| ディフェンダー、ディスカバリー・スポーツともに「稼ぎ頭」だけにJLRとしては早急にバリエーションを拡大したい |
現時点では名称も未定であるが「ディフェンダー・スポーツ」説が最有力
さて、JLR(旧ジャガー・ランドローバー)CEO、エイドリアン・マーデル氏が「ランドローバー・ディフェンダーの小型版」の計画について言及。
ただしこの”ベイビー・ディフェンダー”はガソリンやディーゼルエンジンのような内燃機関を搭載するモデルではなく、新設計のEMA EVプラットフォームを使用した純電気自動車となるもよう。
なお、ジャガー・ランドローバーは「JLR」と社名を改め、その直下にて「ディフェンダー」「ディスカバリー」「レンジローバー」「ジャガー」という4ブランドを展開することとなっていますが、今回の話はその新しい動きを反映したものだと考えられます。
-
ジャガー・ランドローバーが社名を変更し「ディフェンダー」「ディスカバリー」「レンジローバー」「ジャガー」を独立したブランドへ!純電動レンジローバーは今年にも受注開始
| これまではその方向性が揺れ動いていたジャガー・ランドローバーだったが | ここへ来てようやくその明確な方向性が固まったようだ ジャガー・ランドローバー(JLR)が、今後数年間にわたる中期計画「Re ...
続きを見る
新生JLRは急速に電動化を進める
そしてこの新しい体制化において、JLRは電動化をいっそう強く進めることとなり、電動化モジュール・アーキテクチャーに150億ドルを投資するという発表を行っているほか、ジャガーからは新しいEVを3車種登場させるという計画についても言及ずみ。
そしてそのうちの一車種がこのEMA EVプラットフォームを使用すると言われており、つまりこれは「ベイビー・ディフェンダー」との兄弟車になると考えて良さそうです。
加えて、このEMA EVプラットフォームはレンジローバー・ヴェラールのEV版にも使用されるという噂があり、その噂よるとヴェラールEVの登場は2025年。
そしてジャガー版、さらにベイビー・ディフェンダーはその後の登場ということになりそうですが、これと前後してディスカバリー・スポーツのEV版が発売されるという話もあるもよう。
ベイビー・ディフェンダーはどんなクルマに?
ただ、色々な噂があるわりにはEMA EVプラットフォームについてほとんど伝えられておらず、しかしベイビー・ディフェンダーは「EV版ディスカバリー・スポーツと同サイズになり、現行のディフェンダー90よりもちょっと小さくなる」という見方が有力です。
ただ、そこで気になるのは「(ディフェンダーEVとディスカバリースポーツEVといった)同じようなクルマを作って、同じような時期に発売する意味はあるのか」。
これについては現行ディスカバリー・スポーツ、そしてディフェンダーの販売状況がひとつの解になると考えられ、この2車は「自社内で食い合いするよりも、他社のシェアをそれぞれ獲得している」(JLRにとっての)優良商品。
特にディフェンダーはJLRにとっての重要な資金源になっているとも言われており、現在続々と発売が続くエレクトリックSUV市場への投入が急ピッチで進められているとも報じられています(早く投入することで、それだけプレゼンスを高めることが可能になる)。
さらには現在のガソリン/ディーゼルモデルと併売することで販売台数の積み増しも期待できるものと考えられ、ポルシェ・マカンEVのように、ベイビーディフェンダーもまた、内燃機関搭載モデルとあわせて販売されることになるのかもしれません。
たとえ電動化されても、ディフェンダーはそのルーツを見失わない
なお、エイドリアン・マーデルCEOは「ディフェンダーは常に探検家のためのクルマであり、常に限界を押し広げ、他のクルマではできないことを物理的に可能にしてきた。それは不可能に挑戦するという精神であり、75年間ずっとそうでした」とも語っており、ここから察するに「ディフェンダー」を名乗る以上、その悪路走破性を失うことはまずなさそう。
そしてもちろん4WDセットアップを継続するのは間違いなく、おそらくは前後に1つづつエレクトリックモーターを搭載すると考えられ、となれば現在の内燃機関搭載車のようにフロントとリアをつなぐトルクチューブ、そしてトランスファーケースも必要はなく、現行モデルよりも最低地上高を稼げる可能性や、さらに内燃機関搭載車にはできなかったようなトルク配分を実現できるのかもしれません。
ランドローバーは(世界的に見ても非常に珍しい)オフローダー専業ブランドではありますが、電動化によって全く新しい世界を開くことことができ、このベイビー・ディフェンダーは画期的な存在となる可能性も。
さらには上述のような「ブランド分割戦略」を考慮するとなると、ベイビー・ディフェンダーの市販バージョンも「ディフェンダー」を間違いなく名乗るものと思われ、一部ではすでに「ディフェンダー・スポーツ」の名が与えられるのではないかという予想も出ています。
あわせて読みたい、ジャガー・ランドローバー関連投稿
-
ジャガー「これからは大胆不敵なデザインにて、富裕層のみを狙う」。なぜジャガーは英国有数の高級車ブランドであったのに輝きを失うことになってしまったのか
| 最大の原因はフォードに買収された後、コモディティ化してしまったからだと考える | フォードは「ジャガーのブランド価値を単に利用し、ジャガーらしくないクルマ」を作ってしまった さて、名門でありながら ...
続きを見る
-
新しく生まれ変わることになるジャガー。まずは純電動4ドアGTを発売し、その後に2台のEVを追加すると発表。ラグジュアリーブランドとしての再生に向け動き始める
| 英国の名門ブランドだけに、このまま「消え去る」ことだけは絶対に避けてほしい | 親会社のタタの豊富な資金力に期待、高級ブランドとしての再生に期待 さて、ジャガー・ランドローバーは新しい戦略「リイマ ...
続きを見る
-
次期レンジローバー・ヴェラールはピュアEVへと移行しポルシェ・マカンEVに対抗するもよう。レンジ一家内での差別化政策によりオンロード性能を強化するとも
| 登場初期こそ人気化したヴェラールではあるが、現在はさほど売れていないようだ | おそらくは自社内での競合が発生しているものと思われる さて、鳴り物入りでデビューしたレンジローバー・ヴェラールですが ...
続きを見る
参照: Autocar