗用車公司の(もう一方の)パートナー、東風汽車がすでに持っていた技術や資産を投入したものであり、ある意味では東風汽車が展開する既存車種の「バッジエンジニアリング(あるいはOEM車)」。
要は「日産がコストをかけずに中国向けに作ったクルマ」ということですが、結果的にこのクルマが売れたということは、今まで日産が本社側で企画し開発していたクルマよりも、この「コストをかけない」あるいは「自動車としての基幹部分よりも外観や内装にコストを振り分けた」このクルマのほうが中国市場で評価されたということになり、これは日産にとって(”技術の日産”を否定されたかのような)ショッキングな、しかし根本から認識を変えざるを得ない事実なのかもしれません。
さらにマツダにおいても同様の事例が発生しており、となると日本の自動車メーカーは今後、「コストをかけて、これまで自分たちが信じてきた”いいクルマ”を開発するよりも、中国のパートナーが持つクルマをちょっとだけ変更し、自社のバッジを付けて売ったほうが」圧倒的に効率的なビジネス展開を行うことができるのだとも考えられ、プライドを別にすれば、これは日本の自動車メーカーにとって「やっと見つけることができた、中国市場を攻略するための解」となる可能性も秘めています。※悲しいことではあるが、日本の自動車メーカー手動にて開発したクルマでは中国市場で通用しないことが立証されたと考えていい
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【ターゲット層】N7購入者の70%が「初めての日産車」
話をこの「N7」に戻すと、じつにN7の購入者の多くは35歳以下の若年ファミリー層。
しかも、その70%が「初めて日産車を購入したユーザー」だという点が注目され、若年層に響いた理由は以下の通りだと分析されています。
- スタイリッシュなデザイン
- ファミリー向けの広い室内空間
- アフォーダブルな価格帯(約11.9万元~14.9万元)
- EVとしての高い実用性
「N7」には用途に応じた2つのバッテリータイプ(58kWh/73kWh)が用意され、最大航続距離については最大635kmを実現しているほか、3つのグレード(マックス/プロ/エア)から選べ、上位グレードではバッテリー容量の選択も可能です。
【先進技術】AI搭載の「ゼロプレッシャーシート」も
なお、N7の魅力はスペックだけではなく、モメンタ(Momenta)社と共同開発した運転支援システム「ナビゲート・オン・オートパイロット」や、AIで最適な姿勢に調整する「ゼロプレッシャーシート(ゼログラビティシートともいわれる)」など、最先端技術も搭載されています。
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さらには購入体験をさらにスムーズにするため、東風日産乗用車公司は販売チャネルの革新にも取り組んでおり、「全国に500か所以上の注文センターと、100以上の配送センターを設置」「オンラインアプリの機能強化(整備予約・進捗確認・ユーザーコミュニティなど)」がアナウンスされていますが、とにかく中国市場は「販売やデリバリーまで含めても」日米欧とはまったく異なる嗜好を持つ市場であると理解せざるを得ず、これまでの自動車業界が培ってきた、大切な価値観が全く通用しない市場であることを理解する必要がありそうです(それはそれで悪いことではなく、中国市場に対応することで会社が存続でき、その経験は将来別の市場でも必ず生きてくるものと思われる)。
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参照:Nissan