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いまだ冷めやらぬ「テスラ(値下げ)ショック」。米国では他自動車メーカーを巻き込んで価格競争に、そしてモデルYは検索ランキング70位から2位に浮上しテスラブーム再燃

2023/01/28

テスラ

| おそらくちょっとやそっとの値下げではここまで大きな話題にはならかなっただろう |

他自動車メーカーはテスラの「さらなる値下げ」に戦々恐々

さて、日本ではさほど関心が示されてなかったものの、米国においては大きな注目を集めているテスラの大幅値下げ。

もっとも売れているモデルYだとスタート価格が65,990ドルから52,990ドルに下がり、さらに7,500ドルの米国連邦EV税額控除が適用されるようになったことから、受注が「いまだかつてないレベルにて」推移していると言われます。

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テスラの値下げは想像以上に大きな波紋を投げかける

テスラの行ったプライスダウンについては、「需要が減っている」つまりライバルが増えたことで売れなくなったために行われたと考えるのが妥当であり、そして通常は値下げを行うと利益を失うだけなので、この値下げはテスラにとってマイナス材料です。

ただ、今回の値下げ以降、テスラの株価は上昇を続けており、つまり今回の値下げはポジティブ材料だと広く認識されていて、この価格改定によってテスラは「トータルでの利益額を大きく増加させるだろう」とも見られているようですね。

そして値下げからちょっと時間が経過した今、テスラの値下げが自動車業界に与えた影響、そしてこれからの動向についての考察や報道がいくつか出てきており、そこでおおよそ一致しているのは「テスラの値下げによって、多くのEVメーカーが淘汰されるであろう」。

バンク・オブ・アメリカのアナリスト、ジョン・マーフィー氏によれば「多くの自動車メーカー、とくにEVをたくさん製造していないメーカーは電動化への投資を回収できておらず、EVの販売において利益を出せていない。この状況でテスラに値下げされると、自社のEVが売れなくなり、赤字覚悟で値下げをするしかないだろう」。

加えてこの状況について「テスラの値下げは、ちょうどほかの自動車メーカーがEVを増産しようとしているときに行われており、他自動車メーカーのビジネスをさらに難しくする可能性が高い」とも。

テスラ・モデルY

GMの広報担当者によれば「テスラの価格変更を注視しているものの、まだ影響は出ていない。このような時だからこそ、将来的にさまざまな価格帯のEVを幅広く提供するというGMの目標の重要性が強調される」と述べていますが、GM製EVの価格帯やキャラクターはテスラとあまり被っておらず、それが幸いしたのかもしれません。

その一方、テスラのクルマと被るルシード、中国だとNIOやシャオペンは「直接の影響」を被っている可能性が高く、ここで各社の戦略の相違が明暗を分けたということになりそうです(GMはハマーEVなど、独自性があり、自社の強みを活かせる展開を行っているので、テスラに客が流れにくい)。

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モーター・インテリジェンスの調査によると、2022年のテスラの販売は、米国におけるEV販売全体の約65%を占めていますが、この数字は納車待ち期間長かった時期も含まれており、もしかするともっと高いシェアを誇った可能性指摘されており、一方でフォードのEV市場におけるシェアは8%弱、GMは3.5%にとどまっていて、しかし今回のテスラの値下げにてこれがどう動くのかは注目に値するところです。

テスラ・モデルY

テスラの中古車価格も下落傾向

なお、テスラの中古車は(なかなか納車が進まないという理由にて)非常に高い相場にて推移していたものの、現在はその相場がようやく下がってきており、以前のように「新車よりも高く販売される」ことがなくなったのはもちろん、ここからまだ価格を下げるかもしれないという推測も手伝って中古車販売店も(テスラ車の)店頭価格の値下げに踏み切っていて、これによって中古市場も大きく変動しており、これもまた「テスラの値下げの余波」ということに。

そのほかの影響としては「テスラ人気の再燃」があり、値下げ前までは「テスラ以外のEVを買う」という消費者が多く、実際にモデルYだと検索ボリュームが(エドマンズのサイトの中で)70位にとどまっていたものの、値下げ後は一気に2位にまで浮上しており、大きく状況が変わっているということが様々な数値から見えています。

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なお、仮にテスラが「ちょっとだけ」しか値下げしていなければ、ここまで大きな注目を集めなかったものと思われ、しかし思い切りよく下げたことで話題作りにも成功しており、このあたりはテスラにしかできない決断であったのかもしれませんね(実際のところ、他のEVメーカーは、テスラの値下げ前にはどこも価格を下げなかった)。

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参照:Teslarati

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