| これが現在の技術で加工できる「限界の薄さ」 |
アストンマーティンが、そのハイパーカー「ヴァルキリー」に使用するエンブレムの画像そして詳細が流出(おそらくはオーダーした顧客に向けた機密書類がリーク)。
ヴァルキリーは徹底した軽量化が施されることが明らかになっていて、かねてよりアストンマーティンは「ヴァルキリーに使用されるエンブレムの重さは数ミリグラムしか無い」とも語っていたわけですね。
なお、ポルシェは一部のスパルタンモデル(911GT2RSなど)のフロントフードに装着されるポルシェクレスト(エンブレム)について”ステッカー”を使用していますが、これはケチったわけではなく、単に重量増加を嫌ったため。
ただ、アストンマーティンはステッカーではなく、「別の方法」を用いて軽量化に成功したようです。
ヴァルキリーに「ステッカーはふさわしくない」
なお、通常のアストンマーティンに採用されるエンブレムは、金属製(モデルによってはカーボン製)の”型”に様々な素材(エナメルや、ときには貝殻など)をはめ込み、その後に美しく研磨されることで仕上げられる芸術品のようなパーツ。
ただ、アストンマーティンいわく「通常の我社のエンブレムは、ヴァルキリーには”重すぎる”。ただし、だからといってステッカーを使用するなどというのはもってのほかだ」。
そしてアストンマーティンはこの「重すぎるエンブレム」のかわりに新たなるエンブレムを開発したわけですが、それが一番上の画像の「極限まで軽量化された」エンブレム。
これはプレシジョン・フォトファブリケーション・デベロップメント(PPD)社によって特別に制作されたもので、ステンレス製のプレートをエッチングによって立体加工したもの(プラモデルのディティールアップパーツと同じようなイメージ)。
ただしこのプレートの厚さは40ミクロンしかなく、これは「加工できる技術の限界」。
もともとヴァルキリー自体がテクノロジーの限界に挑んでいるかのようなクルマではありますが、まさか「エンブレムまで」挑むことになるとは、と驚かされます。
ちなみにエンブレムの重量は0.4グラムで、これが¥はDBSスーパーレッジェーラに採用されるカーボン製エンブレムの「1/280」。
ウイング部分とその内側のハニカム部分とは別体構造となるようですが、それらを組み合わせた際の隙間は「髪の毛ほどもない」と紹介されています。
そしてこのエンブレムはボディのベースカラーをペイントした後に貼り付けられ、その上からクリアコートによって保護されるという工程をたどり、これによって酸化や劣化、剥がれからエンブレムを守るようですね(よってエンブレムの交換はできない)。
「チタン製」エンブレムというオプションも
なお、アストンマーティンはこのステンレスの他に「チタン製」エンブレムもオプション設定していて、こちらはエッチングでは製造できないために5軸レーザーによって12時間をかけてカットすることになる、とのこと。
その後には腕時計メーカーやジュラーが使用するのと同じ機械を用いてサンドブラスト加工が施されるようですが、エンブレムだけで「相当な価格」になりそうです。
VIA:Jalopnik