| エレトレにはこれまでのロータスからは想像もできないような新デバイスを多数導入 |
そして今後、これらはロータスのすべてのモデルに生きてくる技術なのだと思われる
さて、ロータスがついに新型SUV、ELETRE(エレトル/エレトレ/エレター)を発表。※現時点ではロータスの日本輸入総代理店、LCIからは正式な呼称が発表されていない。よって各メディアの表記もバラバラ
そして発表と同時にそのネーミングの由来も公開され、エレトルとは東欧のいくつかの地域の言語にて「生命を得る」という意味を持つのだそう。※ハンガリー語で「息を吹き返す」という意味もあるようで、現在のロータスをよく表しているのかも
このネーミングについては、「ロータスの伝統的なスポーツカーの精神を持ちながら、クロスオーバーのユーティリティを備えたモデル」を意図するといい、同社初のSUVにふさわしいものだと思います。
なお、最近のモデルだと、「エヴァイヤ(EVIJA)」は古代語で「はじまり」を意味し、「エミーラ(EMIRA)」もやはり古代語で「指揮官」を表すと紹介されていますが、ここ最近のロータスはエキゾチックな響きにこだわっているのかもしれません。
ロータス・エレトレはこんなクルマ
そしてこのロータス・エレトレはピュアEVとしてのみの展開となりますが、ロータスのエレクトリック・プレミアム・アーキテクチャー・プラットフォームを採用してデュアルモーターを搭載し、その出力は600馬力(447キロワット)、0-100km/hまでの加速は3.0秒以下、最高速度は時速260kmだとアナウンスされており、しかし車体重量については公表されておらず、まだまだ発売までに「開発が進められる(現在はまだ仕様が決定していない)」ということを意味しているのだと思われます。※出力は2種類あるといい、700馬力版も後に追加されるようだ
搭載されるバッテリーは100kWh以上、WLTPでの推定航続距離は約600km、充電能力は最大350キロワット、そして20分間で400km分の航続距離を賄うだけの充電が可能になる、とのこと。
そのほか、車高調整が可能なエアサスペンション(アクティブサス)、リアアクスルステアリングとアクティブアンチロールバー、アクティブリミテッドスリップデフの搭載についても言及されており(一部オプション)、これまでのロータスとはかけ離れた「テクノロジー満載の」クルマということになりそうです。
もちろんこのエレトレは、中国の吉利汽車傘下にロータスが入った後に開発が開始されたクルマ(それ以前にもロータスがSUVを発売するという話があったが、いったん白紙撤回されている)で、そのライバルはポルシェ・カイエンだとされています。
ただ、ロータスはこのエレトレを「ライススタイルEV」の3つのうち一つだと位置づけており、つまりはまだまだこのバリエーションが増えてゆく、ということを意味します。
生産については中国の武漢工場にて行われ、2023年に中国そしてイギリス含む欧州で発売し、その価格はおよそ1200万円程度と言われます。
日本やアメリカでの販売については現時点で言及されておらず、追加での報道が待たれるところですね。
軽量スパルタンで知られるロータスからすると、このエレトレはかなり意外なクルマではありますが、現在スポーツカー市場が縮小し、そしてSUV市場が拡大していることを考えると、スポーツカーメーカーが生き残るには「スポーツカーだけに固執する」ことは非常に危険であり、ポルシェのように「SUVとスポーツカーとを両立」させたり、ランボルギーニのように「スポーツカーのDNAをSUVへと落とし込む」ことも必要に。
そしてこのエレトレはロータスからの回答ということになり、豊富な資金を獲得して開発され、そして投入された「次世代ロータス」でもあり、これからのロータスを示唆するクルマです。
ちなみに「4シーター」のロータスとしては、ロータス70年の歴史において1970年代にタイプ75 エリート、バッジエンジニアリング車であれば1960年代にはコルチナが存在しますが、純粋なロータスとしてはこのエレトレが「初の4ドア」ということになりそうです。※ロータス・カールトン/オメガはロータスのリビルトになるので除外したい
ロータス・エレトレ(エレトル/エレター)はこんなデザインを持っている
そしてこのロータス・エレトレはけっこう大きなボディサイズを持ち、全長は5105ミリ、全高1630ミリ、ホイールベースは3019ミリ。
この数字はポルシェ・カイエンより18センチも低いく、実際のところSUVというよりは「車高を上げたスポーツカー」といった雰囲気で、ランボルギーニ・ウルスやフェラーリ・プロサングエに近い存在だと考えていいのかもしれません。
フロントにエンジンを搭載しないということもあってデザイン的な自由度はかなり高く、フロントフードにはエヴァイヤ同様のエアの通り道が設けられたり、ドアミラーのかわりにカメラを採用し、さらにはルーフ上のスプリット式スポイラー、各部に見られるエア排出用ダクトの設置など、エアロダイナミクスに関しては相当な配慮がなされていることがわかります。
ヘッドライトはスプリット(オフィシャル画像にて発光しているのはLEDデイライトランニングランプで、実際のヘッドライトは部落アウトされたバンパーの中に格納されている)、そしてテールランプはLEDライトバーといった具合に最近の流行を抑え、そして未来に向かうことを明確に示しています。
なお、ティーザー動画にて示された(自動運転のために使用する)LiDARセンサーは一部ポップアップ式となっていて、ルーフに2つ、フロントガラスに1つ、リアガラスに1つ、そしてフロントフェンダーにもセンサーが内蔵されている、とのこと。
ロータス・エレトレのインテリアはこうなっている
そしてエクステリア同様、エレトレのインテリアも「新世代」を迎えており、これまでのロータスのイメージからすrwば一気に未来に飛躍したという印象。
ちなみにドアをアンロックして室内に入ると、グリルが「呼吸」しているかのように動き、液晶ディスプレイにはスペクタクルなアニメーションが表示されると紹介されています。
ステアリングホイールは非円形、ドアマウント型リアビュースクリーン、高さ30ミリにも満たないメインのメーター(これによってダッシュボードが低く抑えられていて、助手席にまで延長されている)、ダッシュボード中央には15.1インチサイズのスクリーン、そしてAR(拡張現実)機能を備えたヘッドアップディスプレイも標準装備(このクルマがロータス製だとは信じられない)。
内装の素材はサステイナブルなテキスタイルやリサイクル繊維を使用しており、EVらしい「エコ」さを演出しているようですね。
エンジンを搭載しないためフロアには「トンネル」がなく、センターコンソール下部には大きな空間があり、ここには様々なモノを収納できそう。
なお、今回公開されたのは4人乗り仕様ですが、後に5人乗りも追加されるといい、その場合は「センターコンソールで分断された」パーソナルスペースという構造が変更されるのかもしれませんね。
車高がひくいぶんラゲッジスペースはライバルに比較して大きくはなく、たとえばラゲッジスペースの「400リットル」はカイエンクーペの「500リットル」に比較して小さく、もちろんテスラ・モデルXにも及ばない数値です(さらにテスラ・モデルXには3列目シートがあり、これを収納することも可能)。
全体的に見て、これが市販車とは思えないほどの「未来っぽさ」、そして日常から乖離した芸術性を持っていると言ってよく、繰り返しになりますが「これがロータス」だとは信じられないほど。
ステアリングホイールのスポーク部には様々なスイッチ類が内蔵されていますが、これらはタッチ式ではなく「物理スイッチ」。
EVなので変速機を持たないはずですが、スポークの裏には「パドル」が取り付けられており、「疑似マニュアル・トランスミッション」のような変速ができるのか、それとも別の機能が隠されているのかは現時点で不明です。
そしてスイッチ類は「ゴールド」。
なお、こういった「ゴールド」は中国市場の嗜好にあわせたデザインなのでは、と考えたりします。
ドアオープンは「ボタン」にて行うようですが、ひとつひとつのスイッチが美しくデザインされ、これもまたロータスらしくないところ。
ちなみに「スイッチでドアロック解除」というのは(レクサスNXのように)今後のプレミアムカーにおける流行となりそうですね。
こうやって見るとあらゆる面で「ロータスらしくはなく」、しかし新しさに溢れた一台となっており、ロータスに対して大きな利益をもたらすことになりそう。
上述の通り現代は「SUVを販売しなくては生き残ることが難しい」時代ではありますが、問題なのは「スポーツカーメーカーがSUVを作ること」ではなく「どんなSUVを作るか」であり、たとえスポーツカーメーカーがSUVを作ったとしても、そのSUVが「そのメーカーらしければ」ぼくはまったく問題はない、と考えています。
むしろ、スポーツカーにこだわるあまり、その存在感を失って消滅する姿は見たくない、とも思います。
ロータスによるエレトル/エレトレ/エレター公式動画はこちら
参照:Lotus