| これでけっこう業界の勢力図が大きく変わることになりそうだ |
合併交渉が行われていたFCA(フィアット・クライスラー・オートモビルズ)とPSA(プジョー・シトロエン)とが合併に合意した、との報道。
昨日までは「合併交渉が行われているものの、一部双方の意見に相違があり、合併に至る保証はない」と報じられていたものの、そこから一転しての「合併合意」という結末に。
なお、FCAは欧州市場での生産や開発資源を獲得することを目的に数ヶ月前までルノー=日産=三菱アライアンスとの提携を模索しており、しかし「決裂」したばかり。
そのすぐあとに今回の報道なので、「欧州で力のある自動車メーカー(グループ)との提携もしくは合併は不可避」という認識、そして危機感が強くあったものと思われます。
PSAは欧州で二番目の自動車メーカー
なお、PSAは欧州だとフォルクスワーゲングループに次ぐ二番目の規模を持つグループ(世界だと台数ベースで9位)で、これが業界8位のFCAと合併すると時価総額470億ドルとなるため、合併後は一気に「業界4位」の規模へ。
これによってホンダは相対的に「弱小」レベルまで後退してしまうことになり、ホンダも何らかの対策を考えねば、今後変わりゆく自動車業界において、開発コストを吸収するのが難しくなりそうではありますね。
IMAGE VIA:Bloonberg
これを受けてというわけではないものの、ホンダと日立は系列会社を統合すると発表していて、まずはホンダが日立オートモティブシステムズとホンダ系部品メーカーのケーヒン、ショーワ、日信工業をTOBにて子会社化し、日立オートモティブシステムズがこれら3社を束ねる存続会社となって開発の集約をはかる、としています。
なお、日立オートモティブシステムズが開発を行うのは、主にエレクトリック化関連技術、自動運転にかかわるものだそうですが、近年の自動車は高度化かつ複雑化しており、開発コストが多大になることが問題。
そしてその問題を解決するのが「台数」で、販売台数が多ければ多いほど、コストを「台数で割って」低く抑えることが出来るというわけですね(これが近年の自動車メーカーが合併や統合、提携を行う理由でもある)。※トヨタがマツダやスバル、スズキを束ねる理由もここにある
合併によりFCAとPSAはどうなる?
なお現在FCAが持つブランドは下記の通り。
・クライスラー
・ダッジ
・ジープ
・ラム
・フィアット
・アルファロメオ
・フィアットプロフェッショナル
・ランチア
・マセラティ
PSAはこう。
・プジョー
・シトロエン
・DS
・オペル
・ボグゾール(ボクスホール)
アメリカ市場は大きなクルマが好まれ、欧州市場ではコンパクトカーが好まれるというのは周知の事実で、となるとアメリカ市場においてFCAがなんらかのメリットを受けるということは想像しにくく、しかし欧州市場だとPSAの開発や生産設備と統合されることで、フィアットやランチア、アルファロメオのコンパクトクラスは大きくコストダウンが進みそうには思います。
加えて、バカにできない「商用車」マーケットにおいても、両者の強みを生かした展開ができるのかもしれません。
プジョーはバイクを切り捨てた
そしてもうひとつ、あまり大きく報道されなかったものの、重要な判断がなされています。
それは「PSAが、そのバイク部門を、インドのマヒンドラに売却した」ということ。
インドはバイクにとって非常に大きな市場規模を持ち、マヒンドラは2015年にはすでにプジョー・モーターサイクルの株式51%を取得していたものの、今回それを100%へと引き上げ、「完全子会社化」したということに。
プジョーは欧州(バイク)マーケットにて4位に転落するなど存在感を発揮できず、よってプジョーは資源集中のためにバイク部門を売却することにしたのだと考えられます。
なお、マヒンドラとプジョーはこれまでも積極的にエレクトリックバイクを計画してきましたが、今後さらにその動きが加速するのは間違いなさそう。
加えてマヒンドラは「ピニンファリーナ」を現在傘下に収めており、ピニンファリーナからはエレクトリックハイパーカー”バッティスタ”を発表するなどエレクトリック化を進めており、プジョー・モーターサイクルにとっても、マヒンドラに買われたほうが幸せなのかもしれません(ピニンファリーナデザインのプジョーバイクが登場するかも)。
なお、プジョー・モーターサイクルの本部はこれまでどおりフランスに置かれると発表しており、急に何かが変わることはなさそうですね。
VIA:NDTV