| SUVはそもそも高いという認識があり、SVを買う人は”好きなものにはお金を進んで出す”傾向がある? |
調査会社、JDパワーの調べによると、2019年10月の新車平均販売価格が「調査開始以来、もっとも高くなった」とのこと。
これまでの最高記録は2018年12月の33,924ドルだったそうですが、今回の記録はこれを超える34,217ドル(372万円)。
そして驚くべきは「車種別シェア」で、SUVとトラックのシェアはなんと72%へと上昇しています。
つまり新車を購入する10人のうち7人までがSUV/トラックを購入しているということになりますね。
そのほか、同じ調査によると、新車購入において、3万ドル以下が占める比率は7%下がって46%へ、逆に3万ドル以上の新車を購入する人は6%増。
車種別だと、セダンなど乗用車の平均価格は4%上昇して27,739ドル、SUV/トラックの平均購入価格は3%アップの36,474ドル。
SUVはまだまだ自動車メーカーにとっては魅力的
この調査を見ると、全体的にクルマの価格が上昇していること、そしてSUVの比率も上昇していること、さらにSUVの平均価格が高いことを見て取れますが、この環境下では「どの自動車メーカーもSUVに注力したくなる」のがよくわかります(よく売れる上に、価格が高い)。
なお、現状ではプレミアムカーメーカーにおけるSUV比率もどんどん高くなっていて、いずれも50%超(メルセデス・ベンツ、BMWは6割を超える)。
ただし、SUVを購入する人が72%、さらにSUVを購入する人は高価格帯のクルマを好むということを鑑みるに、プレミアムカーメーカーは「もっとSUVを増やしてもいい」のかもしれません。
アウディ「2025年には販売の半分がSUVになる」。SUV車種構成比ではアウディ55%、BMW62%、ベンツ63%、レクサス50%
ここまでSUVが売れるようになった理由は不明ですが、アナリストによると「SUVの燃費が向上し、かつそのユーティリティを考えると、もはやセダンを選ぶ理由はないから」。
ただ、どのメーカーもSUVに参入しているため、もはやSUV市場はレッドオーシャンという見方もあるようで、しかし現在はまだまだ市場拡大中だと考えてよさそう。
セダンは「消極的選択肢」、SUVは「積極的選択肢」?
そしてトヨタ北米のサイトを見てみると興味深い事実がわかり、価格帯が低い(3万ドル以下)ところにあるのはほぼセダン。
言い換えると、セダンの多くが3万ドル以下であることがわかります(さすがにハイブリッドはそれを超える)。
逆に、SUVだとその多くが3万ドルを超える価格設定です(トラックも同じ)。
自動車メーカーとしては、安い車でも高い車でも「売る手間は同じ」なので、やはり価格の高いSUVに集中したくなるのでしょうね。
そして、なぜ「セダンの価格が低く、SUVの価格が高いのか」ということについて。
それは「SUVのほうが車体が大きく、頑丈につくられているから」と考えがちですが、SUVのほとんどはセダンのプラットフォームを使用し、車高を上げただけのものが多く、つまり「コストは(セダンと)そんなにかわらない」。
ですが、世間一般に「SUVは高い」という認識があるため、自動車メーカーとしては”安く作った”SUVを”高く”売ることができ、これによって収益が大きく改善することに。
SUVが高価というのは、ランドクルーザーのような、本格的なオフロード性能を持つクロカン4WD(これらは基本構造が乗用車と異なるのでコストも高い)が築いたもので、多くの「乗用車と骨格を共有する」SUVはこのイメージに便乗して高値設定を行っている、と考えて良いのかもしれません。
ほかに「SUVが高くなる」理由ですが、たとえばセダンは通勤や法人利用といった、必要に迫られて買う「消極的選択肢」であり、購入者はそのコストを抑えたい、つまり1円でも安く買いたいのかも。
ただしSUVだと「必要ではなく、趣味のため」もしくは「必要だが、趣味を兼ねている」ため、価格の安さよりも自分が好きなクルマを選ぶという「積極的選択肢」であるとも考えられます。
そして、こういった積極的選択肢の場合、消費者は「気に入ったモノ」にはすすんでその対価を支払う傾向にあり、これが「SUVが高価でも売れる」理由なんじゃないかと考えているのですね。