| 自動車史上、ここまで話題と議論を呼んだクルマは他にないだろう |
実際のところ、よくこのクルマを発売できたものだと驚かされる
さて、テスラはサイバートラックのデリバリーを進めているところではありますが、どうやらいくつかの市場では販売すること自体が非常に難しいだろう、との報道。
これは「売れる売れない」ではなくサイバートラックの構造上そして安全上の問題であり、中国や欧州では安全基準をクリアできないと言われているわけですね。
なお、サイバートラックがコンセプトモデルとして発表された当時でも同様の報道があり、その際には認証機関であるTUVが「サイバートラックはそのエッジを丸くするなどしないと欧州では登録が難しい」と述べています。
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今回問題となっているのは「中国」での販売
そして今回話題となっているのが「中国市場でのサイバートラックの販売」で、これについてはX上でイーロン・マスクCEOがじきじきに認めており、同氏いわく「中国においてサイバートラックを合法に販売するのは”非常に”難しい」。
ことの経緯としては、中国におけるサイバートラックへの反響を受け、イーロン・マスクCEOが「多くの人が実物を見て興奮するだろう」「展示のためにプロトタイプをいくつか(中国に)送ることもできる」とコメントしたことに端を発し、これを受けて中国のテスラファンは「ついに中国にもサイバートラックが上陸する」と大きく盛り上がり、しかしイーロン・マスクCEOは(いつも通り)思わぬ方向へと話が向かわないように「中国でサイバートラックを登録するようにすることは難しい」と釘を刺した、というのが一連の流れです。
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ただ、現在中国ではBYDがその勢力を強めており、2023年はかろうじてテスラが販売台数においてBYDを抑えたものの、2024年は間違いなくBYDに抜かれるものと思われ、仮にサイバートラックが販売できなくとも、ショールームやなんらかのイベントに展示するだけであってもテスラの存在感を強めることができるのかもしれません(コストとリターンを考えると安いものである)。
なぜサイバートラックは欧州や中国では販売できないのか?
今回イーロン・マスクCEOは「中国でサイバートラックを合法に登録することが難しい」理由について触れなかったものの、それはおそらく欧州と同じく「歩行者に対する安全性」だと思われ、つまりはサイバートラックが歩行者と接触した際に「歩行者に与えるダメージが甚大」であるからだと思われます。
実際のところ、(すでにサイバートラックの販売を開始している)アメリカ市場においてですら一部団体が大きな懸念を示しており、道路安全保険協会(IIHS)の元会長エイドリアン・ランド氏(安全に関する専門家として知られる)が歩行者にもたらすリスクについて警告を発したことはよく知られ、同氏が危険だと判断したのはその「外骨格」。
大きな問題となる可能性があるのは、実際に厚いステンレス鋼を使用して車両の外板を非常に硬くしていることで、人々がそれに頭をぶつけたときに、より大きな損傷を引き起こすことになるだろう。
さらにはサイバートラックのクラッシャブルゾーン、車体重量とパワー、鋭いエッジについて懸念を表明する団体もあり、たとえば交通安全を擁護する非営利団体である欧州運輸安全評議会は「サイバートラックが歩行者や自転車利用者に及ぼす危険性」を理由に、テスラが欧州でサイバートラックを導入しないことを望む、という声明を発しているほど。
ここまで様々な観点から議論を呼ぶクルマも珍しいと思いますが、たとえ欧州と中国で販売できなかったとしても、アメリカだけでも十分な予約があるものと思われ、またその予約をさばくのにも相当な時間がかかることを考慮するに、テスラとしては何ら問題はないのかもしれませんね。
むしろ、サイバートラックが販売されないとなると欧州や中国市場での飢餓感が高まり、一部アナリストが指摘するように、むしろその価値を高めることになるケースも否定できず、「結果オーライ」となる可能性も出てきそうです。
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