| マツダはEVに関し、「意図的にスタートを遅らせている」ことについて明言している |
これで「NACS未対応」はステランティスのみである
さて、先日の「トヨタとレクサス」に加え、マツダも北米市場にてEVの充電規格に(テスラの提唱する)NACS=北米充電規格を取り入れると発表。
直近ではこの他にホンダ、ヒョンデ、起亜(キア)、ジェネシス、BMW等が同様の発表を行っていますが、現在とのところNACS対応を発表していないメジャーメーカー(グループ/ブランド)はプジョーやフィアット、マセラティなどを擁するステランティスのみとなっています。
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残念ながらMX-30はNACSに対応しない
今回のマツダの発表によると、2025年以降に北米で導入されるマツダのBEV(バッテリー式電気自動車)にはNACS充電ポートが標準にて採用され、これによって顧客にはより多くの充電オプションが提供され、電気自動車の所有が容易になる、とのこと( 事実、マツダの電気自動車所有者は、全国の15,000以上のテスラ・スーパーチャージャーの拠点で車両を充電できるようになる)。
ただ、残念なのは(すでに生産が終了した)MX-30に対しては「アダプターの提供」などでNACSに対応させる予定はないといい、これは日産リーフ同様「バッテリーマネジメントシステムの設計上、どうやっても対応ができないから」なのかもしれません。
あるいは、MX-30は「少なすぎる航続距離のため」北米市場では販売が伸びなかったと言われ、その数少ない販売台数のためにコストを投じたくないという可能性もありそうです。
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なぜマツダの「NACS対応」の発表が遅かったのか?
マツダの今回の発表は「歓迎すべきもの」ではありますが、自動車メーカーの中では「ほぼ最後」に名乗りを上げることになり、いち早く対応を発表した日産、そしてホンダに比較するとかなり遅めの対応です。
その理由について明かされてはいないものの、マツダは先日「意図的にEVへの参入を遅らせている」とコメントしていて、毛籠勝弘CEOは「市場を注意深く観察しており、EVの開発を急ぐつもりはない」、そして「EVの需要は不確実だ」とも述べています。
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よってマツダは今回のNACS対応についても注意深く成り行きを見守っていた可能性があり、そのために発表が遅めとなったのかもしれません。
ただ、マツダは「2030年までにEVの販売比率を40%にする」という目標を掲げており、新しく設置された「e-MAZDA」部門によってEVが開発され、2030年までにはおおよそグローバルで7-8台のEVが投入されるとも見込まれています(かなりのハイペースであり、その多くはスケーラブルプラットフォームを用いたSUVになるとされている)。
これについて毛籠勝弘CEOは(昨年に)「現在から2030年までは電動化の夜明けです。私たちはこの困難な道のりを乗り越えなければなりません。消費者のニーズと要望に対処する必要があるだけです。現在、顧客はバッテリーEV以外の代替ソリューションを探しています」と述べ、そして東京オートサロンではマツダの重役から「ロータリーエンジン開発チームを2024年2月に発足させる」という発表が行われており、こういった流れを見るに、マツダは今後のEVにつき、バッテリー容量を増やすのではなく、軽量コンパクトなロータリーエンジンを「発電機」として搭載する方向でEV開発を進めるのかもしれません。
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なお、現在は中国製の安価なEVが世界中に進出しつつあり、よって既存日米欧の自動車メーカーが思い描いていたような「EV市場」とはならないであろうことが明確になっていて、そのためいくつかの自動車メーカーは「ハイブリッドやPHEV重視」戦略へとシフトし、BEVから距離を置くケースも。
そういった意味ではマツダの「意図的にEV市場への参入を遅らせる」「マツダしか(市販車で)実用化し得なかったロータリーエンジンを”レンジエクステンダー”として活用する戦略」はブランディング、販売価格など競争力の面において有効に作用するかもしれません。
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