
| 120キロしか走らないからといって「120キロ走れば十分」というわけではない |
やはりガソリン車に慣れている身としては「ガソリン車同様」の航続可能距離がないと不安ではある
電気自動車(EV)の普及が進む一方、多くの消費者が依然として抱いているのが「航続距離不安(レンジ・アンザエティ)」。
しかし、ドライバーが実際に日常で走っている距離とEVを購入する際に求める航続距離スペックとの間には、大きな隔たりが存在することが明らかになったというのが今回のニュースです。
ここではBMWグループ北米法人が実施し公開した意識調査データを基として「消費者が本当に求めるEVの条件」、そして超急速充電技術が市場に与える影響、そして変化するEV市場のリアルなユーザー意識について考えてみましょう。
この記事の要約
- BMW北米法人の最新調査で73%の回答者が1日の走行距離は75マイル(約120km)以下と回答した一方、EV購入時には42%が300マイル(約480km)以上の航続距離を要求していることが判明
- しかし購入の最大の障壁は航続距離そのものよりも「車両価格」(51%)であり、55%が手頃な認定中古EVを検討したいと回答
- 「10分間で150マイル(約240km)分を給電できる超急速充電技術」があれば購入検討が高まると回答した割合は53%に上り、若い世代ほど充電スピードを重視する傾向が顕著

BMWによるEV意識調査の概要
まずBMWグループ北米法人は2026年9月、成人のアメリカ人1,005名を対象として日常の運転状況とEV購入に対する意識調査を実施することに。
調査結果によると回答者の73%が「1日の走行距離は75マイル(約120km)以下で十分賄える」と回答しており、実際のところ通勤や買い物、子供の送迎といった普段使いでは最新のEVバッテリー容量のごく一部しか消費していないのが実態です。
しかしいざ「購入を検討する条件」となると、42%が少なくとも300マイル(約480km)以上の航続距離を求め、18%にいたっては400マイル(約640km)以上でなければ検討しないと回答したのだそう。
意識調査データ詳細
今回の調査では日常の利用実態と消費者心理の間に存在するギャップとともに、充電速度や購入価格に対するユーザーの本音が浮き彫りになり・・・。

- 航続距離へのこだわり:普段の移動距離にかかわらず、72%の回答者が「航続距離の長さ」をEV選定の重要決定要因に挙げており、これは週末のドライブや旅行といった万が一の長距離移動に備えた精神的な安心感を求めている結果と言える
- 最大のハードルは「購入価格」:航続距離への懸念以上に購入を躊躇させる要因となったのが「車両の購入価格」(51%)であったことも無視できず、価格面でのメリットを享受できるのであれば、55%のユーザーが認定中古EV(CPO)の購入を前向きに検討すると回答
- 超急速充電技術への期待:「10分間の充電で150マイル(約240km)の航続距離を追加できる能力」について尋ねたところ、全体の53%が「その機能があればEVを検討する可能性が高まる」と回答することに。この回答率は世代間で顕著な開きが見られ、Z世代(70%)やミレニアル世代(65%)といった若い層ほど充電速度を重視する一方、ベビーブーマー世代では30%にとどまったことも特筆すべき点。
| 調査項目 | 主な調査データ(パーセンテージ) |
| 日常の走行距離(1日75マイル/約120km以下) | 73% |
| 購入時に求める航続距離(300マイル/約480km以上) | 42%(うち18%は400マイル以上を希望) |
| 購入時の最重要阻害要因(車両価格) | 51% |
| 10分で150マイル分給電できる超急速充電への関心 | 53%(Z世代: 70%、ミレニアル世代: 65%) |
| 30分以下の急速充電を許容できる割合 | 55% |
| EV購入者を「アーリーアダプター」とみなす割合 | 56%(前年62%から減少) |

競合比較・市場での位置付け
自動車メーカー各社は消費者の「航続距離不安」を拭い去るために大型バッテリーを搭載したモデルの開発を進めてきましたが、これには車両重量の増加やコスト高騰(販売価格の上昇)を招くトレードオフが存在し・・・。
- 大容量バッテリー vs 超急速充電インフラ:過剰な大容量バッテリーを載せて価格を上げるよりも800Vシステムなどを採用した超急速充電プラットフォーム(例:BMWの「Neue Klasse」など)の整備を進める方が、コストを抑えつつ消費者の安心感を満たせるアプローチとして有用である
- 新車EV vs 認定中古EV:テスラや欧州プレミアムブランドのEVラインナップが拡充する中で、新車の高価格帯に手が届かない層が認定中古EV市場へ流入しており、中古EV市場の成熟がEV普及の新たなカギを握っている
しかし、ここ最近では「バッテリー容量に依存せず」航続距離を伸ばす手法もいくつかのメーカーによって確立されつつあり、テスラ サイバーキャブ、そしてメルセデス・ベンツやフォルクスワーゲンのコンセプトカーは軽量性や空力効率を武器として「航続距離を伸ばす」という提案を行っていますね。

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市場の成熟と新しい気付き
今回の意識調査からは、EVを取り巻く世論や購買心理が次のフェーズへと移行しつつあることを伺うことができ・・・。
- アーリーアダプター層から一般普及層への移行:EV購入者を「アーリーアダプター(新しい技術をいち早く取り入れる層)」と捉える割合は、前年の62%から56%へと低下。また、全体の68%がEVの購入を検討すると回答しており、EVが特別な先進テクノロジーではなく、実用的な「普通の自動車」として比較検討される段階に入ったことを示している
- 許容される充電時間の変化:「30分以下の急速充電時間であれば許容できる」と答えた回答者は55%に上り、過去の調査(2024年のMini USA調査では48%)から増加傾向に。ドライバー側も短時間の休憩と合わせた効率的な充電スタイルに慣れつつあることが見て取れる

結論
BMWの意識調査が明かした「普段は120kmも走らないが、車を買うなら480km以上の航続距離がほしい」という本音は、一見矛盾しているようではありますが、これはユーザーが自動車に対して「自由な移動を担保する存在」であることを求めている証拠とも言えるもの。
しかし、充電ネットワークの拡充や超急速充電技術の導入が進み、手頃な価格帯の中古EV市場が形成されることでスペック上の航続距離だけに頼らない賢いEV選びが浸透していくのだとも考えられ、メーカー側にも過剰なバッテリー搭載による価格高騰を避けつつ、実用的な走行体験を提供する工夫が求められているというのが現在の状況なのかもしれません。
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参照:Motor1











