| ベントレー・バトゥールの製作にかかるのは最低でも4ヶ月 |
既存モデルベースといえどもビスポークモデルの開発は困難を極める
さて、ベントレーが限定わずか18台という希少なハイパーグランドツアラー、バトゥールのテストを終え、これから顧客スペックの生産に取り掛かると発表し、同時にその過酷なテストの内容についても公開しています。
今回のオフィシャルフォトに写っている2台はベントレーがテスト用に製作した(カー・ゼロとカー・ゼロ・ゼロと呼ばれる)プリプロダクションモデルで、2台あわせて完成状態で58週もの耐久テストを終えており、3万キロの実走や、専用に作られた800以上ものパーツの試験もすでに終えたところだとアナウンスされています。
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ベントレー・バトゥールの製造にかかるのは4ヶ月
このベントレー・バトゥールは、同社のコーチビルド部門であるマリナーによって製作される特注(ビスポーク)車両で、全工程を手作業にて進めるため、完成までにかかるのはおよそ4ヶ月。
これまでにも「ゴールドを使用した内装パーツ」などバトゥールの特別な仕上げが多数紹介されていますが、すべてのバトゥールが顧客の指定による個別の、そして特別な仕様を持っており、中にはもっと長い制作期間を要する個体があるのかもしれません。
なお、上述の耐久テストの中にはハンドリングトラックでの耐久性テスト、実際の道路の走行、時速200マイルを超える高速テスト、荒れた路面での走行テストなども含まれるそうですが、その他のテストには、アリゾナの砂漠での5年間に相当する600時間の太陽熱負荷が含まれ、バトゥールの車体に使用されている持続可能な素材が生涯の使用に耐えうる堅牢性を備えているかどうかがテストされています(顧客の指定した素材やカラーの耐候性テストも同時進行にて進められたものと思われる)。
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そして、こういった耐久テストを行うからには”カー・ゼロとカー・ゼロ・ゼロ”は市販車と同等の構造や品質を備えている必要があり、しかし外装はいずれも特別仕様(テストカーといえども、美しさを追求するのはいかにもベントレーらしい)。
一台のボディカラーは「パープル・セクター」で、これにハイグロス・ナチュラル・ファイバー仕上げのフロント・スプリッター、サイド・スカート、リア・ディフューザーが装着され、フロントのマトリックス・グリルはグロス・ダーク・チタニウム仕上げ。
しかも中央のパープル・セクターから徐々に暗くなり、周辺部のブラック・クリスタルへと流れる水平基調の”オンブレ・パターンのコントラスト・シェブロン”がアクセントとして配されているほか、”エンドレス・ボンネット・ライン”はサテン・チタニウムで仕上げられ、グロス・ブラック・クリスタルとサテン・ブラッククリスタルのスポークを持つ22インチホイールが装着されています。
もう一台のベントレー・バトゥールは「マリーナ・ティール」
そしてもう一台のバトゥール”カー・ゼロゼロ”のボディカラーはマリーナ・ティールにて仕上げられ、ワンオフのLEDヘッドランプユニットなどの新しいコンポーネントが組み込まれているとのこと。
そのほかにも800を超えるワンオフパーツが装着され、この個体はそれらワンオフパーツがベントレーの求める基準に達しているかどうかをテストするために2,500kmのヨーロッパ・ツアー、クローズド・サーキットでの高速テスト、過酷な環境への長時間暴露など一連の厳しい耐久性テストを経験しており、パーツ単体の開発期間を含めると合計160週間ものテストが行われたとアナウンスされています。
バトゥールに搭載されるW12エンジンも同様にテストが行われていますが、このバトゥールに積まれるのはベントレー史上もっともパワフルな750馬力バージョンで、そのため新しいエアインテークシステム、改良されたターボチャージャーとインタークーラーを持ち、トランスミッション、エレクトロニック・スタビリティコントロールについてはバトゥール専用にキャリブレーションが行われることに。
これらについてはパワートレーンの開発段階を含めると合計で100週間のテストを受け、車体に組み込まれた後は専用にチューンされたエアサスペンション、電動アクティブアンチロールコントロール、eLSD、4輪ステアリング、トルクベクタリングとのマッチングについても検証がなされています。
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ただ、もっともテストが難しかったのは「インテリア」であったようで、バトゥールでは”無限の可能性を顧客に提供するため”これまでにベントレーが使用したことがない素材を大量に投入し、かつ持続可能な素材を使用しているために「ゼロベースでの」テストが必要であったといい、ベントレーいわく「熱負荷から日焼け止めクリームへの耐性に至るまで」がテストされたのだそう。
もちろん、冒頭で述べた通り現在はすべてのテストが終了しており、これによってバトゥールは次のステップに進むことが可能となっていますが、ここから数ヶ月先には「こういった仕様を持つバトゥールが完成した」というニュースを聞くことができそうですね。
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参照:Bentley