| これまではその方向性が揺れ動いていたジャガー・ランドローバーだったが |
ここへ来てようやくその明確な方向性が固まったようだ
ジャガー・ランドローバー(JLR)が、今後数年間にわたる中期計画「Reimagine(リイマジン)」を公表。
ここではいくつかの新しい情報が公開されていますが、まず大きなトピックとしては2023年中にピュアエレクトリック版レンジローバーの受注が開始されるということ。
このエレクトリック・レンジローバーは同社が新しく開発する電動車専用プラットフォーム「Electrified modular architecture(EMA)」を使用することになり、発売は2025年、そして生産は英国ホールウッド工場にて行われることになりますが、ジャガー・ランドローバーはこの工場の(電動化車両生産のための)トランスフォームに150億ポンドを投じることもアナウンスしており、この変革が完了したのちは「BEV(バッテリーEV)のみを生産する」ことになるのだそう。
ジャガー・ランドローバーはこういった計画を持っている
そしてこの中期計画「リイマジン」について触れておくと、これは電気自動車をコアに据えた未来に向けて前進するための変革を示すもので、(上述の通り)製造施設から社名に至るまで、すべてを一新する包括的な内容となっています。
現在は「ジャガー・ランドローバー」という会社が存在し、その下にいくつかのモデルが存在するという組織構造を持っているのですが、まずはこれを変更し、頂点に位置する会社の名称を(ジャガー・ランドローバーから)JLRへと変更。
そしてその下に「ハウス・オブ・ブランド」として「ディフェンダー」「ディスカバリー」「レンジローバー」「ジャガー」がそれぞれ独立したブランドとして並ぶ構造を採用する、というアナウンスがなされています。
この変更について、JLRのチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めるジェリー・マクガバン氏は「私たちのリイマジン戦略にとって極めて重要なのは、ハウス・オブ・ブランドの設立であり、これは私たちの持つ個性的な英国ブランドの独自性を高め、増幅させることを目的とした、自然な進化です。私たちの究極の野望は、クライアントのために真に感情移入できる体験を構築することで、長期的にブランドの高いエクイティとJLRの長期的な持続可能性を構築することなのです」。
具体的にはジャガー・ランドローバーはどういった変化を迎えるのか
同氏が語る内容は非常に抽象的なものではありますが、じゃあ実際にどうなるのかということについてだと、具体的な目標として「2030年までにエレクトリック優先のラグジュアリーブランドとなること」。
そのためにJLRは「ピュアエレクトリック版レンジローバー」を発売することになりますが、それに続くのはジャガーの新しい3台のEV。
ただし現時点でそうそう多くのEVを発売することも難しく、よってガソリンモデルやハイブリッドモデルをしばらくは併売することになりますが(2030年までにエレクトリック”優先”にするとコメントしているが、エレクトリック”のみ”とするわけではない)、現在有するMLAアーキテクチャ(プラットフォーム)も継続して活用することになると言われています。※ピュアエレクトリックモデルのみの生産に移行する時期は明示されていない
さらにこのリイマジン計画の推進にあたっては、上述のヘイルウッド工場の変革に続き、ウォルバーハンプトンにあるエンジン工場は「Electric Propulsion Manufacturing Center(電気推進力製造センター。エレクトリックパワートレインの生産工場)」として生まれ変わることになるほか、バーミンガムにあるキャッスル・ブロムウィッチのボディスタンピング工場は、電気自動車の未来に向けて(販売台数の増加を見込んで)施設を拡張する、とのこと。
JLRのCEO、エイドリアン・マーデル氏は「本日、私たちは電動化の道を加速させ、英国工場の1つと次世代中型高級SUVアーキテクチャを完全電動化することを発表できることを誇りに思います。この投資により、私たちは最新の高級電気自動車の未来を実現し、新しいスキルを開発し、2039年までにネットゼロ・カーボンにするという約束を再確認することができます」とコメントしており、ここから同社が大きく変わることを示唆しています。
今後、「ディフェンダー」「ディスカバリー」「レンジローバー」「ジャガー」といった各ブランドがどのように棲み分けを行い、どのようなキャラクターと戦略を採用するのかは追々明らかになってゆくと思われますが、続報に期待したいところでもありますね。
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