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ソリッドステートバッテリーのトップランナーであったBMWでもその実用化に苦慮。「2030年まで量産はできないだろう」とし、ノイエクラッセは全固体電池抜きで発売

2023/12/14

BMW

| ソリッドステートバッテリーはノイエクラッセにおける目玉のひとつであったが |

現在の各社の対応を見ていると、2030年でも「実用化は怪しい」ように思われる

さて、EV関連技術に関してもっともホットな話題が「ソリッドステートバッテリー」。

これについてはトヨタが先陣を切って実用化されると見られているものの、その生産量が限られるため市場に大きなインパクトを与えることはできないだろうと言われています。

トヨタ
トヨタのソリッドステートバッテリーは実用化できたとしても「わずかな台数しか生産できない」?そのためゲームチェンジャーとはならない可能性も

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そして今回報じられているのがBMWの「ソリッドステートバッテリー事情」で、どうやら2030年まで量産モデルにこれが搭載されることはないもよう。

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BMWがソリッドステートバッテリーの生産規模を拡大できるのは2030年以降

報道によると、BMWがが行ったメディアプレゼンテーション中に、同社のバッテリーセル製造コンピテンスセンター(CMCC)のマネージャーであるカート・ヴァンデピュット氏が「2030年までにBMWのソリッドステート量産シリーズは登場しないだろう」と語ったとのことで、これはいささか衝撃的な事実です。

ソリッドステートバッテリー(全固体電池)は効率が高く、リチウムイオン電池よりも高いエネルギー密度を誇り、かつ固体電解質を使用しているため、漏れの危険が少なく、その結果火災の危険も少ないため、安全性も高くなるという「理想的なエネルギー源」。

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よって(自動車メーカー/バッテリーメーカー)各社ともその開発に躍起になっているわけですが、「実現は不可能」としてこの採用を諦める(フィスカーやマセラティなど)自動車メーカーも登場しており・・・。

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マセラティ「ソリッドステートバッテリー(全固体電池)は性能上の懸念があり、我々は使用しないことを決定した」。EVであっても各社各様の考え方があって面白い

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当のバッテリーメーカーであっても「2030年であっても実用化は非常に難しく、よって現在のバッテリーからソリッドステートバッテリーに移行するまでの期間を補う別のバッテリーを開発したほうがいい」と語るほど開発が難航しています。

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BMWは「ソリッドステートバッテリー抜きで」ノイエクラッセをスタート

そしてこの状況はBMWにとって受け入れがたい事実かもしれず、というのもBMWは次世代EVシリーズ「ノイエクラッセ」にソリッドステートバッテリーを組み込むことをひとつの目玉としていたため。

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このノイエクラッセシリーズは2025年に市場投入されることが決まっており、よってカート・ヴァンデピュット氏の発言は「ソリッドステートバッテリー抜きで」ノイエクラッセを発売しなくてはならないということを意味します(まさかソリッドステートバッテリーのバッテリーの実用化までノイエクラッセの発売を遅らせるようなことはないだろう)。

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ただ、BMWは非常に優れた戦略を採用する会社であり、「完全EVメーカーへの移行」を掲げてガソリン車を切り捨てる方針を採用したフォルクスワーゲンやアウディ、メルセデス・ベンツとは異なってガソリンエンジンの開発も継続しており、つまり「EVだけでは会社を支えることはできない」と考えてトヨタ同様のマルチパワートレーン戦略を採用。

つまりはあらゆる可能性を想定し、外部要因がどう変動してもすぐさま対応できるように準備を整えているということになりますが、このノイエクラッセも同様で、けしてソリッドステートバッテリーの搭載「のみ」を前提に設計していたわけではなく、現在主流のリチウムイオンバッテリーの他に水素燃料への対応も考慮されているといい、ソリッドステートバッテリーの開発遅れは「想定の範囲内」なのかもしれません。

このほか、iXで採用されたデュアルケミストリーバッテリー、メルセデス・ベンツやポルシェが採用を進めるシリコンバッテリーという「代替案」も考えられ、ソリッドステートバッテリーの採用を待たずとも、ある程度の進歩が得られることになりそうですね(もしかすると、ソリッドステートバッテリーの意味がなくなってしまうほど既存バッテリーが進化するかもしれない)。

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参照:BMWBlog

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