
| この火炎放射器は「ブラスターシステム」と呼ばれ、相当な威力を発揮したようだ |
実際にどれくらいの数のクルマに装着され、どれくらいが実際に使用されたのかが気になる
さて、自動車泥棒はいつの世でも、そして世界中においても切実な問題ではありますが、今回はかつて存在した「自動車史上、最も過激な」盗難防止システムが再注目を浴びることとなっています。
参考までに、自動車泥棒の歴史は1896年のパリにまで遡ることができるそうで、あるメカニックがフランス自動車クラブの創設者バロン・ド・ズイレンからプジョーを盗んだのが「世界初」の自動車泥棒だと言われているようですね。
この盗難防止機能「ブラスターシステム」はあまりにも強烈だった
そして今回紹介するのが「(すでに過去の遺物となってしまった)ブラスターシステム」なる盗難及び強盗防止機能であり、これは基本的に「自分がクルマに乗っている」際に使用するもの。
そしてこのブラスターシステムは(凶悪犯罪の多い)南アフリカ市場用としてシャール・フォーリーという人物が開発し、そしてこのシステムは、南アフリカの当時の法律下では完全に合法だったのだそう。
このブラスターシステムは車両の下に8つのノズル(左右各4つ)を取り付け、車内からダッシュボードにあるスイッチでシステムを起動するのですが、システムが作動すると、ガスノズルの前に14,000ボルトのスパークが現れ、その後、ドライバーがペダルを踏むことでガスが放出され、スパークと接触して炎が発生し、「火炎放射器と同様」の機能を果たします(この炎はかなり長い距離まで届くとされている)。
聞くだけで恐ろしい盗難・強盗システムではあるものの、システムの目的は「暴力的な車上強盗に直面した際、ドライバーが自分自身を守る手段」の装備であり、つまり当時はこれくらいの装備がないと強盗に対応できなかった、ということになりそうですね。

もちろん、火を使う以上、そのリスクが存在し、車やドライバー狙いの強盗を抑制できるかもしれない一方、強盗を殺してしまうのではないかという懸念もあり、現地自動車協会(AASA)はその点を指摘し、犯人がドライバーに危害を与える前に、そして盗みを働くことないまま、火炎放射器の威嚇を受けたり、あるいは殺害される可能性を心配していた、とも説明されています。
さらに医療コミュニティからも懸念の声が上がっていたといい、炎によって相手が死ぬ可能性があるほか、もし死ななかったとしても致命的を負ったり後遺症が残る可能性が高いという批判があったものの、当時南アフリカで急増していた暴力的な車上強盗事件を考慮し、無抵抗な市民を守るためには、やむを得ず「致死的な力」を使う必要があるのでは、という議論もなされていたようですね。
究極の盗難防止アイテム「ブラスターシステム」を紹介する動画はこちら
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参照:CARBUZZ, AP Archive(Youtube)