韓国にて2024年1月に売れたテスラは「わずか1台」。EV市場自体も前月比で80％縮小し、韓国では急速にEV離れが加速している

｜　ちなみに昨年6月の韓国訪問では1台もテスラ車を見かけなかった　｜

この韓国の様相は、ある意味で世界の他地域でこれから起こりうることの「前兆」なのかもしれない

さて、2024年1月の韓国市場において、テスラの販売がなんと「わずか1台」であったとの報道。

韓国ではヒョンデの勢力が強く、よってテスラの人気がもともと低いのかと思えばそうではないようで、実際にテスラは2023年に「韓国市場における輸入EVでは販売トップのメーカーであった」こともあわせて報じられています。

実際のところ、テスラは2023年12月には1,022台の車両を韓国にて販売しているものの、それが翌1月ではわずか1台となっており、これには様々な理由が複雑に絡み合っているのだそう。

なぜテスラの販売は急激に落ち込んだのか

そこでテスラの販売が急速に冷え込んだ理由に踏み込んでみたいと思いますが、今回「不透明なEVインセンティブ（補助金）、公共の急速充電ステーション不足、中国製車両の品質への懸念」が指摘されています。

まず「不透明なインセンティブ」についてだと、韓国にて販売されるテスラは基本的に中国（ギガ上海）にて製造された車両であり、これが韓国政府が導入した新たな規制によって「完全に減税の対象にならなくなった」とのこと。

この規制の内容については不明ではあるものの、EVを強く推進するヒョンデを「保護」するために導入した非関税障壁である可能性が高く、これによってテスラ車は「割高で、魅力的な選択肢ではなくなった」のかもしれません。

そして2つ目の「充電インフラ」についてだと、韓国は「ドライバー一人当たりの充電器の数が地球上で最も多い国」であるにもかかわらず、その約90パーセントが低速充電器だといい、これに加えて韓国では輸送車両の電動化が大きく進んでいるため、充電ステーションでの「充電待ち」が長くなっているとされ、つまり充電エクスペリエンスが著しく低下しているのだそう。

3つ目の「中国製車両への懸念」について述べてみると、ここ最近韓国内にて中国製EVの火災が大きく報じられており（もしかすると意図的な非関税障壁構築策なのかもしれない）、これが消費者心理を大きく（中国製の）EV購入から遠ざけることとなったうえ、事故防止の観点から車両の使用制限、充電器の設置制限が導入されることでEV離れを加速させてしまったと報じられています。

韓国ではEV販売台数が「前年割れ」

実際のところこうした理由によって2017年以来はじめて韓国ではEVの販売が（前年比で）縮小したといい、2023年では2022年に比べて0.1％減。

「0.1％」というと少ないようには見えますが、他の多くの国ではEVの販売が（減速しつつも）伸びていることを考えると「減少そのもの」が大きな意味を持ち、さらに2024年1月のEV販売は2023年12月に比較すると80％も減少したそうなので、韓国では急速にEV熱が冷めている、ということもわかりますね。

ただ、上述の通り、他の国でもEV販売における成長率の「鈍化」が見られるのも事実であり、もしかするとこの2-3年でEV市場が縮小に転じる可能性も否定できないのかもしれません。

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参照：Bloomberg