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中国車メーカーはなぜロボットや半導体など「副業に精を出す」のか?もはや競争過多にてクルマを売ることで利益は得られず別の道を模索することに

中国車のテールランプ

| そう考えるとやはりテスラは「先を見ていた」 |

今後、中国のEV業界は急速に「収縮する」という予測もあるもよう

世界最大の自動車市場として17年間君臨し続ける中国。

しかし今、その足元で劇的な地殻変動が起きているとも報じられ、かつて世界中のメーカーが羨んだ巨大市場は今や「供給過剰」に陥り、熾烈な価格競争の結果、多くのメーカーが「クルマを売っても利益が出ない」という異常事態に直面しているもよう。

2026年の北京モーターショーで見えてきたのは、生き残りをかけて自動車以外の「副業」に必死に活路を見出すメーカーたちの姿であり、なぜBYDやXPeng(シャオペン)といったトップランナーたちが「ロボットや空飛ぶクルマ、自社製チップの開発に注力しているのか」という切実な背景を考察してみましょう。

この記事の要約

  • 市場の飽和:約150社あるメーカーのうち、生き残れるのはわずか12社程度という予測
  • 利益の消失:最大手BYDですら2026年Q1の純利益が55%減。車単体での収益性が悪化
  • 脱・自動車メーカー:XPengが「グループ」へ改名。Appleになぞらえ「IT企業」への転換を加速
  • 収益源の多角化:充電技術、自社製半導体、eVTOL(空飛ぶクルマ)など、技術の外販が次のターゲット

北京モーターショー2026で露呈した「クルマ以外の必死なアピール」

今回の北京モーターショーは、かつてのような「新型車の発表会」とは一線を画していたといい、展示会場に並んだのはクルマだけでなく、ヒューマノイドロボットやシリコンチップ、人工知能(AI)、そして「空飛ぶタクシー(eVTOL)」といった、一見すると自動車とは無縁のテクノロジーばかりであったとのこと。

専門家のトゥ・レ氏(Sino Auto Insights創設者)によれば、これは「EVではもはや十分な利益を上げられない」というメーカー側の焦りの表れだといい、彼らは投資家や市場に対して「私たちは単なるクルマ屋ではない、総合テクノロジー企業だ」とアピールすることで、新たな資金調達や収益源の確保を狙っているのだと分析されています。

なお、これは「我々はEVメーカーではなくテック企業である」と早くから主張してきたテスラを連想させる動きでもありますが、つまりここでもテスラは「ライバルのずっと先を行っていた」ということになりそうですね。

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参考:テスラの動き

  • 日産がリーフで「節約志向」としてのEVを販売するのに対し、テスラは「ロードスター」「モデルS」「モデルX」といった富裕層向けの超高性能EVを発売
  • それら超高性能EVがヒットし多くの既存自動車メーカーがこの市場へとなだれ込む
  • その頃テスラは「超高性能EVで稼いだお金」によってモデル3、モデルYといった「量販」EVの製造へとシフト
  • 超高性能EV市場は過密になって各社とも赤字を形状→テスラはすでにこの市場から脱出して競争には参加していない
  • 今度はモデル3やモデルYめがけて日米欧、そして中国の既存・新興メーカーが対抗製品を投入
  • テスラはこれらライバルに対抗せずモデル3とモデルYを大幅には改良しないまま継続生産し、無駄な開発コストを投じずに収益性を重視
  • モデル3とモデルYに対抗したライバルたちによって市場は過密化、過剰な値引きや差別化のための開発費によって多くが赤字に
  • またしてもテスラはこの市場にこだわらず、「自動運転」「ロボット」という新規ジャンルへと投資
  • 過密化した市場から逃げ出すように多くのEVメーカーがテスラの後を追って「自動車以外の」業界に活路を見出す

ざっとテスラはこういった経緯を辿っており、自ら切り開いた市場が「やがてレッドオーシャンになる」ことを予測していたため、次々と戦場を変え、しかしその新しい戦場にどんどんライバルが参戦してきてお互いの消耗戦を繰り返し、しかしテスラはその頃にはもう戦場にはいない、という感じ。

こういった流れを見るに、やはりイーロン・マスクCEOは「先見の明がある人物」ということになりますね。

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中国主要メーカーの動向

そこで中国の自動車メーカー各社がどのように「副業」へシフトしているのか、具体的な動きをまとめてみると以下の通り。

1. BYD:最強の武器は「クルマ」ではなく「充電網」?

世界一のEV販売台数を誇るBYDですが、過酷な価格競争により利益は激減しており、そこで同社が打ち出した差別化戦略が「充電技術の外販」です。

項目BYDの次世代戦略
収益の柱車両販売 + 充電インフラ技術のライセンス供与
強み自社開発の超急速充電技術と圧倒的なネットワーク規模
狙い他社が追随できないインフラを握ることで「プラットフォーマー」へ
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2. XPeng:社名から「Motors」を外した覚悟

XPengは2026年4月、社名を「XPeng Group」へ変更しており、これは2007年にAppleが「Apple Computer」から「Apple Inc.」へ変更したのと同様の戦略です。

  • 自社製シリコン(半導体):自社で設計したチップをフォルクスワーゲンなどの他社へ販売する計画
  • eVTOL(空飛ぶクルマ):広州の拠点でデモ走行を繰り返し、都市間移動のソリューションを外販
  • AI外販:自動運転ソフトウェアのライセンス提供によるサブスクリプション収入
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3. 市場の「大淘汰時代」の幕開け

現在、中国には約150もの自動車メーカーが存在しますが(一時は600社ほど存在した)、専門家は「最終的に生き残るのは1ダース(12社)程度」と予測しており、この「グレート・パージ(大粛清)」から逃れるためには、クルマ以外の収益柱が不可欠というわけですね。

そしてもちろん、テスラのように「最初から計画してビジネスモデルを変革してきた」のとは異なり、「過密市場から逃げてきただけ」のライバルには確固たるビジョンや技術もなく、この新しい市場においても「淘汰」がなされ、やがては消えてゆくのかもしれません。

そしてここで「得をする」のはフォルクスワーゲンのような「中国の新興自動車メーカーによって苦しめられた」古参の量産車メーカーだと考えられ、中国の自動車メーカーが「自滅」した後の”雨降って地固まる”状況にて再び悠々と闊歩し始めるんじゃないか、ともぼくは考えています(ただし中国の自動車メーカーが自滅するまで持ちこたえることができれば、という但し書き付きである)。

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結論:中国発の「自動車業界2.0」が世界を飲み込むか

「クルマを売って儲ける」という自動車メーカー本来のビジネスモデルが中国でいま崩壊しようとしており、中国メーカーが必死に開発しているロボットや半導体、充電技術、ソフトウエアは、将来的に欧米や日本のメーカーに供給される「部品」や「システム」となる可能性が極めて高く、完成品としての自動車はそう多く残らないのかも、というのが現在の中国における自動車産業。

つまるところ、ぼくらユーザーにとって、中国車はもはや「安くて高性能なEV」という存在に留まらず、生活のあらゆるシーンに関わる「技術プラットフォーム」へと進化しようとしているということになり、この多角化戦略が成功するか、あるいはバブルのように弾けるか。

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2026年は、世界の自動車史における最大の、そして予想すらしなかった分岐点となるかもしれず、何年か後に振り返った時、「2025年-2026年のEV狂騒は何だったんだ・・・」ということになるのかもしれませんね。

中国車のテールランプ(漢字表示)


参考:なぜ欧米メーカーの幹部は北京に来なかったのか?

今回の北京モーターショーで驚きを持って迎えられたのは、米国や欧州自動車メーカーのトップ幹部の出席が極めて少なかったこと。

中国市場が「持続不可能」なレベルまで過熱し、自国ブランドが苦戦を強いられる中、デトロイトやドイツの幹部たちは、もはや中国市場を「攻める場所」から「どう撤退・防御するかを考える場所」へと見方を変えつつあるのでは、とも見られています。

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